日本がバブル経済の好景気に沸いた頃に社会人となった世代が、いわゆるバブル世代です。会社勤めをしているなら、バブル世代の上司を持つ人も多いでしょう。バブル世代はお金の使い方は思い切りがよく、華やかなイメージといわれますが、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、バブル世代とはどんな世代なのか、時代背景、特徴などを紹介します。日本の好景気を経験したことがない若手会社員とはまったく異なる価値観を持ったこの世代について知り、ビジネスシーンで円滑なコミュニケーションを図れるようになりましょう。
バブル世代とは
バブル世代とは、1965年~1970年頃に生まれ、日本がバブルに沸いた昭和末期頃に就職した世代のことです。2021年時点の年齢は51歳~56歳であり、会社の中枢にいたり、退職間近であったりする人が多いでしょう。
バブル世代の特徴
バブル世代が4年制大学を卒業して就職する頃は、景気がいい時代だったため企業が雇用を拡大した時期と重なり、有効求人倍率が1.4倍を超える年もありました。
この世代はコミュニケーション能力が高く世渡り上手ですが、自分がどう見られているか気になりやすく、見栄っ張りと称されることもあります。
バブルの意味と由来
「バブル」とは、もともと「泡や泡のように消えやすいもの」をあらわす言葉です。しかし、バブル経済の崩壊以降、「バブル経済」を省略して「バブル」と呼ぶこともあります。
「バブル経済」とは、株価や土地などの資産価格が、投機によって実情から判断できる適正な水準を大幅に上回っている経済状況のことです。地価や株価が暴落することを「バブル経済の崩壊」「バブル崩壊」とあらわします。
バブル世代の時代背景
バブル世代が就職した頃の日本はとても景気がいい状態でした。バブル崩壊やその後のITバブル、平成大不況などさまざまな状態を経験してきましたが、就職した頃のバブル景気の影響を大きくうけています。
日本がバブルに沸いた年代に社会人となった
バブル世代が4年制大学を卒業して就職するのは1987年~1992年頃で、1986年~1991年のバブル景気の頃とほぼ重なります。幼少期も日本の高度経済成長期と重なっていて、日本の景気がいい時代の影響をうけて育った世代です。
男女雇用機会均等法が施行された
バブル世代は、1985年に男女雇用機会均等法の影響を大きくうけています。これまで女性は高校や短大を卒業した後は就職して寿退社するのが一般的でしたが、4年生大学を卒業して、男性と同じように働くという選択肢が加わりました。
ちょうど景気がよく大量採用していた時期と重なったこともあって、働く女性が増加。バブル世代以降、共働き世帯も増えています。
長く働くことが美徳とされていた
バブル世代が社会人になった頃は、日本経済全体の景気がよく、仕事もたくさんあったことから、長く働くことが美徳とされていました。求人数が多く、自分の実力以上の会社に入社できたと考えている人も多かったことから、会社に貢献しようという意識が高く、愛社精神も強い側面を持っています。
職場での飲み会や接待ゴルフや麻雀など、勤務時間外でも仕事上の付き合いをするなど、率先して仕事を優先していました。
バブル世代の特徴
バブル世代の特徴を捉えて、華やかだといわれることが多いです。なぜバブル世代が華やかだと思われやすいのか、理由を紹介していきます。
コミュニケーション能力が高い
バブル世代の人は全体的に人当たりがやわらかく、コミュニケーションが上手な、世渡り上手な人が多いです。ただし、周りの人からどう見られているのか気になってしまい、劣等感を持ちやすいという側面もあります。
しかし、戦後の物不足を経験した少し上の世代からは、「甘えている」「忍耐力がない」などと思われがちです。
高級志向・ブランド志向が強い
バブル世代は就職してすぐの頃は景気がよかったため、たくさんのボーナスをもらっていました。若くても使えるお金がたくさん手に入っていて使えるお金も多かったことから、高級サービスを好む傾向にあります。
また、ブランド物のバッグや高級車を購入したりするなど、ブランド志向が強く、節約より消費を好む人が多いです。
前後の世代からはどう見られている?
人当たりがやわらかく世渡り上手な点や、消費を好む点がバブル世代の大きな特徴です。ただし戦中や戦後の物不足を知る世代からは、「甘えている」「忍耐力がない」などと思われることがよくあります。
また、景気がよく本来の実力以上の会社に入社した人が一定数いることや、コミュニケーション能力が高く楽観的なことから、就職に苦労した就職氷河期世代からは、「使えない」「いい加減」などと思われてしまうこともあります。
バブル世代と比較されるその他の世代
バブル世代はほかの世代と比べて華やかな面があることなどから、ほかの世代と比較されることも多いです。バブル世代と比較されることが多い世代の特徴を簡単に紹介します。
団塊の世代
団塊の世代とは、1947年~1949年の第2次大戦後ベビーブームに生まれた世代でとても人口が多いです。戦後日本の復興や家族を養うことに一生懸命になって働きました。2021年現在は大体の人が退職しており、年金をすでに受給しています。
新人類
新人類とは、1960年代生まれの世代を指す場合と、1960年代前半生まれを指す場合とがあります。学生運動が盛んであった団塊の世代と比較すると政治的な熱が冷めた世代です。子どもの頃が高度経済成長期にあたり、これまでの常識が通じないと感じた大人から「新人類」と呼ばれるようになりました。
就職氷河期世代
就職氷河期世代とは、1971年~1982年頃に生まれた世代です。バブル経済が崩壊後、景気が悪化して就職に苦労したことからそう呼ばれました。「失われた世代」「ロストジェネレーション」「ロスジェネ」などと呼ばれることもあります。
ゆとり世代
ゆとり世代は、1987年~2004年頃に生まれた世代で、バブル世代の子ども世代です。義務教育がゆとり教育に方針転換された頃に学生生活を送っていたことから、ゆとり世代と呼ばれています。
さとり世代
さとり世代とは、1990年代に生まれて「失われた10年」にあたる不景気な時代に幼少期を過ごした世代のことで、ゆとり世代と少し重なります。浪費しがちなバブル世代の親を反面教師にし、浪費や高望みをせず、合理的でさとったような行動をとることから名付けられました。
ミレニアル世代
ミレニアル世代とは主に1980年代から1990年代前半までに生まれ、2000年代に成人になった世代のことを指し、ゆとり世代やさとり世代とやや重なります。インターネットの普及などITの発達した環境で育ったため、情報リテラシーが高い世代と言われ、マーケティングにおいて使われることが多い言葉です。
Z世代
Z世代とは1990年代半ばから2000年代半ばに生まれた世代のことを指し、ミレニアル世代よりもさらにインターネットが普及した環境で育った世代です。デジタルネイティブ世代と呼ばれることもあります。ミレニアル世代と同様、主にマーケティングで使われる言葉です。
バブル世代を理解してコミュニケーションギャップをなくそう
バブル世代とは、1965~1969年頃に生まれた、日本がバブル経済の好景気に沸く頃に社会人になった世代です。年々給料は上昇していたことなどから、ブランド志向などお金の使い方が華やかな特徴があります。
また、男女雇用機会均等法が施行されたこともあり、女性も結婚退職せずに働く選択肢が増えてきました。好景気と雇用の拡大から就職する人が多く、男女ともに働く人がまだまだ多い世代です。
バブル世代は長く働くことが美徳としてきた世代で、副業が当たり前だと考えているいまの若手会社員は価値観の違いにびっくりするかもしれません。しかし、それはバブル世代側から見ても同様です。
バブル世代とうまく関係を築くためには、お互いの価値観を形成した時代背景を知って考え方の方向性を理解し、コミュニケーションを図っていきましょう。