「心象」とは、心に浮かぶ姿や、心に描き出される形のことを指す言葉です。「しんしょう」と読みますが、同じ読み方をする「心証」とは意味が違うので使い方には注意しましょう。似た言葉に「心像」や「印象」などもありますが、それぞれに意味が異なります。

本記事では、「心象」の正しい意味や使い方、例文などを詳しくご紹介していきます。「心象風景」や「心象的」といった具体的な使い方も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 「心象」の意味

    「心象」の正しい意味と使い方を知って、さまざまなシーンで活用できるようにしましょう

心象の意味

「心象(しんしょう)」は、「心に浮かぶ姿や形」を意味する言葉です。「心」は精神や感情を意味し、「象」は姿や形を意味します。つまり心象は、心に浮かんだ映像や感覚的なものを表します。

心象と心像の違い

漢字が似ている「心像(しんぞう)」は、過去の経験や記憶などから「心に浮かんだ具体的なイメージ」を意味する言葉です。映像や感覚的なものを指す心象よりも、その意味合いに具体性が強くなります。心理学の世界では「視覚心像」や「聴覚心像」などの言い方をすることもあります。

心象と心証の違い

同じ読みの「心証(しんしょう)」は、人から受ける感じや印象を指します。テレビの裁判のシーンで、「裁判官の心証を良くする」などと使われているのを見た経験がある人もいるでしょう。証拠や被告人の言動などに基づき、裁判官の心に構成される印象のことです。

心象と読み方は同じですが、使われるシーンは異なります。「心象が悪い」や「心象を損ねる」などの表現は誤りで、正しくは心証と書きます。

心象と印象の違い

「印象(いんしょう)」は、何らかの対象物が心に与える直接的な感じや、強く感じたもののことです。心象が意味するのは「心に浮かぶ姿や形」なので、意味は全く異なります。

  • 「心象」の意味

    「心象」と似た響きの言葉も多いので、それぞれの意味の違いを確認しておきましょう

心象の使い方

心象はあくまでも「心や頭に浮かんだもの」を表しています。「心象風景」「心象的」と表現することもあります。

心象の例文

心象を使った例文をご紹介します。

「俳句や川柳は日本の心象的な文化だ」

文字だけで読み手に景色を思い浮かばせる俳句や川柳。心象という言葉を使うのに適しています。わずかな言葉から読み手の想像力をかき立て、情景や感情をイメージさせる両者は、日本が誇る伝統文化のひとつですね。

「現実の風景を描いているつもりなのに、心象風景になってしまう」

目の前の風景をそのまま描いているつもりでも、実際に描くのは心に浮かんだものばかり。絵画や小説といった芸術作品は、心象と深く結びついています。

「生まれ育った街に対する心象はずっと変わらない」

たとえ姿が変わっても、生まれ育った街のイメージは変わらないという人も多いのではないでしょうか。このように心象は、記憶や感情などに基づいて形づくられるものです。

  • 「心象」の使い方

    いくつかの例文を覚えておくと、ビジネスシーンでもスムーズに「心象」が使えます

心象の類語

心象の類語をご紹介します。

イメージ

「イメージ」は、「心に思い浮かべる像」や「そのものに対する全体的な形像、映像」などを意味する言葉です。「イメージできた」「イメージが沸く」などのように使うケースが多いでしょう。

心象の対義語

心象の対義語をご紹介します。

現実

「現実(げんじつ)」は、「目の前に事実として現れた事柄や状態」を意味する言葉です。心に浮かぶ心象とは異なり、「目の前の事実」を指しているので対義語として使えます。

実態

「実態(じったい)」は、「実際の状況、ありさま」を意味する言葉です。「現実」と同じく、実際に起こっている状態を表す言葉なので、「心象」の対義語になります。

心象を正しく使って相手の心証をよくしよう!

心象とは、心に浮かぶ像や、心に描き出される形などを指す言葉。記憶や感覚に基づいた、抽象的なものです。同じ読み方の「心証」とは意味が異なるので、使い方や漢字の書き方には注意しましょう。

読みが同じで間違えやすい心証は、「クライアントの心証を良くする」などビジネスシーンでもよく使う言葉です。誤用には十分にご注意を。