B級1組は「鬼のすみか」と呼ばれる厳しい舞台。13人の総当たりリーグで2人の昇級者、3人の降級者を決める

第80期順位戦B級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)の開幕戦が5月13日に東西の将棋会館で一斉に行われます。B級1組は古くから「鬼のすみか」と呼ばれる厳しいリーグ。今期の注目は何と言っても、その「鬼のすみか」に参戦する藤井聡太二冠の戦いぶりでしょう。


第80期順位戦B級1組リーグ表

順位戦はB級1組以上(A級、B級1組)とB級1組未満(B級2組、C級1組、C級2組)で大きく組み合わせのシステムが異なります。B級2組までは抽選で対戦相手が決まっていましたが、B級1組からは総当たりのリーグ戦となります。B級1組は13人のリーグのため、参加者は年間で12局対局を行います。これは全リーグで最多の局数です。

今期新たにB級1組に加わるのは、前期A級から降級した稲葉陽八段、三浦弘行九段と、B級2組から昇級した藤井二冠、佐々木勇気七段、横山泰明七段の5人です。

1回戦の組み合わせは以下の通り。近藤誠也七段は抜け番となります。(カッコ内数字は順位)

▲横山泰明七段(13)-△稲葉陽八段(1)
▲藤井聡太二冠(11)-△三浦弘行九段(2)
▲屋敷伸之九段(8)-△木村一基九段(3)
▲松尾歩八段(9)-△郷田真隆九段(4)
▲久保利明九段(6)-△佐々木勇気七段(12)
▲阿久津主税八段(10)-△千田翔太七段(7)

偶然にも▲久保九段-△佐々木七段戦以外は順位が上の棋士が後手番になっています。また、▲横山七段-△稲葉八段戦、▲藤井二冠-△三浦九段戦は、前期昇級者と前期降級者がいきなり対戦するという構図です。

藤井二冠は1回戦で三浦九段と対戦します。両者の過去の対戦成績は藤井二冠の2勝1敗。初対決だった2019年8月のJT杯では三浦九段が勝利し、その後は藤井二冠が2連勝中です。記憶に新しいのは直近の対戦である2021年2月の朝日杯将棋オープン戦の決勝戦。この時は終盤まで三浦九段が優位に進めていた将棋を、藤井二冠が大逆転して優勝を果たしています。

これまで順位戦では39勝1敗、勝率9割7分5厘というとてつもない成績を残している藤井二冠。現在は21連勝中です。唯一敗れたのが3期前のC級1組10回戦で、相手は近藤誠也七段でした。その近藤七段とは今期9回戦で再戦します。

順位戦ではまだ1度しか敗れていない藤井二冠。写真は前期B級2組最終局のもの(提供:日本将棋連盟)
順位戦ではまだ1度しか敗れていない藤井二冠。写真は前期B級2組最終局のもの(提供:日本将棋連盟)