四海兄弟は「世界中の人々が礼儀と真心を尽くして他者と関われば、みんなが兄弟のように仲良くなれる、または、そのようにするべきだ」という意味の四字熟語です。

「四海」は世界の海を指していますが、礼儀と真心がないとトラブルにつながるのは、仕事や日常生活でも同様です。そのため、自分勝手な考え方や行動を戒めるためにも使えるでしょう。

本記事では四海兄弟の意味や類義語、対義語、英語などについて紹介します。

  • 四海兄弟の読み方と意味

    四海兄弟の読み方と意味を紹介します

四海兄弟の意味と読み方とは

四海兄弟は「しかいけいてい」と読み、「世界の人々が礼儀と真心を持って相手と接すれば兄弟のように仲良くなれる、また、仲良くすべきである」ということを意味する四字熟語です。

「四海」は四方の海を指し「人種や国籍を問わず世界中の人々」という意味で使われています。「兄弟」は「兄弟のように仲良く」という意味です。

由来は『論語』から

四海兄弟は、『論語』の12篇目「顔淵(がんえん)」が由来になっています。

登場人物のひとり・司馬牛(しばぎゅう)は、「自分の兄は犯罪者なので、兄などいないのも同然だ」という悩みを抱えていました。

それを聞いた孔子の弟子、子夏(しか)は「礼儀を重んじて謙虚にしていれば、世の人は君を兄弟のように扱ってくれるだろう」と答えます。原文ではこの答えが「君子敬而無失、與人恭有禮、四海之内、皆兄弟也」と書かれているため、四海兄弟という四字熟語へとつながったのです。

四海兄弟の漢字には「礼儀と真心を持って相手と接すれば」を意味する部分が含まれていませんが、司馬牛の悩みに対する子夏の返答が「四海兄弟」の四文字に含まれたと考えられています。

  • 四海兄弟の読み方と意味

    四海兄弟の語源は「論語」の「顔淵(がんえん)」にあります

ビジネスシーンなどでの四海兄弟の使い方と例文

四海兄弟を使う場合には、「四海兄弟の~」や「四海兄弟を~」などのように名詞として使うのが一般的です。「四海兄弟する」といった動詞的な使い方はしません。

四海兄弟の例文

四海兄弟を使った文章としては、以下のような例が考えられます。

「営業成績を上げるためには利益ばかりを追求せず、四海兄弟の精神で接することが大切だ」

このように、四海兄弟はビジネスシーンで精神論を語るときなどにも使えるので、ぜひ覚えておきたいところです。自社の利益だけではなく、取引先の現状などを考慮したうえで接すれば、営業成績が上がるかもしれません。

「四海兄弟のような世界を実現するのは難しい」
「国籍や言語が違っても、四海兄弟の心があれば伝わるはずだ」

こちらは世界平和に関する使い方です。四海兄弟のような世界を実現するのは難しいので、争いが絶えない世界情勢を嘆くときなどに使われます。

  • 四海兄弟の使い方

    四海兄弟はビジネスシーンでも違和感なく使える四字熟語です

四海兄弟の類義語・言い換え表現

四海兄弟と同じような意味がある四字熟語をご紹介します。

「四海同胞」

「四海同胞(しかいどうほう)」は、「人と接するときに礼儀と真心を忘れなければみんな兄弟のように親しくなれる」という意味の四字熟語です。「同胞」は兄弟姉妹や同国民を表しており、四海兄弟と同じ意味で使われます。

「用和為貴」

「用和為貴(ようわいき)」は、「仲良くすることがもっとも大切である」という意味の四字熟語です。訓読みでは「和を用て貴しと為す(わをもってとうとしとなす)」となります。

由来は、儒教の基本的な経典「礼記」の「儒行編」と、論語の「学而編」です。なお、聖徳太子が定めたとされる十七条の憲法の第一条には「一曰、以和為貴、無忤為宗」と書かれています。

「八紘一宇」

「八紘一宇(はっこういちう)」は、「全世界をひとつの家のように和合すること」を意味する四字熟語です。

「八紘」は「東西南北の四方向」と「北東、南東、南西、北西の四隅」を合わせたものを指すので「全世界」を意味します。また、「一宇」が「ひとつの屋根の下」を意味しています。

  • 四海兄弟の類義語

    四海兄弟と似た意味の言葉も覚えておくと活用幅が広がります

四海兄弟の対義語

四海兄弟の対義語となる四字熟語をご紹介します。

「群雄割拠」

「群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)」は、「多くの実力者が各地に勢力を張って対立していること」を意味する四字熟語です。

「群雄」は「多くの英雄や実力者」を表し、「割拠」は「それぞれの本拠地で勢力を振るうこと」を表しています。戦国時代に各地の実力者が本拠地で勢力を振るいながら、周囲と対立して争っていた様子が群雄割拠の由来です。

「四分五裂」

「四分五裂(しぶんごれつ)」は、「組織や団体といったまとまりのある集団がバラバラになる」ことを意味する四字熟語です。

物体の分裂ではなく、秩序や調和が失われたことによってグループが分裂してしまう様子を表すときなどに使います。

  • 四海兄弟の対義語

    四海兄弟の対義語は争いを表す四字熟語になります

四海兄弟の英語表現

四海兄弟の英語表現をご紹介します。

  • universal brotherhood

「universal brotherhood」を直訳すると「全世界が兄弟関係、兄弟愛」となるので「人類みな兄弟」という意味になります。

  • 四海兄弟の英語表現

    四海兄弟の英語表現も覚えておくと活用シーンが広がります

ビジネスでも相手を思いやる気持ちが大切

四海兄弟は「真心と礼儀を持って相手と関わることで、世界中の人が兄弟のように仲良くできる、また、そうであるべきだ」ということを意味する四字熟語です。

国家間や世界の人々だけではなく、日常的なビジネスシーンでも自分の利益ばかり追求しているとトラブルに発展することがあります。仕事でも相手への思いやりを忘れないように、四海兄弟の心を持つことが大切です。