俳優の鈴鹿央士が、映画『星空のむこうの国』(7月16日公開)の主演を務めることが3日、明らかになった。
同作は1986年に小中和哉監督が22歳で監督したラブストーリーのセルフリメイク作。高校生の昭雄(鈴鹿)は2カ月間、同じ美少女が現れる夢を毎晩見ていた。ある日、現実の昭雄の目の前に、その彼女・理沙が現れる。理沙はある約束を果たすため、もうひとつの世界線に生きる昭雄のことを、ずっと呼び続けていた。
当時自主制作映画界で活躍していた小中の商業デビュー作で、若手映像作家の助成を目的として池袋文芸坐が出資し公開にこぎつけた。映画化を前提として執筆を依頼された小林弘利による小説も1984年に集英社コバルト文庫より刊行されている。有森也実事実上のスクリーンデビュー作で、出資元の池袋文芸坐をはじめ全国の映画館で公開されたが、長らくビデオが絶版、2002年のDVD化も限定的で絶版となってしまったために鑑賞の機会が無く「幻の映画」として映画ファンの間では有名になっていた。『SFマガジン』2017年10月号「オールタイム・ベストSF映画総解説」に選出されるなど、再評価の機運が高まっている中、今回35年ぶりの映画化(セルフリメイク)で再び小中がメガホンをとり、フレッシュなキャスト達の魅力が存分に詰まった青春ラブストーリーが復活を遂げる。
主人公の昭雄を演じるのは、映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』にエキストラとして参加していたところ、広瀬すずの目に留まり、同事務所に所属することとなった鈴鹿。鈴鹿は「第33回 MEN'S NON-NO 専属モデルオーディション」でグランプリを獲得しメンズノンノの専属モデルに大抜擢されると、2019年『蜜蜂と遠雷』で衝撃のスクリーンデビューを果たした。本作では不思議な出会いから始まる物語を、令和版としてブラッシュアップし、爽やかに演じる。
鈴鹿央士 コメント
昭雄という主人公の話をいただいたとき「難しいなぁ」というのが初めの印象でした。
心動かされる物語なんですが、その中で自分が何ができるんだろうなぁと考えていました。
素敵な物語なので、「いいものにしなきゃ!」という思いが溢れてました。
やっぱり難しかったです。でも、その分やりがいがありました。
毎日、昭雄のことを考えていたあの日々はとても充実していました。
昭雄を演じていく中で、カメラに映るということを少し意識するようにしていました。
自分の動きと感情などが、カメラの前でどう映るのかを考えて、そこを理解しなきゃいけないことが多くて、そこは小中監督とも話し合いながら撮影していました。
本作は1986年に撮られた映画のセルフリメイクで、
物語で変わっているところもあるし、映像も進化しています。
前作を観られていない方は、是非、前作を観て頂きたいです!
好きな人とのかけがえのない時間を大切にしようと思いました。
このご時世ではありますが、劇場へ足を運んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願い致します。
小中和哉監督 コメント
オリジナル版製作時は撮影用特機を仲間内で作ったり、自作のオプチカルプリンターで手作業で合成したりと大変でしたが、今はデジタル機材やCGが発達して楽になったし、表現の幅が広がりました。
リメイク版もオリジナルとテーマは同じなので、演出的には「改善できるところは改め、そのままでいいところはそのままで」という方針で臨みました。
どの場面も「もっといい手はないのか?」と自問自答しながら撮ったので、撮影中は過去の自分と向かい合っているような感覚でした。
鈴鹿央士くんは独特の感性を持つ俳優で面白かったです。
気持ちが内側から湧き出てくるのを待って演技しているので、彼自身もどんな芝居になるのか事前にはわからないようでした。
微妙な感情の揺れを大切にする鈴鹿くんならではのオリジナルとは違った昭雄が生まれたと思います。
(C)2021「星空のむこうの国」製作委員会