新型コロナの影響で、在宅勤務をされている方も多いことと思います。自宅で過ごす時間が長ければ、また新しい働き方の可能性が高まれば、これからの人生に最適な住まいが欲しくなるでしょう。「衣食住」というくらいに、住まいは人が生きていく上でなくてはならないものです。

しかし高額の住まいを、住宅ローンを借り入れて手に入れるのは人生の中でも大きな決断です。住宅ローン控除(住宅ローン減税)など、優遇制度を賢く利用して少しでもリスクを少なくしましょう。

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは

居住用住宅を住宅ローンの借り入れを伴って取得した場合、ローン残高に応じた一定の比率の金額を所得税から控除される制度です。住宅取得の負担を軽減し、より多くの人に住宅取得を実現してもらい、社会経済を安定して維持する目的で古くから設定された制度です。住宅産業は関連産業のすそ野が広く、経済活性化の効果が高いのが特徴です。ただし、その時々の社会経済の状況に応じて、控除される額や期間は変更されてきました。

毎年12月に発表される「税制改正大綱」によると、令和3年度はコロナ禍の影響もあり、住宅ローン控除は前年度の10年間+3年(合計13年間)の制度が1年間延長されました。「税制改正大綱」が発表された後の通常の流れは、改正事項について国会で審議され、正式に税制改正事項として、6月ごろに発布となります。

控除額と所得要件等は?

下記の表は契約日、居住年、建物性能、新築・分譲などに応じた控除額と控除期間を示しものです。住まいの増改築にも適用されます。

対象となる家屋・土地条件

床面積50㎡以上(注1)、床面積の1/2以上が適用者の居住用であること
※注1 令和3年度税制改正大綱により、合計所得1,000万円以下で、控除期間が13年の対象となる場合は、床面積は40㎡以上に緩和されます。

家屋とともに取得した土地、家屋の新築前2年以内に取得した一定の土地、宅地建物取引業者との宅地分譲契約(契約締結後、3カ月以内の家屋建築条件付きに限る)により取得した土地等も対象となります。 既存住宅の場合の場合は、次のいずれかを満たすもの
(1) 木造住宅 築20年以内
マンション等 築25年以内
(2)一定の耐震基準を満たすことが証明されているもの
(3)既存住宅売買瑕疵保険に加入している

主な要件

住宅取得等(上記所定の土地も含む)にかかるローンであること
返済期間が10年以上であること
取得した日から6カ月以内に居住を開始し、引き続き控除適用年の12月末日まで居住していること
控除適用年の合計所得金額が3,000万円以下である
上記注1を適用する場合は1,000万円以下
増改築等の場合は、工事費が100万円以上であること

  • 住宅ローン控除(消費税10%の場合)

控除を受ける手続きについて

住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要です。適用を受ける年の翌年3月15日までに住民票がある居住地の税務署に申告します。申告は原則控除を受ける年毎に必要ですが、給与所得者の場合は2年目以降については年末調整で手続きができ、住宅ローン控除のための確定申告は初年度のみとなります。

住宅ローン控除以外の制度も有効に利用

住宅ローン控除は長期にわたって所得税が軽減される特例で、残高に応じて控除額も大きく、家計には大いに助かります。さらに住宅ローン控除以外にも、住まいの取得やリフォームなどには特例があります。利用できる特例はもれなく活用して、負担を少なくしましょう。それぞれの特例の詳細要件等は国土交通省のHPをご確認ください。

住宅取得資金の贈与の特例

父母や祖父母などの直系尊属から住宅の新築、取得、増改築等の資金(住宅取得資金)の贈与を受けたとき、最大1500万円まで(消費税10%の場合)贈与税がかかりません。令和3年12月までに(令和3年度税制改正大綱より)契約を締結した場合に適用されます。

住まい給付金

収入に応じて、最大50万円の現金が給付されます。消費税10%が適用される新築、中古住宅の取得で、令和3年12末までに引き渡しを受け、入居した場合に適用されます。

グリーン住宅ポイント

一定の省エネ性能を有する住宅の新築(持家・賃貸)、一定のリフォームや既存住宅の購入などの場合で、令和2年12月15日から令和3年10月31日までに契約を締結した際に付与されるポイントです。