コロナ禍によって、様々な変化を伴っている私たちの暮らし。おうち時間の定着で、楽器を趣味にする人も増えていると聞く。そんな中、「ヤマハ銀座店」が体験型の「ブランドショップ」として4月17日にリニューアルオープン。内覧会に行って最新の音響システムなどを体感してきた。

  • 銀座中央通り沿いにある国内最大級の総合楽器店「ヤマハ銀座店」が大幅リニューアルオープン

ヤマハ銀座店は、地下鉄銀座駅 A3 出口より徒歩 5 分。銀座中央通り沿いにある国内最大級の総合楽器店だ。今回のリニューアルでは、2020年10月に先行して1階と2階にオープンしたカフェ併設のブランド体験エリアに加えて、地下2階と地下1階、地上3~5階の5フロアが改装されている。ヤマハの楽器や音響機器に気軽に触れられるほか、音・音楽に関する最新技術を体感できる参加型コンテンツ等が体験できるのだとか。では早速、上階から順番に見ていこう。

5階……ピアノ・電子ピアノ・エレクトーン・防音室 フロア

ピアノ、電子ピアノ、エレクトーン、キーボードまで、国内最大規模となる50台以上のヤマハブランドの鍵盤楽器を展示している。

  • 電子機能を搭載したアコースティック・ピアノの進化ぶりに驚き

リニューアルにあたり新設されたという、おすすめ商品をハイライトする展示コーナーに置かれていたのはディスクラビア エンスパイアシリーズ「C3X-ENPRO」。電子機能を搭載したアコースティック・ピアノだ。500曲ほどの自動演奏のピアノ曲データを内蔵しており、タブレット端末で操作できるようになっている。自動演奏されている流麗な鍵盤さばきを眺めつつ聴いているとなんだか自分がピアニストになったような気分。その他、エレクトーンやショルダーキーボードなどもあり、オーセンティックなピアノから手軽に楽しめるポップな鍵盤楽器まで揃っている印象だった。また、3タイプの防音室も備えている。

4階……管楽器・弦楽器・打楽器フロア/管弦楽器リペアコーナー

見わたす限り、ピカピカに輝く管楽器の数々に圧倒される。ヤマハブランドの管楽器としては国内最大規模の約250本を取り揃えているという。ショーケースに入っているものだけでなく、オープン展示もされている。

  • ズラリ並んだ管楽器の数々に圧倒される

管楽器を始めたいという人は増えているようだが、大きな音を出すことができないのが悩みの種。そんな風に思っている人におすすめなのが、デジタルサックス。イヤホンをつけて無音で演奏できるという優れものだ。サイレントバイオリンなどの弦楽器もあり、ご時世を反映した特長を持った製品が目を引いた。また、5部屋ある試奏室がリニューアル。これまでは室内の吸音性が高すぎて少し響きが弱かったものの、より響きがあり臨場感のある良い音で試奏して楽器を選ぶことができるようになっている。また、外から作業の様子を見ることができる管弦楽器リペアルームもあり。

3階……楽譜・書籍・CDフロア

昨今はネットでDLできる楽譜も普及しているが、一方で昔ながらの楽譜というのは、演奏家、とくにピアニストにとっては大事なもの。

  • 3Fには約6万5000冊の楽譜や音楽書籍が所狭しと並んでいる。ちなみに筆者が2019年に刊行した『I LIKE YOU 忌野清志郎』も置いてただいていた。ありがとうございますッ!!

演奏する際にめくる紙の質感、どこで楽譜が次のページに行くのか等、WEB上では感じることができないことを、ここなら和書から入手困難な洋書まで約6万5000冊の楽譜の中から実際に手に取って見ることができる。また、圧倒的な品揃えの蔵書からお客さんの手に取りやすく見やすい位置におすすめ書籍を置くなどして、かなり幅広い客層のニーズに応えている。一見しただけでも、こんなに楽譜が揃っている楽器店は見たことがない。また、リニューアルにあたりフロア内の照明を新調。より楽譜選びがしやすくなっている。

地下1階……ギター・ドラム・シンセサイザー・音楽制作フロア

ヤマハブランドのギターをはじめ、ドラム、シンセサイザー、音楽制作機器など豊富なラインアップを展示しているフロア。

  • 音楽制作について興味のある人は地下1階に行ってみよう

今回注目したのが、音楽制作機器やソフトウェアを取り揃えた専用スタジオがあるところ。DTM(デスクトップミュージック)は、昔はシンセをコントロールする自動演奏のコンピューターツールだったものの、どんどん進化していき、今ではPCを使って音楽をすべて創り上げることができるようになっている。最近では、音楽ユニット・YOASOBIのAyaseがPC一台で楽曲制作を行っていることが話題になっていた。このスタジオでは、音楽制作ソフトウェア「Cubase」を使った楽曲制作のやり方等、最新の音楽制作ツールを知ることができる。また、ヤマハのリモート合奏サービス「SYNCROOM」の体験も可能。オンライン上で遠隔地にいる同士でセッションができる、まさに今の世の中にマッチしたサービスだ。これから音楽制作を始めようという人はスタッフさんに色々と質問してみると良いかも。

地下2階……ヤマハ銀座スタジオ

最新のヤマハ音場支援システム「AFC(Active Field Control)」を導入したスタジオ。

  • 地下2階では架空の映画撮影シーンに“サウンドエキストラ”として参加しながら音の面白さを体験できるコンテンツもあり

瞬時に場所を移動する音場の変化などを体験できるものとなっていて、デモンストレーションでは、手を叩くとコンサートホールの響きになったり、残響のないデッドな響きになったりと、音の違いをはっきりと感じることができた。また、“透明なオペラ歌手”が周囲を歩いて場所を変えながら歌い、音が移動している様子も体感。音を操ることで全く違う空間にいるような体験ができるのが面白い。参加型のサウンドアトラクション「WONDER FILMING~体感!イマーシブサウンドの世界~」を常設コンテンツとしており、架空の映画撮影シーンに“サウンドエキストラ”として声を出したり手を叩くことで参加したりと、楽しみながら新しい音体験をすることができる。こちらはスタジオで他ライブイベント等が実施される日以外、毎日実施予定。予約不要で無料で体験できるものとなっている。

このほか、2階の「NOTES BY YAMAHA(2F Café Lounge)」では、音楽家や楽曲にちなんだオリジナルフードやドリンクを楽しみながら、バーチャルライブシステム「Real Sound Viewing」で疑似ライブ体験ができる。

  • 2階のカフェラウンジは食事を楽しみながらバーチャルライブシステム「Real Sound Viewing」で疑似ライブ体験ができる

ステージに置かれた自動演奏ピアノと、電気信号を振動に変換することで生音を鳴らしているベース、ドラムとプレイヤーの映像によって、臨場感のある本物のライブ感を目の前で楽しめるのは驚きだ。

1階のイベントスペース/カフェスタンドには、動画コンテンツ等が映し出される大型ディスプレイや、誰でも自由に演奏できるテーブル型の鍵盤、ドリンクのカップを置くと音を奏でるテーブルなどを設置。

  • 1階のイベントスペース/カフェスタンドではお茶しながら鍵盤も弾けちゃう

さらに、ヤマハが開発した世界初の言葉をメロディに乗せて会話するコミュニケーションロボット「Charlie(チャーリー)」が登場。音楽好きな人々を迎えてくれる。

楽器マニアから初心者まで、音楽を愛する人を様々なアプローチで楽しませてくれる体験型ブランドショップとして生まれ変わった「ヤマハ銀座店」。銀座を訪れた際にフラッと立ち寄ってみれば、新しい音楽の楽しみ方を体験できるかも。

■information
ヤマハ銀座店
東京都中央区銀座7-9-14 ヤマハ銀座ビル
営業時間:11時~18時30分
休:火曜日