東武鉄道は30日、鉄道事業において2021年度、総額241億円の設備投資を行うと発表した。車両の新造・改良をはじめ、鉄道の立体化の推進、駅の安全性向上、踏切の安全性向上、自然災害への備えの強化、駅施設の改良、鉄道乗車ポイントの導入、SL列車の運行に関する投資を行。

  • 東武鉄道の特急車両500系「リバティ」

車両に関する投資として、3両固定編成で併結・分割が可能な特急車両500系「リバティ」を6編成新造。東武日光線の南栗橋駅以北で運行する20000系のリニューアルも推進し、2021年度は3編成をリニューアルする。日比谷線直通車両70000系や東武アーバンパークラインの車両60000系などに設置している車内ビジョンに関して、有楽町線・副都心線直通車両50000系2編成にも設置を進める。

安定運行の確保と輸送サービスの向上、省エネ運転の推進を目的に、走行車両の健全性、乗車率と車内温度、走行パターン等のデータを把握し、分析するシステム導入。把握・分析したデータは、メンテナンス対応の迅速化、混雑の平準化や車内温度の適正化、使用電力量の低減化などに活用する。

  • 南栗橋駅以北の東武日光線・宇都宮線で活躍する20400型

鉄道の立体化も推進し、東武スカイツリーライン竹ノ塚駅付近の高架化、東武アーバンパークライン清水公園~梅郷間の高架化、東武スカイツリーラインとうきょうスカイツリー駅付近の高架化、東武スカイツリーライン・東武アーバンパークライン春日部駅付近の高架化を計画している。各区間の工事推進や準備工事などに投資する。

駅の安全性向上のため、3駅にホームドアを設置するとともに、8駅で設置に向けた調査・設計を推進。ホームと車両乗降口の段差・隙間の縮小、ホームからの転落防止対策としてCP(Color Psychology)ラインの設置も推進される。

踏切の安全性向上も図り、全方向型踏切せん光灯への更新を38カ所の踏切で、検知範囲の広いレーダー式の踏切支障報知装置への更新を2カ所の踏切で進める。高架橋耐震補強や法面補強などの防災対策工事も引き続き推進し、自然災害への備えを強化する。

駅施設の改良として、東武アーバンパークライン七里駅の駅舎橋上化を推進するほか、東武スカイツリーライン五反野駅、東武日光線南栗橋駅で駅施設のリニューアル工事を推進する。駅施設のバリアフリー化として、桐生線新桐生駅にエレベーターを新設。桐生線新桐生駅と越生線武州唐沢駅に多機能トイレを新設する。

サービスに関しては、東武グループの共通ポイントである「TOBU POINT」の新サービスとして、2021年度秋をめどに東武線を利用するとポイントが貯まるサービスを導入。貯めたポイントは「TOBU POINT」として利用できるほか、登録した「PASMO」へのチャージも可能となる。

日光・鬼怒川エリアにおける観光コンテンツのひとつであるSL列車については、2021年度に蒸気機関車2機体制による毎日運行、「SL大樹『ふたら』」の東武日光駅への定期運行、3機目となる蒸気機関車C11形123号機の運行開始などをめざし、準備を進める。