オンキヨーホームエンターテイメントは、同社グループのホームAV事業の譲渡に向けた本格的な協議に入る。シャープ、米VOXX Internationalとの間で、協議を行う旨の基本合意書を締結することを、4月29日開催の同社取締役会で決議した。
オンキヨーは2019年5月、デノンやマランツなどのオーディオブランドを持つSound Unitedのグループと、オンキヨーのホームAV事業の譲渡契約を締結し、譲渡対価で得た資金によって支払遅延の解消と既存借入金の返済を進め、財務状態の改善を図る計画だったが、交渉が難航して譲渡を中止。
その後、全8回の新株式発行などでオンキヨーは資本の増強を図り、2020年7月には、米国における販売代理店をVOXX Internationalの子会社である11 Trading Companyへ変更(VOXX Internationalは自動車関連機器やオーディオ機器などを手がけている)。この変更によって米国市場での販売を強化できたため、オンキヨーは2020年10月にグループ再編を行い、主力のホームAV事業に再注力して経営を立て直す体制を整えていた。
しかし、株価に連動したSTEP(包括的株式発行プログラム)による新株発行の調達金額は、第4回までの段階で予想を大きく下回ったことなどが影響し、2021年3月期の当期純損失は59億8,000万円となり、債務超過解消のための不足額が23億1,900万円残った。これにより、オンキヨーは東京証券取引所ジャスダック市場の上場廃止基準に抵触する見込みとなり、同年7月末頃に上場廃止となる予定であることを発表していた。
こうした中、オンキヨーは事業継続のためにさまざまな選択肢を検討。2020年より同社の米国販売代理店となった11 Trading Companyの親会社、VOXX Internationalと、オンキヨーとの合弁工場であるS&O Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.を通じて、以前より取引のあったシャープと本譲渡に関する協議を行った。
両社はホームAV事業において、オンキヨーと既に協力関係にあることから、「事業譲渡のパートナーとして適任であると判断し、本譲渡の正式契約締結に向けた基本合意書締結を決議した」としている。