ETCソリューションズは4月28日にオンライン会見を実施し、ETC技術を活用した新サービス「ETCX」の会員登録の受付を開始すると発表した。ETCXは高速道路以外の施設でもETC技術による料金支払いなどを行うことができるETC多目的利用サービスで、今後はさまざまなシーンでの利用導入を目指していく。

  • ETC技術を活用した新サービス「ETCX」(イメージ)

高速道路以外でもETCXで運転席から決済

ETCは1997年に誕生し、2001年から全国の高速道路で一般利用できるようになった。今や、高速道路におけるETCの利用比率は93%超に達し、国民のインフラのひとつと言っても過言ではない。

近年、電子マネーなど非接触による決済手段が数多く誕生しているが、車などに乗ったまま非接触で決済することができるETCはその先駆けともいえる技術だ。

  • ETCソリューションズ代表取締役社長の中村英彦氏

ETCソリューションズ代表取締役社長の中村英彦氏は「この便利なETCを高速道路以外でも利用できないかと企業グループで座組を作り、研究してまいりました」と開発の経緯を語った。開発は、メイテツコム、沖電気工業、三菱プレシジョンなどがサポートしている。

  • ETCX運営協議会 参加会社と役割

ETCXを利用するには、今現在使っているクレジットカードとETCをETCXに会員登録することが必要になる。

  • ETCXの利用方法

登録が完了すれば、加盟店では高速道路のETCと同様に車に乗ったまま決済できるようになる。車の座席に座っている状況において、端末操作や指定の位置にカードなどをかざさなければならない他のキャッシュレス決済に比べて、安全に決済できる方法となっている。加盟店には、駐車場やドライブスルー、ガソリンスタンド、EV向け充電スタンドなどがあり、順次拡大していくという。

  • ETCXを駐車場で利用(イメージ)

  • ETCXをドライブスルーで利用(イメージ)

  • ETCXをガソリンスタンドで利用(イメージ)

ユーザーとしては、会員登録のみで利用できるETCXだが、技術的にはどのような違いがあるのか。その大きな違いとして、ETCXが「ネットワーク型ETC」であることが挙げられる。

  • ネットワーク型ETCとは

高速道路に設置されているETC処理装置は、各料金所にてデータを保持することで、瞬時にETCカードの承認を行っている。そのため、情報処理設備が高額となり、多くの利用が見込める料金所以外での多目的利用が難しいという側面があった。

一方、ETCXはETC情報の処理をすべてネットワークを経由しセンターで行う。アンテナと通信機器を設置すればよいので、コストを格段に低くすることに成功。クラウド環境を利用することで広く普及させることが可能になった。ただし、決済は一旦停止が必要となる。

ETCソリューションズは今後、ETCXの加盟店を開拓するために営業活動を活発化させていく。ガソリンスタンドや地方自治体の公共サービスなども導入が検討されている状況で、順次加盟店に追加予定となっている。早い時期に利用可能な場所を100カ所、会員登録10万人を目指す。「使える場所を増やすことで露出を高め、広く認知されるようにしていきたい」と中村社長。

将来的には、マンションや工場などの駐車場における入退室管理、渋滞緩和目的の道路課金(ロードプライシング)などへの活用と、車種、車番などの車載器情報などを使ったさまざまな利用の可能性を検討しているという。

ETCXの会員登録は、4月28日からETCXサービスサイトより受付を開始。4月29日からは、新名神高速道路の鈴鹿PA(上り)内にある「ピットストップSUZUKA」のドライブスルー店舗にて1カ月限定の商用サービスを開始する。さらに、7月1日より伊豆中央道・修善寺道路にて常設商用サービスが開始される予定となっている。