Amazonで、検索対象から怪しい商品を除外する方法として、検索URLの後ろに「&rh=p_6%3AAN1VRQENFRJN5」というパラメータを付ける方法がよく知られています。
このパラメータを付けると、検索結果が「出荷元と販売元がともにAmazon」の商品だけに絞られるため、マーケットプレイスをはじめ、Amazonの倉庫以外から発送される商品を除外できます。出荷/販売元でフィルタリングすることで、トラブルが起こりやすそうな属性を持つ商品をまとめてブロックしてしまおう、というわけです。
ところでこの方法は、怪しい商品を除外するのに実際どの程度の効果があるのでしょうか。「怪しい商品」の定義はさまざまですが、サクラによるやらせレビューで評価を不正に引き上げている商品は、この「怪しい商品」に該当するとみなして差し支えないでしょう。
となると、サクラレビューを見抜くツールとして定評のある「サクラチェッカー」を使い、このパラメータによる絞り込みで除外された商品と、除外されなかった商品=合格した商品のスコアを比較すれば、おおよその効果が明らかになるはずです。
今回は、3つの商品カテゴリーにおいて、この「&rh=p_6%3AAN1VRQENFRJN5」というパラメータを付与することでどの程度「怪しい商品」を除外できるのか、調べてみました。
除外された商品は「サクラチェッカー」でも圧倒的低評価だった
最初にチェックするカテゴリーは「モバイルディスプレイ」です。近年、テレワークの浸透に伴って人気が高まっているモバイルディスプレイは、素性不明の商品が多いカテゴリーのひとつです。サクラチェッカーによると、「ディスプレイ」というカテゴリ自体、全体の20%をサクラ商品が占めているという結果が出ています。
では、実際にスコアを調べてみましょう。前述のパラメータ付与によって除外されなかった=合格とみなされた10商品と、除外された10商品について、それぞれサクラチェッカーによるスコア(5点満点)は以下のとおりです。
左列、合格とみなされた10商品はいずれも4点もしくは3点台ですが、右列、除外された10商品はすべて2点台もしくは1点台と、違いがはっきりと出ています。ここまで露骨に分かれるというのは驚きです。
なお、合格の10商品の中で唯一、ボーダーぎりぎりの「3.00」という商品がありますが、これは商品レビューで星1つの評価が異常に多く、きちんとレビューに目を通してさえいれば、まず手を出さないであろう商品でした。とはいえ、「出荷元と販売元がともにAmazon」という条件はクリアしており、ユーザとしては気をつけるに越したことはありません。
商品の評価がどれだけ高くても直販ストアだと除外される
続いてのカテゴリーは「モバイルバッテリー」です。モバイルバッテリーは、レビューのサクラが疑われる商品が全体の65%を超える(サクラチェッカー調べ)という、かなりトンデモなカテゴリです。実際、パラメータを追加して再検索を行うと、検索結果の顔ぶれがガラリと入れ替わってしまうほどです。
もっとも、サクラチェッカーのスコアを見ると、除外グループの中に4点台という高評価の商品が多数混じっているのが目立ちます。「4点台」の商品に限れば、除外グループのほうが多いというおかしな結果になっています。
実は、この「除外グループなのに4点台の高評価商品」のほとんどは、モバイルバッテリーでは高いシェアを誇るAnker社の商品です。同社は、Amazonでは「Ankerダイレクト」経由で直販を行っているため、パラメータの追加で販売元がAmazonでない事業者を省くことで、無条件に検索結果から除外されてしまうわけです。
このように、大手の事業者で、かつ商品の評価がどれだけ高くても、販売元がAmazon以外だと無条件に除外されてしまうため、商品選びをするうえでは取りこぼしが発生しやすいことは知っておいたほうがよさそうです。
その一方、合格グループの商品は4点台または3点台ばかりで、怪しい商品を除外するという目的そのものはきちんと果たしていることが分かります。よって、パラメータ自体の効果はこちらも「あり」ということになります。
なかにはまったく見分けがつかないカテゴリーも
さて、なかには合格の商品と除外された商品とで、サクラチェッカーのスコアにほとんど差がないジャンルもあります。具体的には「メモリーカード」がそれで、「microSD class10」というワードで検索を行うと、合格グループと除外グループはいずれも平均点が4点台と、見分けがつきません。
これは、メモリーカードの販売元には、海外メーカーの直販ストアや、海外からの並行輸入品を取り扱う国内の専門店が多く、これらが取り扱う商品が除外グループの上位を占めているからです。
特に、並行輸入品を扱う国内専門店は、ストアの肯定評価が90%を超えるなど優秀なストアも多く、それらが扱う商品のスコアは、合格グループと比べてもまったく遜色ありません。単に「出荷元と販売元がともにAmazon」という条件を満たしていないというだけです。
ただし、合格グループの10商品を見ると、スコアはどの商品も4点台と、怪しい商品を除外する目的はこちらもしっかりと果たしています。ここでもパラメータ自体の効果は「あり」という判定で変わりありません。
絞り込みとあわせ、ユーザーレビューにも目を通す習慣を!
以上のことから分かるのは、次の3点です。
- パラメータで絞り込む方法は、怪しい商品の除外には高い効果を発揮する
- ただし、一部の怪しくない商品も除外される場合がある
- より慎重を期する場合は、レビューの内容もあわせてチェックすることが望ましい
今回、合格とされた3ジャンル30商品には、サクラチェッカーで3点未満の商品はないことから、問題のない商品だけに絞り込むには一定の効果が期待できることが分かります。直販サイト経由で売られる商品が無条件で除外されるのさえ許容できれば、手間もかからず、非常に有益な方法といえるでしょう。
ただし、全幅の信頼を置けるかというと、多少ひっかかるところはあります。例えば、前述のモバイルディスプレイで合格グループに入った評価3.00の商品のように、出荷元と販売元がともにAmazonという条件をクリアしていれば、レビューではどれだけ低評価でも絞り込みにひっかかることなく、そのまま通過してしまいます。
したがって、商品の販売業者がこのパラメータでの絞り込みを回避するために「出荷元と販売元がともにAmazon」を満たすよう細工すれば、やすやすと突破されてしまいます。現時点ではまだ、そこまで手間をかけた「怪しい商品」は目立ちませんが、用心するに越したことはありません。
消費者としては、今回紹介したパラメータによる絞り込みに加えて、ユーザーレビューとクロスチェックするクセだけは、きちんとつけておいたほうがよさそうです。