この春社会人となったみなさんは、慣れない環境の中、奮闘する日々を送っていることと思います。そんな新社会人のみなさんが心待ちにしていることと言えば、「初任給」ですよね。社会人として初めて手にするお給料ですが、では、平均額はどのくらいなのでしょうか。また、初任給は、会社によって支給される時期が異なります。初任給の平均額や支払時期のパターンについて確認してみましょう。

  • 初任給はいつもらえる? 平均額はいくら?

■初任給の平均額はいくら?

気になるけれど、なかなか周囲の人には聞けないのが「初任給の金額」です。初任給の平均額は、どのくらいなのでしょうか。日本経済団体連合会と東京経営者協会の2020年3月 卒「新規学卒者決定初任給調査」によると、学歴別の初任給水準(全産業)は、以下のようになっています。

<大学院卒>
事務系23万4,590円
技術系23万6,549円

<大学卒>
事務系21万8,472円
技術系21万7,864円

<高専卒>
技術系19万4,186円

<短大卒>
事務系18万4,318円
技術系18万6,272円

<高校卒>
事務系17万1,955円
技術系17万3,939円
現業系17万2,080円

なお、「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は42.6%で、前年比では14.6ポイ ント減となったものの、2014年以降7年連続で40%超となりました。一方、「前年の初任 給を据え置いた」と回答した企業は57.4%と前年から15.0ポイント増加しました。なお、 初任給を「引き下げた」と回答した企業は、ありませんでした。全学歴で初任給が引き上げられましたが、引き上げ率は対前年では若干減少しています。

■初任給はいつもらえる?

次に、初任給はいつ支給されるのか確認してみましょう。初任給は、「4月に働いた分を5月にもらえる」と思っている人が多いようですが、会社によって、4月中に支給される場合と、5月以降に支給される場合に分かれます。それは、会社ごとに締め日と支払日の組み合わせが異なるためです。4月中に支給されるパターンと5月以降に支給されるパターンを見てみましょう。

<4月中に支給>

・月末締め当月〇日払い

たとえば、「月末締め当月25日払い」のように決められている会社は、4月1日~4月30日 の給料が、4月25日に初任給として満額支給されます。つまり、実質的には、1か月分の給料が少し早く前払いされているのです。なお、変動給である残業代が発生した場合は、25日時点では支払われず、翌月に持ち越しとなるため注意が必要です。国家公務員や地方公務員は、この支払パターンに当てはまります。国家公務員の場合、毎月16日頃(16~18日)に給料が支払われることが多く、初任給は4月16日頃に満額が支給されます。一方、地方公務員の場合、毎月21日頃に給料が支払われることが多いため、初任給は4月21日頃に満額が支給されます。

・●日締め当月○日払い

「15日締め当月25日払い」のように決められている場合、3月16日~4月15日に実際に勤務した分が4月25日に支払われます。ただ、新社会人の場合、働き始めたのは4月1日からで すので、4月1日~15日の勤務分が日割りで支払われることになり、金額としては約半額となります。会社によっては、5日締めや10日締めのところもありますので、その場合、金 額はさらに少なくなります。ただし、会社が「月給制」を採用している場合、1か月分が支給されるケースもあるようです。なお、残業代も4月に支給される会社が多いですが、5月に持ち越される会社もあります。

<5月以降に支給>

・●日締め翌月○日払い

一方、「月末締め翌月10日払い」のように決められていれば、4月1日~4月30日の勤務分 が、5月10日に初任給として支給されます。この場合、残業代も一緒に支給されます。な お、支払日が翌月20日や25日という会社もありますので、その場合は、働き始めてから初任給を受け取るまで2か月近くかかることになります。

・●日締め翌々月○日払い

さらに、初任給の受取まで、丸々2か月かかるパターンもあります。それは、「月末締め 翌々月1日払い」などと決まっている場合です。この支払パターンだと、初任給を受け取 るのは6月1日となります。ですので、4月1日から2か月間、収入のない状態でどうやりく りするのか、しっかり考えておく必要があります。なお、自分の会社が月給制なのか日給制なのか、締め日と支払日はいつなのかを知るには、給与規定や就業規則を確認してみましょう。

■額面給与と手取り額の差とは

また、初任給を受け取る時に気を付けたいのが、「額面給与」と実際に支払われる「手取り額」には差があるという点です。なぜなら、額面給与からは、様々な社会保険料や税金が天引きされているからです。たとえば、4月に初任給を受け取る時、その給料からは雇 用保険料と所得税が差し引かれています。5月の給料からは、さらに健康保険料と厚生年 金保険料が引かれますので、手取り額は4月より減ることになります。

そのうえ、翌年6月からは、住民税の支払いが始まります。住民税が引かれることで、社 会人2年目は手取り額がさらに減ってしまうのです。額面給与が丸々振り込まれるわけで はないことを、頭に入れておきましょう。

■給料の支払日をしっかり確認しよう

初任給が振り込まれるまでは手持ちの資金でやりくりしますので、自分の会社の支払日はいつなのか確認しておきましょう。また、社会人になり給料がもらえるというのは嬉しいものですが、生活費や好きなことに使う以外にも、しっかり貯金をしておきましょう。はじめは、少ない金額からで構いません。新社会人のうちから貯める習慣を身につけておくと、数年後には大きな差になっているはずです。