飲食店などでよく使われる「千客万来」とは、ひっきりなしにお客様が訪れる様子を表す、商売人にとって縁起がいい言葉です。お守りや熊手などでもよく見かけますよね。
この記事では、千客万来の意味や成り立ち、使い方を紹介していきます。あわせて類義語や対義語、英語表現などもご紹介します。
「千客万来」の意味 ・読み方
千客万来とは、「たくさんの客がたえまなく訪れること」という意味の言葉です。年末年始の繁忙期などにひっきりなしに客が訪れ、めまぐるしい様子を指して使われます。
縁起のいい言葉なので、お店や会社に飾る熊手や絵、のぼり・ステッカーなどにもよく使われる言葉で、同じく縁起物として知られる招き猫と一緒に描かれたグッズなども多く販売されています。
読み方は「せんきゃくばんらい」
千客万来は「せんきゃくばんらい」と読むのが一般的ですが、「せんかくばんらい」という読み方もできます。
片方の読み方しか知らないと、自分が知ってる読み方ではない方で読んだ人に対して「間違った読み方だよ」と指摘してしまうかもしれないので、注意しておきましょう。 この機会に、2通りの読み方があるということをぜひ覚えてみてください。
「千客万来」の語源・由来とは?
千客万来の「千客」とは、たくさんの客のことです。「万来」とは、たくさんの人がくることを意味します。
つまり千客万来とは、大きい単位である「千」と「万」を重ねて強調している表現で、客でごった返している様子を表す言葉です。
「千客万来」の使い方と例文
千客万来は日常会話ではあまり使う機会がない言葉です。使うシーンを例文とともにご紹介します。
いつもお店が繁盛している様子を表す
・あの老舗ラーメン屋はいつも行列ができていて千客万来だ
・年末になると買い出しのお客様で千客万来だ
千客万来は、商売が成功しているお店に対して使われる言葉です。たとえ小さいお店で実際の客が1,000人に満たなくても、来客が多く繁盛しているなら千客万来と表現されます。
セールでお店が繁盛している様子を表す
・優勝チームの系列百貨店が優勝記念セールを行っていて、ずっと千客万来でしたよ
・駅前でビラを配ったおかげか、セール中は千客万来のにぎわいだった
このように、セール開催時など平常時よりもたくさんの客でにぎわっている場合にも、千客万来と表現します。
来客が途絶えない様子を表す
・名誉ある賞を受けたことでいつになく来客が多く、千客万来と言っていいぐらいだった
・お正月は年始の挨拶のためにたくさんの方が訪れて、千客万来だった
千客万来は商売をしている人だけではなく、自宅にたくさんの来客がある場合にも使える表現です。挨拶に訪れる人や取材など、とにかく来客が多い場合に使われます。
神社でもよく用いられる
・神社で千客万来を願ってご祈祷をしてもらった
・毎年、年末には商売の成功を願って千客万来と書かれた熊手を購入している
千客万来は、神社でもよく見られる言葉です。商売の成功を願ってご祈祷を頼んだり、お守りを授かったりします。
「千客万来」の類義語
千客万来には、似たような状況で用いられるいくつかの類義語があります。
門前成市
「門前成市」の読み方は「もんぜんせいし」で、「門前市を成す」と読みくだすこともあります。「多くの人が出入りし、まるで市場のようににぎわっている様子」をあらわしています。
満員御礼
「満員御礼」とは、大相撲興行の本場所において入場者が一定数に達した場合に掲げる表示です。それが転じて、イベントやスポーツなどで人がいっぱいである状態をさすようにもなりました。客が多いという点で千客万来と共通しています。
「千客万来」の対義語
千客万来とは対照的な場合を表す対義語もあります。あまり使う機会はないかもしれませんが、語彙を増やすためにも知っておきましょう。
門前雀羅
「門前雀羅」とは、お店や家などに誰も訪れず、さみしい様子を表す四字熟語。「もんぜんじゃくら」と読みます。「雀羅」とは雀などを捕まえるための網のことで、門や門外に網を張って雀を捕まえられるほど、訪問者が少ないことをたとえています。
閑古鳥が鳴く
「閑古鳥が鳴く」とは、商売が流行っておらずお客さんがいない状態を表す言葉です。「かんこどりがなく」と読みます。ちなみに閑古鳥とは、郭公(かっこう)のこと。閑古鳥の鳴き声に寂しい印象があることなどが由来となっているといいます。
「千客万来」の英語表現
千客万来を意味する英語はたくさんあります。ここでは、比較的簡単な単語を用いた表現を紹介します。
so many visitors
「so many visitors」を直訳すると、「たくさんのお客さんたち」です。簡単な単語を組み合わせた言い回しですので、ぜひ覚えておきましょう。
great number of visitors
「great number of visitors」とは、「とても大勢の来訪者たち」のこと。客数が多いことをあらわしたければ、この言い回しがおすすめです。
a lot of customers
「many」の言い換え表現としてよく使われる「a lot of」も、ボリュームを表す場合に使われます。「a lot of customers」はたくさんの顧客がいる様子をあらわしています。
同じような言い回しとして、下記のような英語表現がありますので、使い分けながら活用してください。
・a succession of visitors(客であふれかえっている)
・overflowing with customers(来客者であふれている)
・flood of customers(客でいっぱい)
・be thronged with visitors(たくさんの客で混みあった)
flourish
「flourish」とは、繁盛することを意味する英単語です。客の数が多いことや商売がうまくいっていることなどを表す単語と組み合わせて千客万来の英語表現として使われます。
This store is doing a flourishing business(この店は千客万来で繁盛している)
千客万来は商売人にとって縁起がいい言葉
千客万来とは、お店などにたくさんのお客様があふれかえっている様子を表す、前向きな意味を持つ言葉です。お店やにぎやかな場所に対するほめ言葉としても使えます。取引先など、お世話になっている相手に対して使うにも適しています。自分が商売を始めるときや、商売をしている相手に対して、ぜひ使ってみるといいでしょう。