頑張っている仕事仲間を励ましたいと思うとき、ありませんか? そんなときに使いたいのが、「果報は寝て待て」という言葉です。この言葉の本当の意味を知らず、誤った意味で理解している人も多いようです。
この記事では、「果報は寝て待て」の意味や使い方を説明します。類語や対義語、英語表現も紹介していきます。
「果報は寝て待て」の意味
「果報(かほう)は寝て待て」とは、幸福が訪れるのは人間の力だけではどうにもならないのだから、焦らずに好機がやってくるのを待て、という意味の慣用句です。これまで最善を尽くしてきた人に対して使われる言葉です。
単なる幸運を指す言葉ではない
「果報は寝て待て」という言葉を「幸運は待っていればやってくるから、ただ寝ていればいい」という意味に誤解している人もいます。しかしこの言葉は、努力した結果に対して使われる言葉であり、単なる幸運をさすものではありません。
これまで頑張ってきた人に対し、「あなたはこれまでしっかりと努力してきたのだから、もうあとは運を祈るだけ。いい結果を願って待っていなさい」というメッセージを送りたい際に使うのが正しい使い方です。
「果報は寝て待て」の由来は仏教
「果報は寝て待て」の「果報」とは、「以前行った行為に対して、あとから受ける結果」を意味する仏教用語です。もともとは前世の所業が原因となり、現世で受けるさまざまな結果を意味していました。現在では「いい結果」を意味するようになっています。
「果報は寝て待て」の使い方・例文
誤って認識されていることの多い「果報は寝て待て」という言葉。正しい使い方を理解しておきましょう。
仕事の結果を待っている相手に対する励ましの言葉
できることはすべてやったのだから、気を揉んでもしょうがない。果報は寝て待てだよ
仕事のプレゼンテーションなどの場合、どれだけ努力して用意したとしても、採用されるかどうかは先方次第です。それでも、結果を待ってそわそわし、上の空になってしまうこともあるもの。そんな人には、相手の努力を認めつつ気持ちに寄り添える言葉をかけてあげましょう。
試験の結果待ちをしている相手への励ましの言葉
試験に必要な勉強は全部やり尽くしたでしょう。合格発表まで果報は寝て待てだよ。ゆっくりしよう
資格試験や高校・大学受験などは、どんなに準備を重ねて臨んでも、必ず合格できるわけではありません。これまで努力してきた人にとっては、結果を待つまでの心構えを示す言葉になるでしょう。
恋愛やプロポーズの結果待ちにも
自分の気持ちは存分に伝えたのだから、果報は寝て待てでよい返事を祈ろう
「果報は寝て待て」は、仕事だけでなく恋愛の結果待ちでも使える言葉です。プロポーズや告白の結果待ちの間に、はやる気分をやわらげてくれます。相手が返事を保留しているシチュエーションなどでは、この言葉で気持ちを落ち着かせてあげましょう。
「果報は寝て待て」の類義語
「果報は寝て待て」には、似た意味を持つことわざや慣用句がいくつかあります。なかでもよく使われる類義語を紹介します。
- 人事を尽くして天命を待つ
- 待てば海路の日和あり
人事を尽くして天命を待つ
「人事(じんじ)を尽くして天命を待つ」とは、「自分ができることは最善を尽くして、結果は運命に任せる」という意味の言葉。全力を尽くしたあとの、悔いのない心境を表す言葉でもあります。ビジネスなど改まったシーンで使うにも適しています。
待てば海路の日和あり
「待てば海路(かいろ)の日和(ひより)あり」とは、「たとえ悪いことが続いていても、待っていればいい日がやってくる」という意味のことわざです。航海中に悪天候が続く様子をたとえて、教訓として用いられてきました。「待てば甘露(かんろ)の日和あり」が変化したとも言われています。
「果報は寝て待て」の対義語
「果報は寝て待て」には類義語が多い反面、逆の意味を表す言葉も多いです。どのような対義語があるのか、代表例をご紹介します。
- 蒔かぬ種は生えぬ
- 棚から牡丹餅
蒔かぬ種は生えぬ
「蒔かぬ種は生えぬ」とは、努力なしでいい結果は得られないことを意味することわざです。「果報は寝て待て」は努力をした人に対して使われますが、「蒔かぬ種は生えぬ」は、努力をしていない人に対する教訓として用いられます。
棚から牡丹餅
「棚から牡丹餅」とは、大きな苦労をせずに、幸運を手に入れることを例えたことわざです。「果報は寝て待て」は努力の結果を待つ場合に使われますが、「棚から牡丹餅」は努力をせずに結果だけ得ることを意味します。
関連記事:棚から牡丹餅の類義語、言えますか?
「果報は寝て待て」の英語表現
英語にも「果報は寝て待て」と同様、待つことの大切さを表す格言があります。代表的な表現を紹介します。
Everything comes to those who wait
「Everything comes to those who wait」は、「果報は寝て待て」や「待てば海路の日和あり」などと同様、「辛抱して好機をじっくりと待て」という意味で使う言い回しです。
そのほかにも下記のような表現があります。
- Good thing comes to those who wait (待っていればいいことがやってくる)
- There is luck in leisure (余暇を過ごしていれば幸運が訪れる)
- Sleep and wait for good luck (幸運のために寝て待て)
「果報は寝て待て」を使って励ましてみよう
「果報は寝て待て」とは「幸運は人間の力だけではどうすることもできないから、焦らずに時機を待て」という意味のことわざです。これまで頑張ってきた人に、励ましの言葉として使われることが多いです。「何もせずに寝ていたら、いい知らせがくる」という意味ではなく、しっかりと努力した人が結果を待つ場合に使われる言葉なのです。
頑張って準備をしたプレゼンの結果を待っている仕事仲間などに対して、ぜひ「果報は寝て待て」と励ましてあげましょう。