えちごトキめき鉄道は26日、鉄道テーマパーク「直江津D51(デゴイチ)レールパーク」の内覧会を実施した。4月29日のオープンを予定しており、蒸気機関車D51形827号機による「SL乗車体験」のほか、国鉄急行色となった413系が展示される。
同社の本社がある直江津駅は「新潟県鉄道発祥の地」とされ、国鉄時代から信越本線と北陸本線が接続する拠点駅だった。両路線とも昭和40年代前半まで非電化だったため、蒸気機関車が客車・貨車を牽引していたという。
2015年3月にえちごトキめき鉄道が開業し、妙高高原~直江津間(旧信越本線)は妙高はねうまライン、市振~直江津間(旧北陸本線)は日本海ひすいラインとなったが、直江津駅隣接の車両基地(直江津運転センター)に、国鉄時代からの大きな転車台(20m級)と扇形庫が残っていた。蒸気機関車の活躍を現代に伝えるこれらの施設を活用し、新たな鉄道テーマパークとして「直江津D51レールパーク」がオープンすることになった。
「SL乗車体験」で使用するD51形827号機は、鉄道車両輸送で実績のあるアチハが譲り受け、和歌山県の有田川鉄道公園に保存され、大型コンプレッサーによる圧縮空気を動力として乗車体験を行っていた蒸気機関車。これを5年間のリース契約でえちごトキめき鉄道が借り受け、緩急車(昔の貨物列車の車掌車)の「ワフ29603」とともに昨年秋、直江津運転センターへ搬入された。
オープンに先立ち、報道関係者向けに実施された内覧会でも体験乗車が行われた。D51形827号機に緩急車「ヨ6316」「ヨ6314」を連結した編成で、パーク内のSL発車ホームから直江津駅の自由通路付近まで往復した。今回の走行では、「ヨ6314」が往路で先頭となり、前面展望を楽しめた。「ヨ6314」の車内にはストーブも設置されている。一方、「ヨ6316」からは、D51形827号機を間近に見ることができた。走行中、えちごトキめき鉄道や北越急行の多彩な車両を見られるのも面白い。
「直江津D51レールパーク」の扇形車庫では、国鉄急行色をまとった「クハ412-6」が展示されていた。国鉄時代に製造された急行形電車を改造し、北陸地区のJR線で活躍した近郊形電車413系のうちの1両で、乗降ドアの形状や配置に違いがあるものの、往年の急行列車の雰囲気を再現していた。展示用となった「クハ412-6」は、外観・車内を見学できるほか、トキ鉄グッズを販売するショップとしても活用するとのことだった。
えちごトキめき鉄道は、この「クハ412-6」も含む413系3両と、国鉄時代の急行形電車の雰囲気を残す「クハ455-701」の計4両をJR西日本から譲り受けている。4両とも松任工場で国鉄急行色に塗り直され、今年4月に直江津運転センターへ輸送された。「クハ412-6」を除く3両はATS(自動ブレーキ制御)を取り付け、観光列車・定期列車(急行)として運転開始する予定。直江津駅のホームから、国鉄急行色の「クハ455-701」が見えた。
扇形庫内では「ワフ29603」も展示されていた。「エンジョイ☆コーナー」も扇形庫内に設置され、「線路の石」の缶詰制作や、景品をもらえるミニゲームなどの催しが行われる。入場券に付く「エンジョイ☆チケット」で参加可能とのこと。「直江津D51レールパーク」は直江津駅(南口)から徒歩3分と気軽に立ち寄れる位置にあり、昔を懐かしむお年寄りから小さなこどもまで、幅広く楽しめる施設となっていた。
なお、オープン直後は混雑が予想されるため、4月29日から5月5日まで事前予約必須の定員制で営業。5月6日以降、直接の来場も可能となる(現地での支払いは現金のみ)。営業期間は3月上旬から12月上旬までとされ、おもに土日祝日に9時45分から17時まで営業する。入場料金(一般料金)はおとな1,000円・こども700円。シーズン中に何回も利用できる「シーズンパスポート」、「エンジョイ☆コーナー」を何度も楽しみたい人向けの「エンジョイ☆回数券」も用意される。
「直江津D51レールパーク」のオープン後、「SL乗車体験」は1日4回実施される予定。午前の1・2回目は定員24名、午後の3・4回目は定員48名(1往復24名×2回)とされ、各回先着順となる。発車時刻の10分前から、乗車に必要な整理券が配布される。