ホンダの新型「ヴェゼル」は車載通信モジュール「Honda CONNECT」(ホンダ コネクト)を通じてインターネットにつながるため、さまざまなオンラインサービスが使用可能だ。オリジナルも含め、車載アプリは9種類と充実。「radiko」と「AWA」が入っていて、オプションにはなるもののホンダ独自のプレミアムオーディオも装着可能だ。
つながるクルマとしての実力派は
新型ヴェゼルには、ホンダが小型車「フィット」(現行型、2020年3月発売)で初めて搭載した車載通信モジュール「Honda CONNECT」が積んである。これを通じ、ホンダのコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」が利用可能だ。Honda Total Care プレミアムは最短1カ月からのサブスクリプションサービスで、基本料金は月額550円。デジタルキーと車内Wi-Fiはオプションで、追加料金として各330円が必要になる(Wi-Fiは1GBあたりの価格)。
ヴェゼルの事前取材では、いくつかの機能を実際に試してみることができた。
まずはデジタルキー。スマートフォンをクルマのキーとして使える機能で、ロックを解除したり、エンジンをかけたりすることができる。エンジンをかけるにはまず、クルマ側でPINコードを表示させて、それをスマホで打ち込んだら、あとはブレーキペダルを踏んでエンジンスタートボタンを押すだけ。キーを持たずに乗り込んだヴェゼルでも、本当にエンジンをかけることができた。
地図更新も嬉しい機能だが、ヴェゼルのやり方はスマートだ。オンラインでの地図更新と聞くと、年に何度か「地図を更新してください」といった感じの表示が出てきて、「更新ボタン」をタッチするか何かでいっぺんに地図を新しいものに切り替えるような手法を想像していたのだが、ヴェゼルは違う。現在地付近や設定した目的地付近をさりげなく、リアルタイムで最新の地図に更新していくのだ。
アプリもいくつか試してみたのだが、役に立ちそうだと思ったのがナビタイムが提供する「よりみちスポット検索 よってこ! by NAVITIME」だ。
「よってこ」は寄り道スポット検索アプリだ。1人、カップル、家族連れなど、ドライブの状況に合わせて絞り込みをかけて、現在地付近や目的地付近などのオススメ寄り道スポットを検索できる。いくつかのスポットを「経由地」として選んで、場所ごとに滞在予定時間を設定することも可能。そのルートをナビに送ればしっかり道案内してくれる。
ナビで経由地を設定するのは往々にして面倒くさいものだが、このアプリであれば直感的に経由地を追加していくことができる。立ち寄る場所ごとの滞在時間まで考慮したうえで移動時間を計算してくれるのは、かなり便利そうな機能だと思った。
radikoは毎日のように起動しているのですばらしいアプリだと断言できるし、AWAも有名なサブスクなので説明不要だろう。音声アプリとクルマの相性についてはいわずもがなだ。ただ、最後にひとつだけ、重要なことをお伝えしておきたい。新型ヴェゼルは「音がいい」のだ。エンジンではなく、オーディオの話である。
試したのは、「プレミアムオーディオ(10スピーカー)」(「e:HEV Z」と「e:HEV PLaY」にメーカーオプションとして設定)を装着した新型ヴェゼルだったのだが、音のよさはAWAで音楽をかけた瞬間に気がついた。
プレミアムオーディオはホンダが独自開発したオーディオであり、なおかつヴェゼルに合わせた専用のチューニングが施されている。「原音再生」にこだわり、高級スピーカーに採用される「ケブラーコーンスピーカー」やパイオニア製高性能アンプなどを採用して最適な音響を追求したそうだ。使っているスピーカーは合計10個。置く場所にも当然、こだわっているとのこと。
コネクト機能を説明してくれたホンダ 電子制御開発統括部の安藝未来さんに「ヴェゼルは音がいいですね」と率直に伝えたところ、こんな話が聞けた。
「音がいいでしょう! リア席にもスイーター(高音用のスピーカー)を積んでいるので、全ての席で高音質の音楽が楽しめるんです。ホンダは自動車メーカーというイメージだと思いますが、オーディオのエンジニアもけっこう“ヤバい”といいますか、“マニアックなやつ”が多いんですよ。シートの表皮ごとにチューニングを施したりするので、開発中は『まだテストするの?』という感じで泣かされたりもするんですけどね(笑)」
「AMP UP YOUR LIFE」をグランドコンセプトとするだけに、新型ヴェゼルは音にも相当なこだわりを持ったクルマのようだ。