JTBは4月22日、「ゴールデンウィーク(GW/4月25日~5月5日)の旅行を取り巻く環境と1泊以上の旅行に出かける人の意識調査」の結果を発表した。調査は4月9日〜14日、全国の15歳〜79歳の個人への事前調査(2万人対象)で、「GWに国内旅行に行く/たぶん行く」と回答した1,535人を対象にインターネットで行われた。

なお、この調査は、大阪府や東京都などが緊急事態宣言の発出を政府に要請する前に実施されたアンケートデータを元に分析している。

  • GWの旅行意向

今年のGWのカレンダーは、5月1日〜5日が5連休。4月30日を休みにすると、4月29日から7連休となる。帰省を含めた旅行意向を聞いた。

期間中に旅行に行くかどうかについては、「行く(「行く」と「たぶん行く」の合計)」と回答した人は10.3%。コロナ禍前のGWの旅行意向は概ね25%で推移していたが、今年は例年の半分以下になっている。性年代別でみると、男女とも若い年代ほど旅行意向が高くなる傾向がみられる。「行く」が男性29歳以下は19.1%、女性29歳以下は16.5%に対し、男性60歳以上は6.9%、女性60歳以上は3.7%だった。

旅行に行かない理由としては、「新型コロナウイルス感染症がまだ収束していないから/拡大の懸念があるから」(63.9%)が最も多く、次いで「GWは混雑するから」(22.4%)、「家でのんびりしたいので」(15.4%)となっており、新型コロナが大きく影響している。

旅行に行く目的や理由については、「リラックスする、のんびりする」(40.6%)が最も多く、次いで「家族と楽しく過ごす」(38.8%)、「自然や風景を楽しむ」(34.5%)、「食事、地域の味覚を味わう」(30.8%)、「温泉」(27.9%)となっており、旅行先でゆったりと過ごしたい意向がうかがえる。

「5月1日出発」「1泊」「関東」「家族旅行」が多い傾向

GWに旅行に行く/たぶん行くと回答した人の旅行の出発日は、5連休の初日である「5月1日」(25.8%)が最多。次いで「4月29日」(13.7%)、「5月2日」(12.6%)の順となっている。旅行日数は「1泊」が39.2%と最も多く、次いで「2泊」(28.6%)、「3泊」(16.3%)となっている。3泊までの旅行が全体の8割以上を占めており、短期旅行の傾向が表れている。

旅行先は、「関東」が20.5%で最多となり、次いで「近畿」(13.7%)、「東海」(11.1%)。その地域を選んだ理由としては、「行きたい場所があるので」(36.2%)、「自家用車やレンタカーで行ける場所なので」(24.1%)、「自然が多いなど、三密を回避しやすい地域なので」(22.9%)、「帰省先なので」(22.7%)が高い結果に。居住地別に旅行先を見ると、全国的に旅行先と居住地が同じ地方の割合が高くなった。

  • 回答者の居住地別 GWの旅行先

同行者は「子供づれ(中学生までの子供がいる)の家族旅行」が25.3%で最も多く、次いで「夫婦のみ」(22.1%)。これらに「(母娘、三世代等の)その他の形態の家族旅行」(11.3%)を加えると、家族旅行が過半数となる。一方で、「ひとり」(19.5%)もコロナ禍前の2019年より5.2ポイント増加している。

一人当たりの旅行費用は、「1万円~2万円未満」が23.8%で最も多く、次いで「1万円未満」(21.3%)、「2万円~3万円未満」(20.1%)となっており、3万円未満が6割以上を占めた。

利用交通機関は、「乗用車・レンタカー」が65.5%で最も多く、次いで「JR在来線・私鉄」(19.6%)、「JR新幹線」(17.7%)となっている。公共交通機関より乗用車を利用する傾向がみられた。

利用宿泊施設は、「ホテル」が38.2%で最も多く、次いで「実家や親族の家」(24.1%)、「旅館」(20.2%)となっている。ホテルは2019年の53.3%から減少傾向。「キャンプ場・グランピング・キャンピングカー・車中泊など、アウトドアに関する宿泊」が7.2%。

新型コロナ感染拡大の影響は?

新型コロナの感染が増加傾向にある中で、旅行において特別に考慮したことを聞いた。特に考慮したこととして、上位から「公共交通機関を使わずに、自家用車やレンタカーを使う」が36.5%で最も多く、次いで「少人数での旅行にとどめる」(32.0%)、「家族・親族や親しい友人以外には会わない」(30.6%)、「感染者数が増加傾向の地域は避ける」(21.8%)、「人が多数移動する時間を避ける」(19.5%)、「部屋食や個室で食事ができる施設を選ぶ」(19.5%)となった。

  • コロナ禍の旅行において特別に考慮したこと

次に、今後新規感染者数の増加や国・自治体からの自粛要請が厳しくなった場合のGW旅行の対応について見てみると、「今より感染者数が増えた時点で旅行は中止する」(8.1%)、「状況・条件によっては旅行を中止する」(43.5%)が合わせて51.6%となった一方で、「状況に関係なく当初の予定通り旅行する」も31.8%を占めている。

  • 新規感染者数の増加や国・自治体からの自粛要請が厳しくなった場合のGW旅行の対応について

このうち「内容を変更して旅行する」と答えた人は、「旅行する日数を短く変更する」(35.2%)、「行き先を自然が多い場所(アウトドアなど)に変更する」(30.3%)、「行き先を居住地内など近場に変更する」(23.0%)、「行き先を自粛要請の出ていない地域に変更する」(21.8%)と考えており、変更内容が分散する結果となった。

一方、「状況・条件によっては旅行を中止する」と答えた人に、どんな状況なら中止するか聞いたところ、「旅行先に緊急事態宣言が出されたら、中止する」(60.1%)、「自身の居住地に自粛要請が出たら中止する」(40.2%)、「旅行先がまん延防止等重点措置の対象地域になったら、中止する」(38.4%)となり、旅行の目的や内容などの変更ではなく、宣言や要請が発出された段階で旅行中止を判断したいという意向がうかがえた。

  • どのような状況・条件の場合に旅行を中止するか

GW期間中の「ワーケーション」の予定については、「ワーケーションを行う予定はない」が77.7%となった一方、22.3%の人はGW前後の平日に滞在先でテレワークを行うなど、何らかの形でワーケーションを予定していることがわかった。