「お邪魔します」という言葉の意味と別の言い方、使うタイミング、より丁寧な表現などの基礎知識について解説します。さらに、「お邪魔させていただきます」が正しい表現かどうかについてもまとめました。
「お邪魔します」「お邪魔させていただきます」を使った例文や、英語での表現についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「お邪魔します」の意味
「お邪魔します」という言葉は、友達の家へ遊びに行ったり、取引先に出入りしたりする際に頻繁に利用する機会のある言葉です。まずは「お邪魔します」の意味と使うタイミングなど、基礎知識について確認しましょう。
「お邪魔します」は敬語
「お邪魔します」とは、他人の家に上がる場合などに使用する挨拶言葉の一種です。通常、他人の家に上がるときに「お邪魔します」、帰るときに「お邪魔しました」とセットで使用します。ビジネスシーンでも、相手のオフィスに訪問する際は「失礼します」とともによく使う言葉です。
「お邪魔」は、自分が相手に干渉することをへりくだっていう謙譲表現であり、「します」をつけることで丁寧な敬語表現となっています。
「お邪魔します」を使うタイミング
使用するタイミングは、実際に相手の家に上がる、もしくはオフィス内に入るときです。相手に確認をして、許可をもらってから実際に入る際に使います。また、相手が休息中や仕事中など何かをしていて、それを割り込む場合にも「お邪魔します」は使用可能です。
「お邪魔します」の別の言い方
「お邪魔します」の別の言い方としては以下が挙げられます。
- 失礼します
- 上がらせていただきます
- 御免ください
いずれも、「お邪魔します」の言い換え表現です。ただし「御免ください」だけは、相手先に訪問したときの声かけとして使用するため、利用シーンが少々異なります。
「お邪魔します」の丁寧な言い換え表現
「お邪魔します」のより丁寧な表現に、「お邪魔いたします」や「お邪魔させていただきます」があります。どちらも、「お邪魔します」をより丁寧にした言い回しで、プライベートでもビジネスシーンでも問題なく使用できる表現です。
「お邪魔します」を使った例文
「お邪魔します」の使い方がわかる例文を利用シーン別に紹介します。
【相手の家へ招かれた場合】
相手の家へ招かれた際の例文です。
自分:御免ください、〇〇です。
相手:いらっしゃい、どうぞおあがりください。
自分:それではお邪魔します。
自分:本日はありがとうございました。
相手:お気をつけてお帰りください。
自分:本日はお邪魔しました。
こちらはプライベートで相手の自宅を訪問したときのやり取りです。訪問時は名前を名乗り、相手から家に上がる許可を得てから「お邪魔します」といって家に上がる、という流れになります。
【仕事中の相手に話しかける場合】
仕事中の相手に話しかける際の例文です。
自分:お忙しいところお邪魔いたします。お願いしていた〇〇の件、どうなっているか教えていただけますか?
相手:あと1時間ほどで完成します。完成次第送付します。
自分:回答ありがとうございます。お邪魔いたしました。
仕事中に割り込みをかけ、自分が干渉することをへりくだって表現する際に使用します。割り込みの最後に「お邪魔致しました」を付けると、話の区切りがわかりやすくなるでしょう。
【「お邪魔します」に返答する場合】
自分が相手を家に上げる側になる場合は、「お邪魔します」の返答としては以下がいいでしょう。
「いらっしゃい」
「どうぞゆっくりしていってくださいね」
「(相手が遠くから来た場合は)遠路はるばるようこそいらっしゃいました」
自分が作業をしていて割り込みがかかる場合は、定型の返事はありませんが、問われた内容を答えるケースが多いでしょう。
【類語表現の場合】
類語の「失礼します」や「上がらせていただきます」は、「お邪魔します」とすぐに置き換えられる表現です。
自分:それでは、失礼します(上がらせていただきます)。
自分:本日は失礼しました(どうもありがとうございました)。
「失礼します」「失礼しました」はセットで使えますが、「上がらせていただきます」は帰宅時に対となる表現はありません。「お邪魔しました」「失礼しました」「どうもありがとうございました」など、いずれの表現も問題なく使えます。
「お邪魔します」を使ったビジネスメールの例文
ビジネスで「お邪魔します」を使うシーンは、先方の会社へ伺うときが多いでしょう。そのため、訪問時のアポイントメールで「お邪魔します」あるいは「「お邪魔させていただきます」という表現を使う機会がよく見られます。
「お邪魔させていただきます」は二重敬語?
「お邪魔します」と似た敬語表現として、取引先などに訪問のアポイントを取る際、「●時にお邪魔させていただきます」と表現することがあります。この表現は「二重敬語になっているため間違っている」と指摘されるケースがあります。ここではこの「お邪魔させていただきます」について解説していきます。
二重敬語とは
二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」のように同じ種類の敬語を重ねて使う表現のことです。「おっしゃられる」(おっしゃる+れる)が一例です。敬語が冗長になったり、卑屈すぎたりする感が出てしまうことが相手に不快な念を抱かせる可能性がある点から、使用を控えたほうがよいと考えられています。
二重敬語の一例
- ~とおっしゃられた
- あの本をご覧になられましたか
- お客様がお見えになられました
二重敬語に見えるが正しい使い方
一見すると「お邪魔させていただきます」は、謙譲語が連続するため二重敬語に見えます。ただし、ここで重要なのが、「同じ言葉に対して同じ種類の敬語を重ねた表現」のみが二重敬語として認識されるということです。
「お邪魔させていただきます」は、「邪魔」のへりくだった表現「お邪魔」と「させてもらう」の謙譲語「させていただく」を合わせたものであり、別の言葉に対して敬語を用いています。そのため、同じ言葉に対して同じ種類の敬語を重ねた二重敬語には該当しないと解釈できます。
つまり、「お邪魔させていただきます」二重敬語ではなく、表現として正しい使い方なのです。
「お邪魔させていただきます」の例文
ここで「お邪魔させていただきます」の使い方を確認できる例文を紹介します。
自分:明日の11時に御社を訪問するということでよいでしょうか。
相手:明日は、11時30分以降なら調整できます。
自分:ありがとうございます。それでは明日の11時30分にお邪魔させていただきます。
「お邪魔させていただきます」は、このように、訪問の約束を取り付けたとき、相手の最終的な承諾を得たい場合に利用します。
「お邪魔します」の英語表現
英語で「お邪魔します」は、以下の表現が使えます。いずれも基本的なフレーズとして覚えておくといいでしょう。
「Excuse me for disturbing.」(お邪魔します。)
「I am sorry to intrude on your precious time.」(お忙しいところお邪魔しまして恐縮です。)
「お邪魔します」の韓国語表現
韓国語で「お邪魔します」は、以下の表現が使えます。いずれも基本的なフレーズとして覚えておくといいでしょう。
「シルレハゲッスムニダ」
失礼します。(お邪魔します。)
「お邪魔します」は挨拶表現! 使うタイミングなどを確認しよう
「お邪魔します」は、基本的に相手側の空間に立ち入る直前の挨拶表現です。使うタイミングは、相手方の家や職場など、相手側の空間に入る直前が適切です。言い換え表現やさらに丁寧な表現を覚えて、ビジネスシーンでもぜひ使いこなしてくださいね。