初対面にもかかわらず相手が自分のことをよく知っている、または、相手と共通の話題が多いという経験がある方もいるのではないでしょうか。そんなとき、相手はホットリーディングという心理テクニックを活用しているのかもしれません。
ホットリーディングを上手く使えば相手の信頼を得ることが可能です。それは、ビジネスで取引先との商談を有利に運ぶのに役立つでしょう。本記事では、ホットリーディングの意味や使い方を紹介します。
ホットリーディングの意味
ホットリーディングとは、あらかじめ相手のことを調べておき相手の信頼を得る心理テクニックです。
例えばこれから会う相手の趣味や家族構成、好きな食べ物などをあらかじめ調べておき、その情報を元に、相手が会話の話題として食いつきそうなことを質問することで、相手の信頼を得ていきます。
ビジネスシーンでホットリーディングを活用するメリット
ホットリーディングは占い師が使う印象を持つ方も多いですが、ビジネスで活用すればこちらの有利に会話を進めることも可能です。ここからは、ホットリーディングをビジネスで活用するメリットについて解説します。
初対面でも話題ができる
事前に相手の趣味や好きなものの情報を探っておくと、相手に話題として振りやすいだけでなく、そこから会話を広げることが可能になります。
しかし、調べておいた情報を共通の話題として話すときは、「あなたの趣味はスキーですね」など、言い当てるような言い方をすると逆に怪しまれてしまうので注意しましょう。
親近感を持ってもらえる
調べておいた情報を上手に活用すれば、初対面の相手であっても親近感を持ってもらえます。
例えば、事前に相手の趣味がマラソンである情報を手に入れたとします。商談に入る前に雑談として「最近運動不足なためマラソンを始めた話」をすると、相手は自分との共通事項として親近感を覚え、話に乗ってくれるでしょう。
回避事項を知っておける
事前に相手の情報を調べておけば、相手が知られたくないことや相手との会話で避けたいことも知ることが可能です。
営業では雑談から会話がはずみ契約が決まることがあります。そのため雑談とはいえ選ぶ話題を間違えてしまうと相手に悪い印象を与えてしまうことになり、契約に結びつかなくなってしまうことも考えられます。
しかし、事前に相手にとって避けるべき話題を知っておけば、相手に悪い印象を与えてしまうことはありません。
ビジネスにおけるホットリーディングの活用方法
ホットリーディングは、取引先との交渉を有利に進めたいときにも活用できます。相手の情報を事前に調査して相手と共通の話題を持っているように見せ、相手からの信頼を得られれば、こちらが優位となるように会話を進められるのです。
性格や癖についての情報
相手の性格や癖について事前に情報があれば、仕事を進める上で有効な情報となります。例えば、取引先の相手が腕を組む癖があるとします。腕を組む理由は隠し事がある、怒っているなどさまざまです。取引先の相手がなぜ腕を組むのか事前に情報があれば、腕を組む仕草を見せたときの対応方法が分かります。
趣味や趣向についての情報
趣味や趣向についての情報は会話を広げるための材料となります。仮に相手の趣味が料理なら、最近ネットで流行っているレシピがおいしかった、といった投げかけが有効です。
趣味や趣向についての情報をビジネスに活用する場合、相手が趣味のことを話しだしたら、相手が気持ちよく話しやすいように聞き役に徹しましょう。また、相手の趣味が少しマニアックな場合は予習しておくと役に立ちます。
悩みについての情報
悩みについての情報は相手の共感を得るときに有効です。例えば、運動不足に悩んでいるという事前情報を得るとします。その悩みをあたかも自分の悩みのように話すことで、相手との共通の話題にすることが可能です。
人間は自分と同じであることに安心感を覚えるため、相手の本音を聞き出しやすくなるでしょう。
ホットリーディングの活用で注意したいこと
ホットリーディングは上手く活用しないと、相手との信頼関係を損ねる原因になりかねません。活用する際の注意点も知っておきましょう。
自然に振る舞う
自分に対して事前調査していることが分かってしまうと、相手はあまり良い気持ちにはなりません。そのため得た情報を初対面から利用しすぎないようにしましょう。
ホットリーディングを活用するときは、初対面の相手が不自然に思わないように多用せず、共通の話題があったのは偶然であるという態度を装うなど、自然に振る舞うことが大切です。
事前調査情報の精査
相手が伏せておきたい情報もあるため、得た情報には精査が必要です。情報の取得方法にはSNS、友人から聞き出すなどいろいろありますが、得た情報の中には相手が公にしたくない情報もあります。相手が知られたくないと思っている情報は話題にしないよう注意しましょう。
ホットリーディング以外にビジネスシーンで活用できる心理学
営業職の方であれば、「どうすれば成約につながるのか」ということに悩んでいるのではないでしょうか。ここからは、ホットリーディング効果以外にもビジネスシーンで活用できる心理学について解説します。
コールドリーディング
コールドリーディングとはホットリーディングと逆の手法で、事前情報なくその場で相手の心を読むテクニックのことです。そのため、コールドリーディングを利用するには深い洞察力や心理テクニック、経験などが必要になります。
コールドリーディングは、相手の話し方や使う言葉などから相手の人柄を推測します。また、言葉のトリックを利用して、不満や弱点などの誰にでも当てはまりそうなものを指摘することもコールドリーディングの手法です。
フット・イン・ザ・ドア
フット・イン・ザ・ドアとは、小さな要求を徐々に承諾させていき、最終的に目的となる大きな要求を通す、という心理テクニックのことです。
例えば、商品購入のための無料お試しキャンペーンなどがそれに該当します。ある品物をいきなり購入するのではなく、まず無料で使ってもらうのです。無料で試してもらう段階まで進めば最初のハードルはクリアしているので、購入まで徐々に導いていくというものです。
ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスは、目的よりも大きな要求を最初にして断らせ、その罪悪感を利用して小さな要求を通すテクニックです。
ビジネスで活用するときは、最初の要求は断ってもらえるように小さすぎず、かといって不快感を与えないよう大きくしすぎないといった注意が必要になります。
例えば、10万円のシステムを買ってもらいたいとき、最初にさまざまなオプションを付けたシステムを20万円で提示します。顧客が拒否したところで、本来の目的である10万円のシステムについて検討して欲しいことを伝えて契約させる、といった方法です。
ホットリーディングを活用して仕事を成功させよう
ホットリーディングを上手く使えば相手の信頼を得ることが可能です。初対面や大切な商談の際には、相手の情報を事前に調べておきましょう。とはいえ、情報には精査が必要です。事前に得た情報は、相手が触れられたくないことかもしれません。
ビジネスシーンでホットリーディングを活用する際は、何の情報を使うかや、話の切り出し方などに注意しましょう。