俳優の稲垣吾郎が主演を務める舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』の公開ゲネプロが22日、東京建物Brillia HALLにて行われた。
本作は、フランス革命期に実在した死刑執行人シャルル-アンリ・サンソンを稲垣が演じる新作舞台。マリー・アントワネット、ロベスピエール、ルイ16世らの首を刎ねたサンソンは、現役の医師であり、死刑廃止論者でもありながら、死刑執行人だった。激動のフランス革命期、運命に立ち向かった人物を稲垣が全身全霊で演じる。
また、革命の中心とも言うべき国王ルイ16世を中村橋之助、シャルルの父親を榎木孝明が演じ、橋本淳、牧島輝、落合モトキ、藤原季節、清水葉月、田山涼成らも出演する。
演出は白井晃氏、脚本は中島かずき氏(劇団☆新感線)、音楽は三宅純氏。この3人のクリエィティブチームは、舞台『ジャンヌ・ダルク』(2010年初演)、稲垣がベートーヴェンを演じた『No.9-不滅の旋律-』(2015年初演)に続き、3度目のタッグとなる。
公開ゲネプロでは、群衆をかき分け登場し、マントを翻したサンソン(稲垣)。死刑執行人という生まれた時から決められた運命を受け入れ、悩みながらもその仕事に誇りを持って向き合う。罪や身分によって決められた刑を執行し、処刑台の上に立って大剣を振り下ろす場面も。「死刑制度はなくさなければならない」と自問自答しつつ自らの職務をまっとうするサンソンを稲垣が熱演した。
開幕を前に、稲垣と白井氏がコメントを寄せた。
■稲垣吾郎
久しぶりの新作舞台になり、良い緊張感で稽古を続けることができました。フランス革命期に実在した死刑執行人“サンソン”は、僕がぜひ演じてみたいと思っていた人物でもあります。思い時代の中でも、社会を良くするために職務に忠実に生きた、サンソンという人物を精一杯演じたいと思います。
■白井晃
当初、このような時世の中で、これほどエネルギーを必要とする作品を作ることが本当にできるのか、大きな不安を持ちながら創作は始まりました。民主政治の源流となったフランス革命の熱と、その時期に実在したサンソンという死刑執行人の苦悩の物語を語るには、余りにも状況が不向きのような気がしたからです。
ムッシュー・ド・パリと呼ばれたひとりの男がたどった人生は、今の私たちからはおよそ想像できないほど過酷なものだったはずです。しかし、その人生に迫ろうとキャスト、スタッフが懸命にリハーサルを積み重ねるうちに、人が集まり創造するという演劇の持つエネルギーが、私たちをどんどん前へと引っ張ってくれ、不安は少しずつ消えていきました。そして、今、死神のように恐れられたシャルル-アンリ・サンソンの、心の奥底に流れる優しさに触れることができた気がします。
フィクションの中にあるリアルを作り出すために、献身的に惜しみなく力を発揮してくれた、キャスト、スタッフの結束力がもうすぐ実を結びます、きっと。
舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』は、4月23日~5月9日に東京建物Brillia HALLにて東京公演、5月21日~24日にオリックス劇場にて大阪公演、6月11日~13日に久留米シティプラザにて福岡公演を上演。さらにこのたび、横浜公演が決定し、6月25日~27日にKAAT 神奈川芸術劇場にて上演される。
※緊急事態宣言の発出により4月28日~5月9日の公演は中止