柔軟性のあるワークスペース、機敏なサービス、テクノロジーの活用で働き方に革命をもたらしているWeWork。ニューヨークで生まれたWeWorkには、日本のスタートアップ・ベンチャー企業だけでなく、中堅・中小企業の入居も増加してきています。
なぜ今、WeWorkに入居するのか。本稿では「WeWork丸の内北口」にオフィスを構え、全国にクライアントを持つSAKURA United Solution代表・連続起業家の井上一生氏が、WeWork Japanでマーケティング・パブリックアフェアーズ・ストラテジー統括責任者を務める金哲利氏と「WeWorkの価値の本質」について語ります。
「丸の内」という住所の価値
井上一生氏(以下、井上):本日は、ありがとうございます。「WeWork丸の内北口」では、日々さまざまな人たちと交流していますが、WeWorkの方と直接お話する機会は少ないのでありがたいことです。
金哲利氏(以下、金):SAKURA United Solutionさんは、WeWorkに入られる前は秋葉原にオフィスを構えていらっしゃったのですよね? WeWorkの存在はご存じでしたか?
井上:はい、ニューヨークでのWeWorkのムーブメントは知っていました。ですが、まさか自分たちが入居するとは当時は考えていなかったですね。ビジネスプロデューサー・書評家でIPO支援などもされている徳本昌大さんから日本のWeWorkについて教えてもらい、原宿の「WeWork Iceberg(アイスバーグ)」へ見学に行ったのが入居のきっかけです。
その前は秋葉原に東京オフィスを構えていました。和テイストでセミナールームもあり、こだわりを持ってデザインしてもらったオフィスです。「建物の顔」であるエントランスや立地、ビルのクオリティにもこだわりを持つ価値があると考えていますが、ここはWeWorkさんとは比べ物になりませんね。
金:秋葉原オフィスには思い入れはありましたか?
井上:もちろんありました。壊すときは、気持ちとしては苦しかったですよ。思い入れがありましたし、たくさんの思い出も詰まっていましたから。ある会社がその同じ部屋で上場していったという逸話もあります。
金:秋葉原オフィスを閉めて、まずは京橋の「WeWork 東京スクエアガーデン」にご入居いただいたのですよね?
井上:「We Work丸の内北口」は当時いっぱいだったので、とりあえず京橋に入ってウエイティングをかけてもらいました。その後、丸の内北口が増床するということでこちらに移りました。
金:やはり「丸の内」にこだわりがあったのでしょうか?
井上:いずれは「丸の内」に住所を持ちたいという昔からの願望もありましたね。日本の4大法律事務所のうち、3つは丸の内にオフィスがあります。相続専門の会計事務所も、いくつも丸の内にあります。
日系でも外資系でも、多くの有名企業が丸の内にオフィスを構えていますよね。なぜこのエリアに集結するのかというと、場所が企業の「志」や「格」を語るのだと思います。だから、立地はとても重要です。とはいえ8席程度のスモールオフィスを丸の内で借りるのは、物件がなくハードルが高い。ですが、WeWorkなら借りることができます。スタートアップ・ベンチャー企業や中小企業ほど、経済とのバランスも考えてですが、半端なレンタルスペースでなく、小規模でもWeWorkを活用した方が断然良いと私は感じています。
秋葉原も交通の便が良く便利だったのですが、丸の内とはイメージも信用度も違いますね。
「採用の強化」という価値
金:京橋を経て丸の内北口のWeWorkに入居され、他にはどのような価値を感じられていますか?
井上:採用の面でも、とても価値を感じています。秋葉原オフィスは居酒屋などの飲食店が入っている雑居ビルだったのですが、そこで企業説明会や面接をするのと、WeWorkでするのとでは最終面接への移行率が全く違いました。中小企業にとって新卒・第二新卒の採用は常に経営課題になっていますし、 採用コストも年々上がっています。ですから、最終面接まで残ってくれることは、私たち採用側にとっても嬉しいことなのです。WeWorkで企業説明会や面接をするようになってから、最終面接まで残ってくれる人材の質も変わってきたと思います。そういう意味でも、エントランスはやはり企業の顔ですね。WeWorkのコストは、実は新人採用投資という側面もあるわけです。
「本音を聞ける」という価値
金:以前、WeWork コミュニティアンバサダーである髙野一朗さんとの対談のなかで「本音を吐き出せて、本音を聞き出せる場所」とお話されていましたが、WeWorkですと本音は聞きやすいですか?
井上:そうですね。仕事柄さまざまなご相談を経営者の方からいただくのですが、特に地方の名士ほど地元では本音を吐き出せない、という話も伺います。人脈が広い名士の方は、地元だと気を遣いながら言葉を選んで話している。しかし、丸の内なら知っている人はいないので、本音を話せるわけです。新幹線の集結するターミナル駅には、そのような利点もあると思います。東京だと丸の内、大阪だと梅田あたりですね。
今はコロナ禍の影響で地方の方が東京に出てくることは難しいかもしれませんが「WeWork丸の内北口」は新幹線でも来やすいですし、情報が集まる場所なので勉強会やセミナーも盛んです。また同じビルに丸善があるので店内を歩いているだけでも「どんな本が流行っているのか」知れるのもうれしいですよね。感染症対策として車で来られるVIPの方をお迎えするときも、地下に広い駐車場があるので便利ですし、丸善や丸の内ホテルのレストランを利用することで駐車場代が割引になるサービスもありますよ、と「ハイテクニック」を伝えて待ちます。
それに「WeWorkにお立ち寄りください」とお伝えすると、「WeWorkを一度見てみたかった」という経営者の方も多くいらっしゃいます。実際に来ていただくと、インパクトは絶大ですね。16時以降はビールも飲めるので、一杯飲みながら本音を吐き出していただくこともあるんです。そういった場だからこそ解決できる経営課題もやはりあるものだな、と感じています。
(次回に続く……)