JR東日本は21日、品川開発プロジェクトエリア内で出土した「高輪築堤」の調査・保存方針を発表した。2020年9月以降、考古学・鉄道史などの有識者で構成された高輪築堤調査・保存等検討委員会を計7回実施し、調査・保存のあり方を議論・検討。今回の調査・保存方針をまとめたという。

  • 橋梁部の現地保存のイメージ(JR東日本提供)

高輪築堤調査・保存等検討委員会は、「高輪築堤」に関して、文化財的価値を日本の近代化土木遺産を象徴する遺跡として重要な位置を占めているとし、橋梁部(3街区)は明治時代の錦絵に描かれた当時の風景をそのまま残しており、西洋と日本の技術を融合して造られたものととらえられると評価。信号機土台部(4街区)を含む前後の築堤も鉄道らしい景観を呈していると評価した。

調査・保存方針としては、橋梁部を含む約80m(3街区)について現地保存を行い、建設当時の風景をそのまま感じられるように公開。残存状況が良好である公園隣接部約40m(2街区)は現地保存とした上で、文化の発信拠点である文化創造施設と一体的に公開することにより、築堤を身近に感じられるようにする。

  • 公園隣接部の現地保存のイメージ(JR東日本提供)

  • 国道15号沿いの広場に移築保存した場合のイメージ(JR東日本提供)

信号機土台部を含む約30m(4街区)は移築保存を予定。移築先は高輪ゲートウェイ駅前の国道15号沿いの広場を基本に検討しており、関係者と調整を進め、移築保存にあたってていねいに記録保存調査を行うとしている。

その他の範囲についても、港区教育委員会と連携し、考古学・鉄道史・土木史など諸分野の知見にもとづいた調査を進める。築堤から取り外した石や杭を計測・記録するほか、築堤内部の土層の状況も調査・記録する。なお、橋梁部や公園隣接部のほか、築堤を土の中に埋めたまま現地保存できる範囲(道路下等)は調査対象から除くとのこと。

JR東日本は、現地保存・公開箇所において一部の建物計画を変更し、2024年度のまちびらきに向けて必要な都市計画などの変更手続きについて、関係行政と連携して進めるとしている。