キリンビールでは夏を前に、会員制 生ビールサービス「キリン ホームタップ」の大規模展開を見込んでいる。本格生ビールサーバーにより、自宅にいながらにして"ふわとろな泡"の乗っかった生ビールを楽しめるというサービスだ。都内ではメディア向けに説明会が開催された。

  • 会員制 生ビールサービス「キリン ホームタップ」を体験してきた

「キリン ホームタップ」どんなサービス?

キリン ホームタップには、毎月4リットル(あるいは8リットル)の生ビールが楽しめるコースが用意されている。利用者の元に届くのは、東北産ホップ「IBUKI」の第一等品を使用した『一番搾りプレミアム』。一番搾りシリーズの最上位ブランドで、これまで一部の料理店、あるいは贈答用にしか卸してこなかった商品だ。なお注文は適宜、クラフトビールや期間限定ビールに変更することもできる。

  • ユーザーが指定した日時に月2回届く、まさに出来たての『一番搾りプレミアム』

驚くことに、ホームタップ専用ビールはペットボトルで届くらしい。ペットボトル入りのビール……? しかし考えてみたら、瓶ビール、缶ビールはあるのに、なぜペットボトルのビールは巷で販売されていないのだろう。説明会の担当者によれば「ペットボトルは酸素を通しやすい材質です。たとえ蓋を開けていなくても、酸素に弱いビールはすぐに品質が劣化してしまうんです」とのこと。そこでキリンでは、ビール専用のペットボトルを開発した。酸化防止の特殊コーティングが施してあるという。透かしてみると、少し色味がついているのが確認できた。

  • 酸化防止の特殊コーティングが施されたホームタップ専用のペットボトルに入ったビール(これで1リットル)。家庭の冷蔵庫にも入る大きさに設計されている

ビールサーバーも見せてもらった。コンパクトなサイズ感で、インテリアに溶け込むような優しいホワイトを基調にしている。これなら台所の白物家電と並べても違和感がない。なお本サービスの最低契約期間は12か月間で、継続利用を条件にビールサーバーのレンタル費用は無料になる

  • コンパクトなサイズ感のビールサーバー。キッチンカウンターなどにも置けそう

セッティングも簡素化されており、ペットボトルを入れ、専用ビアラインをつなぐだけで完了する。クリーミーな泡を実現するため、最適なノズルの形状、ビールを押し出すガス圧の強弱など試行錯誤を重ねたという。特に、泡を出すパーツの開発には1年以上の歳月をかけた、と担当者。

  • セッティングしたところ。キリンビールでは、耐久性と美味しさを追求して100分の1ミリまでこだわって開発したとしている

ホームタップは保冷機能付きで、常に5度くらいの適温に保つことができる。これにより利用者はいつでも飲みごろのビールを、好みの分量だけ飲めるというわけだ。ただ担当者によれば、ビールはサーバーにセッティング後、48時間以内に飲み切ることを推奨しているという。このため「金曜日の夜にあけて、土曜日、日曜日と3夜をホームタップで楽しむというお客様も多いようです」(担当者)。さて、セッティングも無事に完了。あとは、思う存分に一番搾りプレミアムを楽しもう。タップを手前に傾ければ生ビールが注がれ、奥に傾ければ泡が追加される仕様だ。

  • タップを手前に傾ければ生ビールが注がれ、奥に傾ければ泡が追加される

利用料は、月4リットルのコースなら月額費用8,250円(月額基本料金3,190円+月額ビール料金5,060円)、月8リットルのコースなら月額費用12,430円(月額基本料金3,190円+月額ビール料金9,240円)。契約者専用のサポートデスクも用意されており、トラブル時などはすぐに相談できるとのことだった。

  • バラエティ豊かな期間限定ビールも今後、続々と登場。ビールが届く6日前までなら、何度でも変更できる

飲んでみた!気になるお味は?

担当者に話を聞いた。これまで(サプライチェーンがコロナ禍の影響を受けた関係で)専用サーバーの供給体制が追いついかず、多くの利用者を待たせる形になっていたが、すでに生産体制にも目処が立ったと説明。「現在の会員数は3万人ほどですが、本年末には10万人まで拡大できれば」(担当者)と意気込む。

利用者は実際、どのような楽しみ方をしているのだろうか。人により様々だが、「平日は缶ビールで、週末はホームタップで」「最初の1杯をホームタップで贅沢に楽しんでいる」などの声が届いている。また、夫婦の利用者にも「コミュニケーションのツールになる」「会話が広がる」と好評だ。なかには「ベランダで夜空を見ながら楽しんでいる」「実家に帰省するときに持ち帰って、両親にふるまった」なんて利用者もいたという。担当者は「ホームタップがあると、誰かにふるまいたくなるんですよね。コロナのご時世ということで、身内にはなりますが」と笑顔で話していた。

  • ビールと泡の黄金比は7:3。きめ細かい泡によりビールの旨さが増す

さて、筆者も試してみた。タップを手前に傾けて、用意されたグラスに静かにビールを注いでいく。そしてほど良いところで止め(この加減にコツがいる)、今度はタップを奥に傾けて泡で満たしていった。聞けばビールと泡の黄金比は7:3だそう。注ぎながらすでに良い香りが立ち込めてくるビール、その上にトロトロの泡でフタをして完成。缶ビールでは味わえない、なにか"特別なおもてなし"感のあるビールが出来上がった。

気になる、そのお味は……? これが極上の旨さ。キリンビールの真骨頂である一番搾りプレミアムでは、もろみから最初に流れ出る一番搾り麦汁だけを使った、こだわりの製法を採用しているそう。なるほど味が奥深くて飲みごたえがある。雑味のない、スッキリとした爽快感。そして泡の香気も豊かに感じた。ビールの泡でヒゲをつくりながら、満足なため息をついてしまった。これが家庭でいつでも楽しめるとしたら、なんとも贅沢だ。

ビールの需要が拡大するのは、やはり夏季シーズン。そこに向けて、キリンビールでもホームタップの出荷体制を万全に整えている。これまでコロナ禍により外飲みを控えてきた、という人も多いことだろう。しかし、なにかとストレスを抱えがちなステイホームの自粛期間。頑張る自分へのご褒美として、自宅で贅沢な気分に浸れるキリン ホームタップを試してみるのも良いかもしれない。