普段の生活でもよく食卓に並ぶしらたきと糸こんにゃく。どちらも細長いこんにゃくですが、この違いをご存じでしょうか。本記事では、しらたきと糸こんにゃくの違いや使いわけ方について解説します。

  • しらたきと糸こんにゃくの違い

    特徴や違いをよく理解しよう

しらたきと糸こんにゃくの違い

どちらもこんにゃく芋を原料とするしらたきと糸こんにゃく。違いはあるのでしょうか。

しらたきと糸こんにゃくの違い【製法】

しらたきと糸こんにゃくは、製法からその呼び名がつけられたと言われています。

しらたきの原料はこんにゃく芋を粉末状にしたものです。この粉末に凝固剤の水酸化カルシウムを入れてゼリー状にし、細い穴の開いた円筒に流し込みます。これを熱湯の中に押し出し、固めたものがしらたきです。糸状になって熱湯へ落ちるその姿が白滝のようなので、しらたきと言われるようになったと言われています。主に関東で製造されていました。

糸こんにゃくの製法は、しらたきとは若干異なります。原料はしらたきと同じですが、板状に固めたこんにゃくを細長く切ったものが、糸こんにゃくと呼ばれます。こちらは主に関西で作られていました。

しらたきと糸こんにゃくの違い【地域の呼び名】

もともとは製法の違いから呼びわけられていたしらたきと糸こんにゃくですが、現在では糸こんにゃくも穴から押し出す製法で作られています。昔からの名残もあり、関東で製造・発売されているものが「しらたき」、関西で製造・販売されているものが「糸こんにゃく」と呼ばれているようです。

しらたきと糸こんにゃくの違い【調理法】

しらたきと糸こんにゃくはほぼ同じものなので、どの料理にどちらを使うという明確な決まりはありません。好みにより、どちらを使ってもいいでしょう。

一般的には、しらたきは細くやわらかいものが多いため、煮込み料理などしっかり味をしみ込ませたいときなどに適しています。少し太めの糸こんにゃくは、食感や噛みごたえを楽しみたい料理に合うようです。牛丼やすき焼きにはしらたき、肉じゃがには糸こんにゃくといったように、太さや食感で選んで使いわけるのがいいでしょう。

しらたきと糸こんにゃくの違い【栄養】

しらたきも糸こんにゃくも原料は同じなので、栄養の違いはほとんどありません。

しらたき・糸こんにゃくの約97%が水分です。糖質・脂質も少なくカロリーも低い、ヘルシーな食材といえます。不溶性食物繊維も多く含まれており、ダイエット食にも最適です。

  • しらたきと糸こんにゃくの違い

    現在のしらたきと糸こんにゃくの違いは、地域による呼び名の違いであるといえます

しらたきと糸こんにゃくの下準備と調理法

しらたきも糸こんにゃくも、そのまま調理に使用できます。しかし、ひと手間かけて下処理することで、アクが抜けて独特のにおいやエグミがなくなり、よりおいしく食べられます。

■鍋物

鍋物、特にすき焼きにはしらたきや糸こんにゃくは欠かせません。鍋物に使用する際には、軽く下茹でしておくと、アクが抜けてよりおいしく食べられます。すき焼きの際には、肉としらたき・糸こんにゃくは並べて入れないようにしましょう。こんにゃくの製造過程で使われる石灰の成分により、肉が硬くなってしまいます。

■和え物

和え物にしらたき・糸こんにゃくを使用する際は、乾煎りするといいでしょう。油を使わずにフライパンなどで白くなるまで熱し、水分を完全に飛ばします。余計な水分が抜けることで、味がしみこみやすくなるとともに、歯ごたえも増します。

■煮物

しらたきや糸こんにゃくを煮物に使う際には、叩いておくといいでしょう。軽く塩をまぶした後にキッチンペーパーにはさみ、麺棒などで軽くたたきます。水分とくさみが抜け、味が中にしみこみやすくなります。

  • しらたきと糸こんにゃくの違い

    すき焼きには欠かせません

しらたきと糸こんにゃくの活用方法

しらたき・糸こんにゃくにはさまざまな活用方法があります。

■ダイエット食

しらたき・糸こんにゃくは下茹でや乾煎りにより食感が増し、噛むことにより満足感が得られる食材です。カロリーも低いので、工夫次第でダイエット食としても活用できます。パスタやラーメンの麺の代わりにすれば、糖質制限にもなります。

■かさ増し

しらたき・糸こんにゃくは料理のかさ増しにも使えます。いなりずしの中に細かく刻んで入れたり、刻んでお米に混ぜて炊いたりすることで、お米の使用量を減らせます。焼きそばや、ひき肉の炒め物などに入れるのもいいでしょう。

■保存食

開封前のしらたきや糸こんにゃくは、30~90日くらいは常温で保存できます。直射日光を避け涼しいところに保管しましょう。

一度で使いきれない場合は、袋に入っていた液体をあらかじめ保存容器に入れておきましょう。残ったしらたき・糸こんにゃくをこの液体に漬けて、冷蔵庫に入れて保存します。

袋の液体を捨ててしまった場合は水道水で代用し、まめに水を交換すれば、同じように長持ちします。正確な保存期間や保存方法は袋に記載されているので、確認しておきましょう。

  • しらたきと糸こんにゃくの違い

    白米のかさ増しにも使えます

しらたきと糸こんにゃくの違いはない

昔はその製法で区別されていた、しらたきと糸こんにゃく。現在ではその違いはほとんどなく、地域で呼び名が違っているというのが現状です。

さまざまな料理に活用でき、ダイエットにも最適なヘルシー食材のしらたき・糸こんにゃく。調理法を工夫し、日々の食卓に取り入れてみましょう。