時代の流れとともに、ただ仕事をがんばるだけではなく、効率よく業務に取りくみ、生産性をあげることが求められるようになりました。生産性を向上させるためには、どのような意識が必要なのでしょうか。

本記事では、ビジネスシーンにおける「生産性」の意味や生産性向上のための方法を紹介します。ポイントをつかみ、自身の業務の生産性を上げていきましょう。

  • 膝の上でパソコン作業する女性

    生産性について考えてみましょう

生産性の意味

生産性とは、投入した労働や設備などの資源が、どれくらい効果的に使われているかを表す言葉です。

生産性を上げるために、業務の効率化やオンライン化、備品や設備の効率化などを行っている企業もあります。自らの仕事はもちろん、後輩を指導する際にも欠かせない視点です。

生産性の種類について

生産性はさまざまな視点からとらえることが可能です。労働という視点、資本という視点など、生産性にはいくつかの種類があります。ここからは、それぞれの生産性について説明します。

■労働生産性

労働生産性とは労働者1人あたり、もしくは労働者が1時間あたりに産出した成果のことを指します。また、労働生産性のなかにも、産出した生産量や販売金額から見る「物的労働生産性」、算出した付加価値額から見る「付加価値労働生産性」があります。

■資本生産性

資産生産性とは、保有している資本(設備や土地など)がどのくらいの成果を産出したのかを数値化したものです。資本生産性の算出は、資本である機械の稼働率や使用頻度の見直しなどの効率改善に役立てられます。

■全要素生産性

全要素生産性とは、その業務に投入したすべての要素(労働や資源、資本など)が産出した成果を数値化したものです。「Total Factor Productivity」の略として、「TFP」と表すこともあります。技術革新など、質的な成長要因の指標とされています。

  • グラフを示す男性

    生産性には種類があります

生産性を高める業務の可視化と効率化

ビジネスシーンで生産性を高める方法の一つに、従業員の業務を可視化し、非効率な部分はないかチェックするタイムマネジメントがあります。そして、業務効率化も生産性を高めるために有効な手段です。

ある業務を特定の一人の社員に任せると、その業務が属人化しブラックボックスとなる場合があります。その社員が退職したり長期休暇を取ったりする場合、その業務が遂行できず、業務効率が極端に下がってしまいます。

そういった事態を避けるため、各業務を可視化し、誰にでもできるよう業務を手順書などにまとめておきましょう。あらかじめリスクを回避することが業務効率化につながり、生産性を高めていきます。

  • 置き時計を手の上の置く様子

    生産性の高め方を考えてみましょう

生産性を高めるIT化

IT化とは、コンピューターやネットワークを使った技術を活用し、効率化を図ることをさします。ここからは、ビジネスシーンで生産性を高めるためのIT化の例について解説します。

■Web会議導入

どの企業でも、ある程度の時間を費やしているのが会議です。時間の調整、会議室の予約やセッティング、資料の印刷などにも時間がかかります。

Web会議を導入すれば、移動にかかる交通費や時間などのコスト削減が可能です。現在は、安価もしくは無料でWeb会議ツールを取得できます。Web会議に必要なカメラやマイクは、PCに標準搭載されていることが多いため、改めて購入する必要もありません。Web会議を導入すれば、少ないコストで生産性を高められます。

■モバイル端末活用

モバイル端末の導入により、時間や場所に縛られず仕事に取りくめます。外回りの従業員が出先から社内システムにアクセスしたり、離れた場所にいる従業員にチャットでスピーディに連絡したりと、時間の効率化につながります。

ただし、「いつでも連絡が取れる」ようになり、メールの返信などの業務が増えてしまうケースもあるため、使用ルールの検討などが必要です。

  • テレワークの様子を示す写真

    PCやモバイル端末を有効活用しましょう

日本の生産性が低下する原因

日本は他の先進国と比較して生産性が低いと言われます。ここからは、生産性が低下する原因について紹介します。

■サービスの質が高すぎる

日本は、他の先進国よりも求められるサービスや接客の質が高いとされています。サービスの質が高いことは一見よいことのように思えますが、報酬とは無関係の部分に必要以上に労力を割いているということになります。そのため、生産性にはつながりません。

■長時間労働

労働生産性とは、生産したものに対してどれくらい働いたかによって割り出されるため、労働時間が長くなると、それだけ生産性は下がります。長時間労働は集中力や判断力の低下につながる可能性もあるため、業務を効率化し労働時間の 短縮をはかりましょう。

■中小企業の割合が高い

日本は中小企業の割合が高いという特徴があります。一般的には、企業の規模が小さければ生産性も低くなるため、中小企業の多さは生産性の低さにつながります。規模が大きい企業ほど、資金や人材が豊富で、研究開発や各自の専門性の向上など、生産性を高めるための仕組みが整っています。

生産性が問われるのは製造部門だけではない

生産性と言うと、何かを生産・製造する工場を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし業種にかかわらず、生産性向上の意識を持つことは大切です。

非効率な部分を見直したり、メリハリをつけて短時間で作業したりと、比較的取りくみやすいこともあります。また、すぐに結果が出なくても、中長期的に取りくむことで改善する場合もあります。一人ひとりが生産性を向上させる意識を持ち、業務に取りくんでいきましょう。