「雲アプリ」とは、名称の先頭に雲マークが表示されているアプリのことでしょうか? 結論からいうと、答えはノーです。そのアプリをタップして本体を再インストールしないことには、そこで保管しているファイルは取り出せません。
『設定』→「App Store」画面で「非使用のAppを取り除く」スイッチをオンにしているとき、アプリを長期間起動しないでいると、そのアプリが作成したファイルや各種データはそのままに、自動的にアプリ本体(プログラム部分)を削除してストレージ消費量を抑えようとします。本体のサイズが数百メガバイトというアプリは珍しくありませんから、ストレージの節約に役立ちます。
しかし、残されたファイルや各種データは、そのアプリを再インストールしないかぎり操作できません。アプリが作成したファイルや各種データは、iOS 13以降に標準装備の「ファイル」アプリで「ブラウズ」→「このiPhone内」画面を開くと自由に操作できますが(そのような利用が許可されたアプリに限ります)、アプリが「雲」になると同時に操作対象外となってしまうのです。
つまり、本体が自動削除された「雲アプリ」は、再インストールできなくなるとiPhoneに残されたファイル/データを取り出せなくなります。たとえば、iOS 11以降サポートされなくなった32ビットアプリは、現在のiOS 14ではApp Storeから再インストールすること自体不可能ですから、iPhoneにファイル/データが残っているとしても手の出しようがないのです。
アプリがなんらかの理由で再インストールできなくなったときには、バックアップから取り出すなど大変な労力が必要になります。利用頻度は低いけれど大切なファイル/データが保存されているアプリは、「雲」を過信することなく定期的に内容を取り出し保存することをお勧めします。