JR東日本水戸支社は16日、メンテナンス業務の安全性・効率性の革新と実現に向けた取組みとして、新たに「検査駆動車」を完成させたことで、2020年度に導入した「MMU(Mobile Maintenance Unit)」と合わせ、インテグレート保守用車群「GMAC(Next Generation Maintenance machine)」の全車両がそろったと発表した。
今回完成した「検査駆動車」は、鉄道設備の状態や周辺環境などのデータを収集する測定機器を搭載した軌道モータカー。「MMU」専用のモータカーとして、自走速度5km/hの「MMU」を最高速度30km/hで牽引することができる。搭載する電力設備確認用画像システムやモバイルマッピングシステムといった測定機器を活用し、今後はメンテナンス業務の革新に向けたさまざまな試験・試行を行っていくとのこと。
インテグレート保守用車群「GMAC」は、今回導入した「検査駆動車」と「MMU」(材料運搬車+移動作業車)の3両で構成。「検査駆動車」の導入により、「GMAC」の移動速度向上が図られることから、より広範囲での試験・試行の実施が可能となる。「GMAC」の車体側面には、親しみを持ってもらえるように現場第一線の社員が作成した「保守用戦隊Gレンジャー」のイラストを掲載した。
「MMU」は2020年10月以降、おもに線路の保守作業を中心に試験・試行を行い、天候を問わず安全な作業環境を構築するなど、一定の効果を確認したとのこと。今後は「GMAC」を用い、各種測定機器を使った構造物の点検や設備状態把握などの各種測定データ収集を行うとともに、設備部門各系統のメンテナンス業務の革新に向け、さまざまな試験・試行を継続していくという。
試験・試行の実施にあたっては、支社内の現場第一線の社員らを中心としたプロジェクトを設け、幅広い視点で検証が進められる。あわせて「検査駆動車」の導入により、移動速度向上が図られることから、「GMAC」を用いた作業時間の拡大を図るとともに、試験・試行の実施区間の拡大などの検討も進めていくという。
今後の展開としては、2021年度下期以降から常磐線富岡~原ノ町間の本線上で試験・試行を開始する予定。試験・試行の実施状況を踏まえつつ、他エリアでの実施も検討していくとのこと。