エス・ピー・ネットワークは4月15日、「カスタマーハラスメント実態調査(2021年)」の結果を発表した。調査は3月25日~26日、企業でクレーム対応を行った経験のある20代~60代の会社員1,030名を対象にインターネットで行われた。

  • 2020年1月以降の新型コロナ禍において、カスタマーハラスメントが増えている(直接対応した案件以外にも、身近で見聞きした事案も含む)と感じますか?2020年1月以降の新型コロナ禍において、カスタマーハラスメントが増えている(直接対応した案件以外にも、身近で見聞きした事案も含む)と感じますか?

同社が定義する「カスタマーハラスメント」とは、「職場において行われる、又は業務に関して行われる(1)優越的な関係を背景とした顧客(法人等の取引先を含む)の言動で、(2)業務上又は社会通念上相当の範囲を超えて行われ、(3)担当者の就業環境や業務推進を阻害し、又は担当者の尊厳を傷つける行為」を指す。

はじめに、「2020年1月以降の新型コロナ禍において、カスタマーハラスメントが増えている(直接対応した案件以外にも、身近で見聞きした事案も含む)と感じますか?」と尋ねたところ、「新型コロナの影響でカスハラが増えている」が21.6%、「コロナの影響ではないが増えていると感じている」が15.2%と、コロナに関係なくカスハラは増加傾向にあることが明らかに。また、直近2年間の傾向も聞いたところ、31.7%が「直近2年間でカスハラが増加した」と回答した。

  • 「カスタマーハラスメントが2020年以前から増加しており、直近2年間でさらに増加している」と回答した人における増加率(%)の業種別の割合(n=182)「カスタマーハラスメントが2020年以前から増加しており、直近2年間でさらに増加している」と回答した人における増加率(%)の業種別の割合(n=182)

「カスハラが2020年以前から増加しており、直近2年間でさらに増加している」と回答した人における増加率(%)を業種別に見てみると、「サービス業(学校・教育産業)」(79.50%)、「サービス業(旅館・宿泊所・娯楽業)」(51.25%)、「サービス業(医療・介護・薬事)」(44.72%)と、サービス業において高い傾向がみられ、特に、「サービス業(学校・教育産業)」で働く人はカスハラが平均して約8割増加していると感じており、最大で500%増加していると感じている人も見受けられた。

また、新型コロナに関するカスハラの内容としては、「従業員の対応について」(37.5%)や「商品について」(29.0%)が多いことがわかった。

  • カスタマーハラスメント対応を行ううえでの課題は何でしょうか?

    カスタマーハラスメント対応を行ううえでの課題は何でしょうか?

次に、「お勤めの会社では顧客対応全般に関するマニュアルは作成されていますか?」と質問したところ、「作成している」と回答した人はわずか3割。また、そのマニュアルがカスタマーハラスメントについて「詳細かつ十分な内容が書かれている」と回答した人は、3割強にとどまり、企業としての対応方針や対応マニュアルの整備がまだまだ不十分であることが明らかに。

そこで、カスハラ対応を行う上での課題について調べたところ、「対応者個人の対応力のスキルアップ」(36.4%)、「対応できる人材の育成」(32.9%)、「具体的な対応マニュアルの整備」(24.7%)が上位にあがった。

  • あなたの会社では「カスタマーハラスメント」の定義(対応ポリシー)や行為類型が明確にされていますか?

    あなたの会社では「カスタマーハラスメント」の定義(対応ポリシー)や行為類型が明確にされていますか?

「あなたの会社では「カスタマーハラスメント」の定義(対応ポリシー)や行為類型が明確にされていますか?」と尋ねたところ、カスハラ対応方針を明確に打ち出していると回答した人はわずか11%。定義の作成について検討・着手しておらずコンセンサスも取れていないと回答した人は72.2%にも上っており、多くの企業では、カスハラ指針の策定の取り組みが進んでいないことが明らかに。

また、カスハラ対応に関する研修の実施状況について聞くと、「直近1年間で行ったことがある」と回答した人はわずか7.6%。「そもそも研修やOJTのような教育制度がない」(42.8%)という回答が最も多く4割を超えた。

最後に、カスハラによる被害を減らすために、政府や専門家に検討・対処して欲しい事項を聞いたところ、現場からは窓口の充実化やマニュアル策定の充実化を求める声があがった。