ソニーは、「ダイナミックHDRエンハンサー」により映像の表現力を高めた、4K SXRDホームシアタープロジェクター2機種を5月8日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、レーザー光源を備えた「VPL-VW875」が330万円前後、長寿命ランプの「VPL-VW275」が60万5,000円前後を見込む。

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    VPL-VW875

2018年発売の4Kホームシアタープロジェクター「VPL-VW855」と「VPL-VW255」の後継モデル。VPL-VW875は4K HDRホームシアタープロジェクタの最上位モデルで、本体カラーはブラック1色。VPL-VW275は“4K入門モデル”という位置づけで、ブラックとプレミアムホワイトの2色を用意する。VW875はレーザー光源で明るさは2,200ルーメン、VW275は水銀ランプで明るさは1,500ルーメン。レンズの種類やダイナミックアイリス機構の有無などにも違いがある。

どちらもLSIを刷新し、新たに「ダイナミックHDRエンハンサー」によって明暗部の表現力を強化。この新機能は新LSIを積むことで実現しているため、従来機種にソフトウェアアップグレードで追加することはできないという。

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    VPL-VW275(プレミアムホワイト)

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    VPL-VW275(ブラック)

一般的に、パネルに光を反射させて投写するプロジェクターでは、シーン内に明部と暗部が混在するとき、明部を重視すると暗部が浮き、暗部を重視すると明部が沈む傾向がある。

VW875/VW275では、新LSIによってダイナミックHDRエンハンサーが利用可能になり、フレームごとにダイナミックレンジを調整。明るいところはより明るく輝かせ、上位機種のVW875はアイリスをよりダイナミックに制御し暗部を沈ませる処理を行う。これにより、HDRコンテンツの表現を崩さず、最適なコントラストを提供し、「従来よりも理想的なPQカーブに近づけて再生する」としている。

さらにVW875では、デュアルコントラストコントロールによるレーザー光源の調整とアイリス連動を進化させ、黒をより沈みこませながら明部を輝かせる。VW275はレンズにアイリスがついておらず、アイリスを絞って暗部を調整する機能がないため、ダイナミックHDRエンハンサーでは明部のみ表現力を向上させるかたちだが、暗部階調表現も改善しているとのこと。

画質メニューには、HDRオート時にHDR10 / HDRリファレンスモードのどちらかを選べる項目を新たに追加。「HDR10」は最大輝度1,000nitを超えるHDRコンテンツの高階調側を豊かに表現でき、「HDRリファレンス」ではマスターモニター「BVM-X300」のトーンマッピングを再現することで、HDR色再現と映像の明るい部分の階調表現がより正確になり、制作者の意図に近いHDR映像を再現できるという。HDRオートで「HDRリファレンス」モードを選択すると、同モードが自動的に選択される。

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    ダイナミックHDRエンハンサーの効果のイメージ

どちらもソニー独自のネイティブ4K/4,096×2,160ドット SXRDパネルを搭載。デジタル処理でMTF(Modulation Transfer Function/レンズ性能を評価する指標のひとつ)を向上させ、4K映像のフォーカス感を向上する「デジタルフォーカスオプティマイザー(DFO)」や、データベース型超解像処理LSI「リアリティクリエーション」による、フルHDの高精度な4K化に対応している。

いずれもHDMI入力を2系統備え、HDCP 2.2に準拠。18Gbps対応で、4K/60pのHDR信号入力ができる。HDR方式は、HDR10とHLG(ハイブリッドログガンマ)、HDRリファレンスをサポートする。3D表示にも対応し、別売の3Dメガネと組み合わせることで3Dコンテンツを楽しめる。ゲーム利用時に、画像処理で発生する映像遅延を短縮して遅延を抑える「ゲーム用遅延低減モード」も備える。

最上位4KモデルのVW875は、従来のVW855で採用していた、4Kデジタルシネマの技術を生かした4K解像度専用設計の高級レンズ「ARC-Fレンズ」を装備。ダイナミックアイリス機構の「アドバンストアイリス3」や、ソニー独自のレーザーダイオード光源「Z-Phosphor」、これらを組み合わせてコントラスト感を高める「デュアルコントラストコントロール」(DCC)エンジンなどを引き続き搭載。これにより高輝度2,200ルーメン、ダイナミックコントラスト∞:1の高コントラスト性能を実現している。

VW875/VW275の登場により、ソニーの4Kホームシアタープロジェクターの型番は既存の「VPL-VW775/575」(2020年発売)を含めてすべて下二桁が「75」になり、共通のLSIとソフトウェアで統一されたかたちだ。

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    高級レンズ「ARC-Fレンズ」の内部構造イメージ

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    VPL-VW275(ブラック)の天吊りでの使用イメージ