「請求書」は企業間で取引を行った際などに発行される書類のひとつです。非常に重要な書類なので、ビジネスシーンにおいては頻繁に発行されます。しかし、その意味について細かく考えたことがないという方も多いでしょう。
本記事では、「請求書」の役割や書き方、処理方法などについてくわしくご紹介します。
請求書とは
ビジネスは基本的に商品やサービスを提供し、売り上げをあげて利益を得ることによって成立します。そのためには当然、提供した商品の代金を確実に回収しなければなりません。
小売りの場合、商品を引き渡すと同時に代金を受け取る形になりますが、企業間取引の場合は納品後に代金を受け取るというケースも少なくありません。そこで必要となるのが「請求書」です。
請求書は、ビジネスにおいてもっとも基本的な書類のひとつなので、企業や組織においてはしっかりとルール化されているのが一般的です。しかし、近年増えているフリーランスや個人での副業などの場合、請求書をどう取り扱えばいいのかわからないというケースも多いでしょう。そこで、ここでは請求書の役割についてくわしくご紹介します。
請求書の役割
請求書には提供した商品やサービスに対して代金を請求するという役割があります。支払に必要な情報も含まれていますので、受け取る側にとっては金額だけではなく支払方法などを確認するための書類でもあります。間違いのないように作成し、確実に取引先に渡すようにしましょう。
請求書が必要なシーン
先に商品を納品して、後で代金を受け取るといった形の取引を行う際に請求書が必要となります。請求書は帳簿上の処理にも欠かせない書類なので、企業や組織によっては請求書がなければ支払処理を行えないというケースもあります。そのため、受注側としては提供した商品に対する代金を受け取るために欠かせない書類です。
請求書が不要となるケース
取引の方法によっては請求書が不要となるケースもあります。もっとも代表的なのが小売りなどのように商品の引き渡しと同時に代金が支払われるというケースです。この場合は納品と同時に支払が完了する形になり、請求書を発行する必要はありません。
ただし前述の通り、企業などの組織の場合は取引に対する支払時の処理に請求書が必要となるケースがほとんどです。いつでも請求書が発行できるように準備しておきましょう。
請求書と納品書の違い
商品の引き渡しと支払は基本的にセットとなります。商品の引き渡し時に発行される書類が納品書です。これは、受注者が商品を引き渡す際に「納品したこと」の証明として発行する書類です。納品品目だけではなく金額なども記載されていることから、請求書と混同されてしまいがちです。
しかし、納品書はあくまで納品を証明するものであって支払を請求する書類ではありません。そのため、納品書を商品と一緒に送り、それと同時かまたは後に請求書を発行することになります。
請求書発行のルールに関しては企業や契約の内容によっても異なります。納品毎に発行する場合や、一定期間の取引に対してまとめて請求する「売掛方式」で発行するケース場合などさまざまです。都度契約の内容を確認するようにしましょう。
請求書の書き方
主に企業間の取引において、とても重要な意味を持つ請求書ですが、企業や取引の内容によって請求書の書式などは異なっています。一般的に記載すべき項目などはある程度決まっているので、請求書の書き方や作成方法について知っておきましょう。
請求書に必要な項目
請求書を作成するにあたってまず頭に入れておかなければならないのが必須項目です。一般的な請求書において必須となるのは以下の項目です。
- 発行者情報
発行側の名前や連絡先などの情報を記載します。 - 取引先情報
宛名として請求先の社名などを正確に記載します。社名のみでなく部署など必要な情報があれば追記します。 - 取引明細
納品した商品やサービスなどの名前や数量などの名称、単価なども記載します。 - 請求金額
もっとも重要となるのが今回の請求書での請求金額です。消費税なども忘れないように記載してください。 - 支払についての特記事項
振込先や支払期限など、支払に必要な情報を記載します。
これらの項目にプラスして、企業や取引に必要な内容を入れていきましょう。配置などは自由ですが、ポイントは、支払時に特に必要となる金額(消費税などを含めた総額)と支払方法などをわかりやすく目立たせることです。
請求書発行のタイミング
請求書の発行は基本的に納品を完了した後になります。契約の形によって支払処理は異なりますので、いずれにしても支払の前までには相手に届くように発行することが大切です。
契約の内容によっては、納品毎ではなく月末など一定期間の納品に対してまとめて支払を行うケースもあります。この場合、その期間に納品した商品の合計額で請求書を作成してください。その他にも、企業や契約によって請求書送付のタイミングが定められているケースがあります。事前に確認しておくようにしましょう。
請求書発行後の処理について
請求書を発行・送付し、代金の支払を確認したら、消し込みなどの帳簿上の処理を行い、領収書を発行・送付するという流れになります。万が一請求書で決められた期限までに入金がない場合は、取引相手への確認が必要です。
請求書と受領書の関係
商品を納品した際に、取引先から発行されるのが受領書です。受領書は商品が無事に到着したことを証明する書類です。
基本的に受領書を受け取ってから請求書を発行する流れです。企業によっては受領書のみでなく、検品などが完了したことを証明する検収書が発行されるケースもあります。この場合、検収書を受け取った後に請求書を発行します。
このように、発行される書類は企業によって異なるので、契約時に確認しておきましょう。
請求書取り扱いの注意点
請求書は取引の中でもとても重要な書類のため、取り扱いには注意が必要です。最後に請求書の取り扱いの注意点についてご紹介します。
請求書の保管期間について
請求書の保管期間・保存期間は法人の場合は7~10年、個人事業主の場合は5~7年と定められています。法人の場合、通常は7年間ですが欠損金が生じた事業年度においては帳簿の保存期間が10年となっています。
個人の場合も、法律上で定められている請求書の保管期間は5年です。しかし、帳簿の保存期間は7年ですので念のため7年は保管しておくようにしましょう。
請求書の受取時に必要な処理
請求書受け取り後の処理は支払になります。請求書に記載された金額に間違いがないことを確認して、支払期限までに指定された方法で支払処理を行ってください。
請求書の再発行について
前述の通り、請求書は法律で保管期間が定められています。そのため、紛失などの際には再発行を依頼する必要があります。紛失以外でも内容に誤りがあったり、変更があったりした場合も再発行を受けましょう。
再発行を行った場合の請求書は基本的に発行日や管理番号などは1回目に発行したものと共通です。これは2重支払といったトラブルを防止するための対策にもなります。
請求書の役割や書き方について知っておこう
請求書は取引における代金の支払という重要な部分に直結する書類です。そのため、特に重要性が高く、取り扱いにも注意が必要です。発行の際には必要な項目をしっかりと記載して間違いがないように作成し、受取時には適切に取り扱うようにしましょう。