公明正大という言葉をご存知でしょうか。座右の銘として使われることも少なくない四字熟語ですが、主にビジネスシーンで用いられるため、その意味をしっかりと理解していない方もいるかもしれません。本記事では、公明正大の意味やビジネスシーンでの使い方、類語などを紹介していきます。
公明正大の意味
公明正大は「私心をはさまず平等であるさま」「良心に恥じることなく正しいさま」を意味します。私利私欲に左右されないありかたを指す、ポジティブな意味を持つ言葉です。たまに公正明大と表記されていることがありますが、これは間違いなので注意しましょう。
公明正大の語源
公明正大は「公明」「正大」と、分けたかたちでそれぞれ意味を持っています。
「公明」とは「不正がなく公平である」という意味です。「正大」は「正しくて大きい」「言動や態度が正しく堂々としている」という意味になります。
これらが合わさり、「私心をはさまず平等であるさま」「良心に恥じることなく正しいさま」という意味の「公明正大」として使われるようになったと考えられるでしょう。
読み方は「こうめいせいだい」
公明正大の読み方は「こうめいせいだい」です。特別難しい読み方とではありませんが、「正」を「しょう」と読み間違えないように注意が必要です。
また、先述したように読み間違いよりも気を付けたいのが誤字。「公正明大」と誤って書いてしまうケースがよく見られるので、正しい順番をしっかり覚えておきましょう。
ビジネス用語一覧
公明正大の使い方
公明正大は、対象となる相手の性質を褒める際などに使います。理念や座右の銘として掲げることも可能です。自分の長所として、この言葉を自己アピールに用いる人もいます。
<使用例>
- 裁判官は常に公明正大であることが求められます
- 彼は公明正大な人間なので信用できます
- 私は公明正大を座右の銘にしています
公明正大の例文
公明正大は、ポジティブな意味を持つ言葉ですが、使う場を誤ると相手を不快にさせてしまうこともあります。相手を褒めるときは皮肉にならないよう、自己アピールに用いるときは自慢にならないように心がけましょう。
ビジネスシーンで簡単に使える例文を紹介していきます。名詞として使用するだけでなく、形容動詞としても使用できます。
公明正大な
<例文>
- 弊社は公明正大な仕事を心がけています
- 公明正大な判断を頂けると期待しております
公明正大に
<例文>
- 公明正大に利益を追求するのが我が社の理念です
- その件については、公明正大に判断します
公明正大さ
<例文>
- 先方の公明正大さに好感を持ちました
- 公明正大さは、私の長所だと思っております
公明正大である
<例文>
- 公明正大であることが、私のモットーです
- 結果がどうであれ、公明正大であることが重要です
公明正大の類語
公明正大にはいくつかの類語や言い換え表現があります。大まかな意味は同じでも、それぞれが持つニュアンスは微妙に違います。それぞれの意味を知り、適切に使用しましょう。
正々堂々
正々堂々は、「卑怯な手を使わず正しく立派なこと」を意味します。また、「(軍隊や勝負などの)用意が整って勢いがさかんである」という意味もあります。
<例文>
- 今回のプレゼンは、お互い正々堂々と戦いましょう
- 結果はどうであれ、正々堂々と挑めたことは満足です
正々堂々の成り立ちは、軍旗や隊列が綺麗に整っている状態からきています。そのため、勝負ごとで使われるケースが多いです。
公平無私
公平無私は、「私心や私欲を交えず公平である」という意味で使われる言葉です。公明正大の言い換え表現としても使えます。
<例文>
- 企業の人材採用は公平無私で行わなければならない
- 新しく部長になったAさんには公平無私の姿勢が感じられる
是々非々
是々非々には、「善悪を公正に判断する」という意味があります。是は「正しいこと」非は「正しくないこと」という意味で、「是を是とし非を非とす」という荀子の言葉が語源となっています。
<例文>
- どのような立場でも、是々非々の精神で挑みます
- 彼は友人の行動を是々非々で判断している
日常会話で「是が非でも」「是非お願いします」という言葉を使いますが、この表現は「善悪に関わらず、なんとしても」というニュアンスで用います。「是々非々」と「是非」では同じ漢字でも意味が異なるので注意しましょう。
関連記事: 是々非々の意味とは? 例文や類語を紹介
心地光明
心地光明には、「心が清らかで正しい人」という意味があります。「しんちこうめい」とも「しんじこうみょう」とも読まれます。心地は心そのものを、光明は仏の身から出る光を指しています。
<例文>
- 彼ほど心地光明な方を見たことがありません
- 御社の社長は大変心地光明な方なので、信頼しています
人の徳の高さや正しさを称賛する際などに使用します。自身の目指すところとして掲げる分には問題ありませんが、自己アピールとして用いるのには適さない言葉です。
公明正大の対義語
公明正大の対義語には「不正不公」があります。不公平で正しくないという意味で用いる言葉です。
また、特定のひとやものを私心から特別扱いする「依怙贔屓」も、公明正大の対義語に近い言葉と言えるでしょう。
公明正大の英語表現
公明正大を英語で表現する場合、どのような文脈になるのでしょうか。公明正大の英語表現を紹介します。
fair and square
公明正大を英語で表現する時は、「fair and square」が適しています。fairには公正、公平という意味があります。squareという単語は主に四角を意味しますが、公正な、公平なという意味あいもあります。
<例文>
- I played the games fair and square (私は正々堂々と勝負した)
- He is fair and square in his dealings (彼は公明正大な人だ)
公明正大の意味やビジネスシーンにおける使い方を理解しよう
公明正大は「私心を挟まず平等であるさま、良心に恥じることなく正しいさま」をあらわす言葉です。この機会に、あなたもぜひ公明正大な行動を心がけでみてください。ビジネスシーンではもちろん、日常生活でもポジティブな印象を与えることができるかもしれません。