「快刀乱麻」という言葉の正しい意味や使い方、ご存じでしょうか。実は中国の故事からきている古い言葉であり、ビジネスシーンにおいてはかなりの褒め言葉とも言えます。本記事では快刀乱麻の正しい意味や使い方、英語表現などを説明します。普段はなかなか使わない言葉ですが、理解を深め正しいシーンで使うようにしましょう。
快刀乱麻の意味と由来
快刀乱麻には、「こじれた問題をあっさりと鮮やかに解決、処理する」という意味があります。「快刀乱麻を断つ」という言葉を略した表現です。
快刀乱麻の由来
快刀乱麻という言葉は、中国の故事からきています。「快刀」はよく切れる刀、「乱麻」はもつれた麻糸のことを表しています。
北斉の高祖・高歓が息子たちの能力を試そうと、もつれた麻糸を渡してほどくように言ったところ、手でほどきだした兄弟たちを横目に、高洋だけが刀で切って瞬時にほどきました。後に高歓は、この高洋を皇帝にしたそうです。この故事から「快刀乱麻(を断つ)」という言葉が生まれたとされています。
ビジネスシーンにおける快刀乱麻の例文
ビジネスシーンにおいて具体的に快刀乱麻を用いるシーンを考えてみましょう。
■相手を褒めるとき
快刀乱麻という言葉は、物事を解決する能力に対する賞賛の言葉です。ネガティブなニュアンスはありません。問題について迅速に対応し、見事に解決へと導いた人に対し、賞賛の意味を込めて使うようにしましょう。
<使用例>
- この問題をあっさり解決したなんて、快刀乱麻を断つ妙案だったね
- 快刀乱麻に問題を解決する彼女は、驚嘆に値する
■目上の人に対して使う
「快刀乱麻」は目上の方に対しても使える言葉です。上司に使う際には、「快刀乱麻のご活躍でした」といったような表現で敬意を表すのがよいでしょう。
<使用例>
- 次々と提案されるクライアントからの無理難題を難なく解決していく部長の様子は、まさに快刀乱麻でした
- 先輩はのやり方は非常に巧みで、快刀乱麻そのものといった感じでした
「快刀乱麻を断つ」「まさに快刀乱麻である」といった言い回しを覚えておきましょう。
快刀乱麻の類語・言い換え表現
快刀乱麻と似た意味合いの言葉でよく使われるのが「一刀両断」です。ニュアンスの違いを覚えて、シーンごとに使い分けるようにしていきましょう。
一刀両断
「一刀両断」は、快刀乱麻と同じく「問題を鮮やかに解決する」という意味で、快刀乱麻の類語として扱われています。しかし「毅然とした態度で対処する」や「話を挟む隙もない」という少しネガティブなニュアンスを含む場合もあります。「一刀両断に切り捨てる」というと、「血も涙もない」というイメージを感じさせます。
迅速果断
快刀乱麻の意味を「問題を素早く解決する」と解釈した場合の類義語が、「迅速果断」です。迅速果断は「問題に素早く対処して決断する」という意味です。「問題を解決する」という意味は含まれておらず、「迅速に行動に起こすこと」にフォーカスを当てた言葉です。
快刀乱麻の英語表現
快刀乱麻を英語で表現する場合は、一般的には「solving a problem swiftly and skillfully 」と表現できます。またギリシア神話から生まれた「cut the Gordian knot」という表現も使えます。
solving a problem swiftly and skillfully
快刀乱麻を「問題を素早く手際よく解決する」と解釈すると、「solving a problem swiftly and skillfully」となります。
solving a problem(problems)は「問題解決」の意味で、swiftly and skillfullyはよく使われるイディオムです。swiftlyは「素早い」という意味で、skillfullyは「手際のよい」「上手な」といった意味があります。
cut the Gordian knot
「the Gordian knot」は「ゴルディアスの結び目」と呼ばれ、ギリシア神話から生まれた言葉です。「ほどいた者がアジア王になる」という伝説の結び目を、アレキサンダー大王は剣で切断し、王となりました。このことから「cut the Gordian knot」は快刀乱麻と同様に「一刀両断に難事を解決する」という意味があります。しかし、英語圏でも認知度が高い言葉ではないので、ネイティブの方に対して使っても、意味が伝わらない可能性があるので注意しましょう。
快刀乱麻の意味や使い方を理解して使用することが重要
「難題をものの見事に解決する」という意味を持つ快刀乱麻という言葉について紹介してきました。ビジネスシーンで問題が迅速に解決できた際などに、ぜひこの表現を使って称賛の意を表してみてください。よくある誉め言葉とは、少し違った印象を残せるはずです。