「鶏口牛後」は、とくにビジネスシーンで耳にする四字熟語です。ただ、日常生活で多用する言葉でもないので、意味を知らないという人もいらっしゃるでしょう。

本記事では鶏口牛後の言葉の意味や由来、正しい使い方・例文を紹介します。また、類語・言い換え表現や対義語、英語表現についてもまとめていますので、さまざまなビジネスシーンにおいて活用してみてください。

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    「鶏口牛後」の正しい使い方を理解しましょう

「鶏口牛後」の意味

鶏口牛後は「大きな集団や組織の末端にいるより、小さな組織でも長となった方がよい」という意味の言葉です。文字通り、「鶏口」は「鶏の口」、「牛後」は「牛の後ろ姿(しり)」を表します。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」と使用されることもあり、就活や転職といった人生の岐路に立つ人へのアドバイスに適した言葉です。

読み方は「けいこうぎゅうご」

鶏口牛後の読み方は「けいこうぎゅうご」です。一つひとつの漢字は決して難しいものではないですが、初見で正しく読むのはなかなか難しいかもしれません。ビジネスシーンで使われることもある言葉なので、間違った読み方で恥ずかしい思いをしないよう、ぜひ覚えてみてください。

「鶏口牛後」の由来

鶏口牛後の由来は、「史記」蘇秦列伝のなかの「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉にあるとされています。

これは中国戦国時代、遊説家の蘇秦(そしん)が韓の恵宣王(けいせんおう)に説いた言葉で、「大国である秦(しん)に屈し成り下がるより、たとえ小さくとも一国の王として権威を保つことのほうが重要だ」という意味です。

「鶏口牛後」の使い方・例文

就活や転職などで、「組織をリードできるような仕事がしたい」と強調するときに鶏口牛後は最適な言葉です。しかし、この言葉を用いると「小さな組織でリーダーとなりたい」ということを面と向かって伝えることになります。使用するには十分は配慮が必要となることを覚えておきましょう。では、具体的にどのような使い方があるでしょうか。例文を確認していきましょう。

人生は鶏口牛後だ

小さな組織の中でリーダーシップを発揮しながらトップに立つ、という仕事への価値観を表しています。

<例文>

  • 面接で「人生は鶏口牛後だと思い、少数精鋭の御社を選びました」と答えた

鶏口牛後を望む

大きな組織で活躍ができる日を待つよりも、小さな組織で自分らしく活躍できる方が良いという考え方です。

<例文>

  • 鶏口牛後を望み、レギュラー争い必須の強豪校よりも新設校を選んだ

「鶏口牛後」の類語・言い換え表現

次に、類語や言い換え表現について紹介していきます。

大鳥の尾より小鳥の頭

言葉からわかるように、意味はほぼ同じです。

鯛の尾より鰯の頭

こちらも、大きな鯛の尾につくより小さくとも鰯の頭になったほうがいい、という意味です。

これら2つの表現は、自分が長となれる場所があるのならば、例え小さな組織の中であってもより良い人生を進める、ということを表しています。

芋頭でも頭は頭

どんなにくだらないものでも、リーダーには変わりないという意味です。小さな組織でもトップには変わりないのだから、責任も権力も伴うということを表しています。

「鶏口牛後」の対義語

対義語にはどのような表現があるのかをみていきましょう。

箸と主とは太いがよい

「箸」はそのまま食卓で使う箸のことで、「主」は「あるじ」を指します。箸は太いほうが丈夫で長持ちするように、主も度量が大きい方が頼りになるという意味。ビジネスに置き換えれば、会社組織は大きいほうがよい、と読み取れます。

寄らば大樹の陰

大きな木の陰に入っていれば、雨や日差しから身を守れるという意味があります。例え活躍できないとしても、大きな組織のもとではリスクが低く、恩恵をたくさん受けられるということを表しています。

犬になるなら大家の犬になれ

仕えるなら、小物よりも大物を選べという意味です。つまり、力のある者に仕える方がよいとする表現です。

長いものには巻かれろ

権力のある者や目上の者の言うことを聞いて従っておくのが、うまいやり方であるという意味です。

「鶏口牛後」の英語表現

意味の似た英語表現に、次のようなものがあります。

<例文>

  • Better be the head of a dog than the tail of a lion.(ライオンの尻尾になるより犬の頭となる方が良いこともある)

大きな組織の末端を「ライオンの尻尾」、小さな組織の長を「犬の頭」と表現しています。

鶏口牛後の意味や使い方を理解しよう

鶏口牛後という言葉について、理解を深めていただけましたか。大きな組織でひとつの駒として働くか、それとも小さな組織でリーダーとして働くかは人それぞれです。

就活や転職など、仕事への価値観に向き合うときにこの言葉がヒントとなるかもしれません。