お部屋の印象を左右する絨毯は、そのインテリア性の高さや肌触り、防音性などで人気のアイテムです。絨毯はフローリングと比べてチリやホコリが舞いにくく一見きれいに見えますが、汚れは繊維の中に入り込み、そのまま放置しておくとダニなどやカビなどの原因となってしまいます。
この記事では、きれいな絨毯を保つための正しい掃除方法や掃除アイテムを紹介します。ポイントをおさえて効率よく絨毯掃除をしましょう。
絨毯掃除の基本を知ろう
絨毯で毎日快適に過ごすためには、日々のお手入れが大切です。絨毯掃除の基本について知っておきましょう。
絨毯の汚れの原因は?
絨毯の汚れの原因は主に汗や皮脂・髪の毛など私たちの体から出たものや、ペットの毛、食べこぼしや飲みこぼし、ダニやカビ、ホコリなどがあげられます。絨毯の場合はフローリングと異なり、髪の毛やホコリなどの汚れが繊維の奥に入り込むため、表面上はそれほど汚れていないように見えます。
しかし絨毯の掃除では表面だけでなく、これら繊維の奥に入り込んだ汚れをかき出すことが大切です。とはいえ汚れが繊維にからまって掃除機だけではきれいになりません。絨毯を掃除する場合は、掃除機だけでなく、水拭きやブラシなど他のアイテムもうまく組み合せましょう。
絨毯掃除の頻度はどれくらいがベスト?
絨毯掃除が必要な頻度は、基本的にフローリングと同じ程度と考えましょう。毎日掃除できればベストですが、忙しい日々を送っているとこまめに掃除をするのは大変です。
掃除することがストレスになってしまっては元も子もありません。「コロコロ」の名称で知られている粘着カーペットクリーナーや掃除機を使った軽めの掃除は2~3日に1回、ブラシなどを使った中程度の掃除は週に1回、また月に1回はカーペットクリーナーなどを使ってしっかり掃除するなど、無理のない範囲でルールを決めて定期的に実施するといいでしょう。
また食べこぼしやダニなどの汚れは、気温の上昇と共にカビの発生や活発化の原因となり、清潔に保つことが難しくなります。暖かくなる前にしっかり汚れを落としておきましょう。
絨毯の掃除術【基本編】
繊維が長い絨毯は汚れが奥に入り込んでしまい、掃除機や粘着カーペットクリーナーだけでは取りきれません。軽い日常の掃除でも絨毯をきれいにできるアイテムや掃除方法をご紹介します。
掃除機の前にヘアブラシやゴム手袋を使うと効果的
絨毯掃除の基本、掃除機と合わせて使いたいのが「ヘアブラシ」です。ヘアブラシは絨毯の奥に入り込んでいるゴミやホコリをかき出してくれます。ヘアブラシを使って表面に掃除機をかける前に、奥に隠れたゴミやホコリをかき出しておきましょう。その後で表面に浮き上がった汚れを掃除機で吸い取ります。
また「ゴム手袋」を使うと、髪の毛やペットの毛が取りやすくなります。手にゴム手袋をはめて、絨毯に円を描きながらなでると、髪の毛やペットの毛などが毛玉のようにまとまります。ある程度まとまった時点で、そのままゴミ袋へ捨てるだけでOKです。最初は取れるゴミの量に驚いてしまうほど、よくゴミがまとまります。
「粘着カーペットクリーナー」も日常のこまめな掃除に欠かせません。日ごろからすぐ手を伸ばせる範囲に粘着カーペットクリーナーを置いておきましょう。絨毯に掃除機をかけるのが面倒な時でも、まめに表面の汚れを取り除くことができ、絨毯の繊維に汚れが入り込むのを防いでくれます。
どれも100円ショップなどで調達できるものばかりなので、そろえておくと便利です。
掃除機は縦横を意識してゆっくりと
普段の掃除では、掃除機をかける方向を意識するだけでも効果が上がります。絨毯に掃除機をかける場合、縦と横を意識し2方向からゆっくりかけると効果的です。
まずは縦方向にひととおり掃除機をかけたら、次に横方向からかけていきます。2方向から掃除機をかけることで、絨毯の奥に入り込んでいる汚れやゴミを吸引しやすくなります。掃除機にはさまざまな吸引モードがありますが、絨毯には「吸い取りモード」がおすすめです。
掃除機のブラシが高速回転するようなモードがついている場合、回転によって絨毯の繊維を痛めてしまう可能性があります。できるだけブラシの回転は止めるようにしてください。回転が止められない掃除機の場合は、あまりヘッドを強く押し当てすぎないことと、短時間で掃除機をかけることを心がけましょう。
布団用のアタッチメントなどがある場合は、そちらを使用することで絨毯への強い刺激を避けることができます。
柔軟剤の希釈水は静電気防止になる
掃除機をかけ終わりゴミが取れた後は、柔軟剤の希釈水スプレーを絨毯へ撒布しておくのがおすすめです。
柔軟剤の希釈水を撒くことで絨毯の静電気を防止し、チリやホコリなどのゴミの付着を防止できます。ただし赤ちゃんや小さい子ども、ペットなどがいるご家庭には柔軟剤の希釈水が付着したものを口にする可能性もあるので、使用は避けましょう。
絨毯の掃除術【しっかりお手入れ編】
絨毯を快適に長持ちさせるためには定期的なお手入れが大切です。ニオイやシミなど、しっかりケアしたい場合の掃除方法をご紹介します。
絨毯のニオイ対策は重曹で
さまざまな掃除シーンに大活躍の重曹は、絨毯のニオイ取りにも有効です。重曹はニオイの原因となる物質を分解し、ニオイの発生をおさえる効果があります。汚れに応じて重曹水や粉末をそのままかけるなど使い分けましょう。
【方法1】重曹水を使う
1 | 重曹水をつくります(水100mlに対し重曹小さじ1杯)。 |
2 | 絨毯のニオイが気になる部分に直接撒布する、または重曹水に浸し、固く絞ったタオルでニオイが気になる部分をふきとります。 |
3 | 絨毯に残った水分は乾拭きや陰干しでしっかり乾かしましょう。濡れたまま放置すると繊維を痛めてしまうことがあります。 |
【方法2】粉末を使う
1 | 重曹の粉末をそのままニオイが気になる部分へ直接ふりかけます。全体的に薄くまんべんなくふりかけ、2~3時間ほど放置しましょう。 |
2 | 時間がたったら掃除機で吸い取ります。 |
粉末の場合は、放置時間が長いほどニオイがとれやすくなるので、就寝前にふりかけて朝まで放置しておくといいでしょう。
目が細かい絨毯に粉をふりかけた場合、掃除機で吸い取りきれないこともあります。目の細かさなど、ニオイを取りたい絨毯をよく確認し、重曹水・粉末のいずれを使うべきかをしっかり確認しましょう。
また、い草やジュート素材、ウール素材の絨毯の場合は変色や素材を痛める原因になる恐れがあるため、重曹は使えません。
絨毯のシミ抜き方法は汚れが油性か水性かで異なる
絨毯についたシミは時間が経てば経つほど取りにくくなるので、できるだけ早く取ることが肝心です。カーペットを傷めずきれいにシミを取る方法を見てみましょう。シミが油性なのか水性なのかにより方法が異なります。
【油性の場合(油性の食べこぼしなど)】
■使用するもの
ヘアブラシ、掃除機、スプレー式容器、白いタオル、ぞうきん、ゴム手袋、ベンジンまたはマニキュアの除光液
1 | 窓を開けて風通しをよくします。液だれ防止のためゴム手袋の端を折り返しておきましょう。 |
2 | ベンジンかマニキュアの除光液を白いタオルに染み込ませ、絨毯の目立たないところで色落ちしないかを確認します。もしタオルに絨毯の色がついたらこの方法でのシミ取りを中断してください。 |
3 | シミを取る前に絨毯の汚れをかき出します。ヘアブラシを使ってシミ周辺の繊維中の汚れをかき出し、掃除機で吸い取ります。 |
4 | スプレー式容器に水を入れ、シミの周りを水で湿らせます。洗剤による絨毯の輪ジミ予防になります。 |
5 | 2と同じ方法で、ベンジンまたはマニキュア除光液を染み込ませた白いタオルを、絨毯のシミに押し付けます。シミの色が完全にタオルへ移るまで続けましょう。こするのはNGです。 |
6 | 絨毯にシミの色がなくなったら、絨毯のベンジンやマニキュア除光液を固く水で絞ったぞうきんなどで拭き取ります。 |
【水性の場合(果汁や水性ペンのインクなど)】
■使用するもの
ヘアブラシ、掃除機、スプレー式容器、白いタオル、ぞうきん、ゴム手袋、ヘラ、カーペット用洗剤
1 | 窓を開けて風通しをよくします。液だれ防止のためゴム手袋の端を折り返しておきましょう。 |
2 | カーペット用洗剤を白いタオルに染み込ませ、絨毯の目立たないところで色落ちしないかを確認します。もしタオルに絨毯の色がついたらこの方法でのシミ取りを中断してください。 |
3 | シミを取る前に絨毯の汚れをかき出します。ヘアブラシを使ってシミ周辺の繊維中の汚れをかき出し、掃除機で吸い取ります。 |
4 | スプレー式容器に水を入れ、シミの周りを水で湿らせます。十分に湿らせた上からカーペット用洗剤を噴射します。 |
5 | 洗剤を噴射した絨毯の上から白いタオルをかぶせます。ヘラなどを使って汚れをかき出すように洗剤を絞り出し、タオルに吸着させます。シミがなくなるまで続けましょう。ヘラなどで外から内側に向かってすくうようにしていうことがポイントです。こするのはNGです。 |
6 | 絨毯にシミの色がなくなったら、固く水で絞ったぞうきんなどで洗剤を拭き取ります。 |
シミの原因が油性か水性か分からない場合は?
シミの原因が油性か水性か分からない場合には、まず「油性の方法」から試しましょう。それでも取れない場合は「水性の方法」を試します。水性から試してしまうと油性のシミだった場合、取れなくなるので注意してください。
絨毯を快適に使う工夫
コツを押さえた掃除のほかにも、絨毯を快適に使うために取り入れたい工夫があります。
定期的に陰干しする
絨毯を定期的に陰干しし、乾燥させましょう。ダニは湿度55%以下の環境では生息しにくいとされています。そのため陰干しで乾燥させると、ダニ対策ができます。
可能であれば週に1度は絨毯やラグの下の掃除を行い、そのあいだ絨毯を外に干しておくのが理想的です。外に干す場合は変色や日やけの原因となってしまう可能性があるので、直射日光はなるべく避けるようにしましょう。
また陰干しができない場合、絨毯やラグを半分に折って裏側を露出させておくだけでも効果的です。
月に1度水拭きする
陰干しと一緒に行いたいのが水拭きです。絨毯も洋服などと同じファブリック類なので、水拭きすることで直接触れる表面の繊維の汚れが落ちスッキリします。
水拭きする場合は、タオルを固めに絞ってカーペットの流れに沿って全面を拭いていきます。このときゴシゴシこすると汚れも一緒に広げてしまう可能性があるので、ポンポンと叩くようにやさしく拭きましょう。
湿気が多いとカビの原因になってしまうので、水拭きの後はできるだけ絨毯を陰干しします。陰干しが難しい場合でも、必ず乾いたタオルで全面を拭きましょう。
絨毯は面積が広いので、全体を水拭きするのは大変と感じるかもしれませんが、汚れを感じている部分があればそこだけでも構いません。絨毯の汚れに対し、できるだけ早めのアクションを取ることがポイントです。
カーペットクリーニングを利用してみる
プロの絨毯掃除は、絨毯の面積が広くても家具を動かすことなく絨毯全体をスッキリきれいにしてくれます。シミや汚れは事前に部分処理を行うので、素人では落とせないような絨毯の汚れもしっかり落ち、繊維や素材の質感も損ないにくいです。
事後の薬剤や汚れの回収までしっかり対応してくれるので、自分で行うのは面倒だという方は検討してみてはいかがでしょうか。
絨毯掃除をマスターして、快適な毎日を過ごそう
絨毯掃除はちょっとした小道具や掃除機のかけ方で、掃除の効果に差が生まれます。多忙な毎日の中でこまめに絨毯掃除をするのは大変ですが、自分なりにルールを決めて定期的に行うようにしましょう。