日本総合研究所は4月8日、「2021年夏季賞与の見通し」に関する調査結果を発表した。調査によると、今夏の賞与を展望すると民間企業の一人当たり支給額は前年比▲3.2%と、夏季賞与としては2年ぶりのマイナスとなる見込みとなる。
背景には、2020年度下期の企業収益の低迷があり、経常利益は2020年10~12月期に前年比▲0.7%減に。製造業は同7.0%と10四半期ぶりのプラスを確保したものの、2020年春先にかけての大幅な落ち込みからの回復としては限定的。
非製造業は同▲7.6%と減少幅は縮小したものの、外出自粛に伴う国内消費の冷え込みが業況を直撃する構図が長期化している。春闘賃上げ率が2013年度以来の2%割れとなるなか、賞与額のベースとなる所定内給与(基本給)の伸びも鈍化するとする。
また、新型コロナの賞与への影響は既に顕在化し、昨年の賞与は大企業において一人当たり賞与額の削減、小企業においては支給の見送り(支給対象人数の削減)を主因に減少。業種別では、飲食サービス、生活関連サービス、運輸・郵便(旅客輸送)が大幅な落ち込んだという。
こうした傾向は今夏も続き、賞与支給総額は、同▲4.1%の減少となる見込みで、一人当たり支給額に加え、支給対象者数の減少も続く見込み。新型コロナの感染拡大前に2020年度の支給額が決まっていた大企業では、今夏から新型コロナの影響が本格化するとしている。
一方、国家公務員は、支給月数の引き下げ(▲0.025 月分)と平均年齢の低下等に伴い、同▲2.2%の減少となる見込みだという。