フリマアプリのメルカリで商品を購入した後、購入者が「返品をしたい」と出品者に依頼した場合、基本的には出品者は返品に応じる必要があります。ただし、購入者の返品を希望する理由によっては、出品者側は「返品拒否」ができるのです。
本記事では出品者の立場から、どんなケースで返品が拒否できるのかや、返品申請を放置したらペナルティはあるのか、返品拒否を伝えるコメントの例文などを紹介。出品者が返品に応じない場合の対処法など、購入者用の情報もまとめました。
【出品者編】メルカリにおける返品拒否はできる? 規約違反なの?
メルカリの規則では、「ノークレーム(NC)ノーリターン(NR)ノーキャンセル(NC)」という通称「3N」や、「返品不可」という文言を商品説明などに記載することが禁止されています。
また仮にこれらの文言を掲げている商品を購入したとしても、「購入時の写真には見当たらなかった傷がある」などの、出品者に落ち度があるとおぼしき理由で購入者が返品申請をすれば、出品者は返品に応じる義務があります。
メルカリ利用規約には以下のように記されています。
本サービスの利用にあたり、出品者及び購入者間の合意がある場合を除き、商品の注文後のキャンセルはできないものとします。 商品に瑕疵がある場合、商品説明と実際の商品が明らかに異なる場合、梱包の不備により配送時に商品が破損したなどの場合は出品者が責任を負うものとし、出品者の責任及び費用により、返金、商品の返品、修理、交換等の対応を行うものとします。
瑕疵は法律用語として用いられることが多いですが、一言で言ってしまえば「何らかの欠点や欠陥」を意味します。「動作は問題ないです」などと掲げているエスプレッソマシンが、いざ購入してみたら正常に作動しない……といったケースが「商品に瑕疵がある」に該当し、それにもかかわらず返品を拒否することは規約違反です。
ただし、購入者側の身勝手な理由であれば返品の拒否が可能となっています。例えば「思っていた形じゃなかった」「色が気に入らなかった」のような購入者側の都合であれば拒否ができます。
というわけで、購入した側の理由によっては、出品者は返品拒否が可能です。商品に不備がないのに返品したいという申し出があった場合は、メッセージで購入者と話し合う必要が出てきます。
返品拒否のまま放置するとどうなる? 事務局からのペナルティはある?
出品者が返品申請を拒否して放置したままにすれば、購入者の大半は運営側のメルカリ事務局に相談するでしょう。事務局の基本方針は「出品者と購入者の話し合いで決める」というものなので、結局は双方による話し合いが必要となります。返品を拒否する理由を明確に購入者に提示できるようにしておきましょう。
購入者が事務局に連絡すると、その相談を受けて事務局から出品者にも連絡が来ます。事務局から連絡が来たら、無視をしないようにしてください。
事務局からの連絡を放置して無視を続けると、強制的に購入キャンセルにされてしまう可能性があります。返品する際の送料を払わなくてはいけなくなったり、売上金を受け取れなかったりする恐れが出てきますし、強制退会などのペナルティを運営側から科せられるリスクも出てきます。
返品の話が出ているのであれば、こまめにメルカリをチェックする必要があります。特に事務局からのメッセージにはきちんと対応することを忘れないようにしましょう。
商品に事前申告のない破損などの不備がある場合、返品拒否はできない
上述の規約にあるように「事前に知らされていない傷や汚れがあった」「購入時の記載と違う」といった商品自体に不備が見つかった場合は、基本的に返品に応じなくてはなりません。このような商品の不備が原因での返品要請には、拒否は認められない可能性が高いです。
しかし、商品が購入者の手元に届いてから手が加えられてしまったというケースもあります。それを防止するためにも、商品を送る前に不備がないことを証明するために、さまざまな角度から複数枚の写真を撮っておくといいでしょう。
返品拒否が可能なケース
基本的にはメルカリは、ノークレーム・ノーリターン・ノーキャンセルにつながる行為を禁止しているため、「返品に応じない」というスタンスは認められていません。一方で、「必ず返品に対応しなくてはならない」というわけでもありません。
相手方の理由によっては購入者の返品拒否が通る場合もあります。以下に各種条件をまとめました。
商品自体には不備がない
商品自体に不備がなければ、返品拒否が可能なケースもあります。例えば、「梱包状態がよくなかった」「到着が遅かった」「購入者側が気に入らなかった」など、商品に対して問題がなければ返品を拒否しても問題はありません。
同意の上での購入だった
出品していたのがジャンク品や壊れているものだった場合、そのことについて事前に購入者の同意があったのであれば、返品を拒否できます。メッセージでもともと不備のある商品だということに購入者が同意していたのであれば、そのメッセージをもって証明することもできます。
しかし、ジャンク品だったり壊れていたりしたことを明記せず、同意が得られていない場合には返品に応じなくてはならないのは当然です。もともと不備のある商品をメルカリに出品するのであれば、商品説明に明記するのはもちろんのこと、メッセージでも同意を得るとよりいいでしょう。
返品理由が「思っていたのと違う」など購入者都合
返品理由が商品に関する不備だった場合は基本的に返品に応じなくてはなりませんが、購入者側の勝手な都合によるものであれば返品を拒否することも可能です。
「思っていたカラーじゃなかった」「想像と生地が違った」というような購入者都合の返品理由は認められません。購入者から返品の要請があった場合はまずその理由と性質を確認し、申請に応じる必要があるか判断しましょう。
返品拒否を伝えるコメント例文
購入者から返品申請をしたい旨のメッセージが来た際に、返品を拒否することを伝えるための例文を紹介します。
購入者が「自己都合による返品はメルカリのルール上、認められていない」という事実を知らない可能性もあります。出品者がそのことを伝えれば、返品申請を取り下げてくれるかもしれません。
なお、メルカリでは出品者と購入者がメッセージを通じてやりとりする形になるので、丁寧な文章や表現を心掛けましょう。
【返品拒否を伝えるコメント例文】
ただ、大変申し訳ございませんが、●●様からお知らせいただいた返品理由は●●様自身の事情によるものかと思われます。メルカリガイドには、購入者様のご都合での取引キャンセルは迷惑行為と記載されているため、今回の返品には対応いたしかねます。
恐れ入りますが何卒ご理解いただけますよう、よろしくお願いいたします。
【購入者編】出品者が返品に応じない場合の対処法
次は購入者目線で、商品に不備があるにもかかわらず返品拒否された場合の対処法をご紹介します。
評価はせずに運営側へ迅速に連絡
まずは、商品IDを控えてメルカリの事務局に連絡してください。商品の返品理由や返品拒否されたことも一緒に伝えておきましょう。
なお事務局への問い合わせがない場合には、発送通知をした9日後の13時以降に、強制的に取引完了となってしまいます。そのため、なるべく早いうちに返品要請を出す必要があります。
また、受取評価にも注意が必要です。メルカリでは受取評価を入力すると、取引が完了したとみなされてしまい、取引キャンセルができない仕組みとなっています。評価は商品に納得がいくまでしないようにしましょう。
商品に不備があることを証明する
返品事由が商品の不備であった場合、基本的に出品者は返品に応じなくてはなりません。しかし、商品の不備が確認できないのであれば、返品を拒否される可能性もあります。
そのため、到着時に商品に不備があったことを証明できるようなものを用意しましょう。汚れや傷などの写真を撮っておくのがおすすめです。
受取評価で事実を書く
他の人が同じ目に遭わないように受取評価に事実を書くのも一つの手です。これは出品者に返品拒否され、事務局側からも返品が認められなかった場合に最終手段となる方法です。
しかし、正規の商品を手に入れることもできず、支払ったお金も戻ってこないので「諦める」という選択肢と同じことになります。
出品者との話し合いを長引かせたくない、あるいはそこまで大きな金額ではないため諦められるといった場合は、このような対応を選ぶことになるかもしれません。
補償を受けて終わらせる
出品者が返品に応じなくても、事務局から補償を受けられる可能性があります。その内容はケースによって異なるので、運営側に内容を詳しく確認しましょう。
商品を買う際にチェックしたいポイント
返品手続きは時間も掛かりますし、面倒に感じる方が多いでしょう。返品を避けるためには、まず購入したい商品をしっかり見極めることが大切です。最後に、商品を購入したいときに見るべきポイントについて解説していきます。
出品者の評価(過去にトラブルが無いかなど)
まず、商品を出品しているのはどのような人か確認しましょう。問題のある商品を繰り返し出品している場合は、以前取引した人ともトラブルを起こし、評価が悪いかもしれません。
今までの評価は高いのか、禁止事項となるような記載をしていないか、気持ちよくやり取りができそうな相手を選んで購入しましょう。
傷や汚れなどの記載
出品者が傷や汚れについて記載していた場合、それをうっかり読み落としてしまうと返品ができません。そのため、商品についての記載はきちんと確認しましょう。写真が載っていなくても、文字での記載があるかもしれないので、確認は怠らないように気を付けてください。
不安であればメッセージで写真などを送ってもらう
購入を検討している商品について、わかりにくい写真や文字だけの記載だった場合には、メッセージで直接写真を送ってもらいましょう。このようなやりとりを事前に行うことで、出品者がどのような対応をする人なのか判断することもできます。
返品時にかかる送料の負担主
メルカリで実際に返品をするとなった場合、購入者は出品者へと購入商品を送り返すことになります。当然、そのときに送料が発生しますが、その送料は出品者と購入者のどちらが負担するのかをまとめました。
出品者が負担するケース
「送った商品に不具合があり正常に作動しない」「商品紹介ページの写真にはなかった傷がある」など、商品に問題がある場合は出品者が送料を負担するケースが一般的です。
購入者が負担するケース
めったにはありませんが、購入者側の自己都合による返品希望に対し、出品者側が了承した場合は、購入者が送料を負担します。
「実際に届いた商品の色や手触りが気にいらなかった」といったような、商品に不具合がないのに返品を求めるようなケースが該当します。
商品の返品理由によってキャンセル・返品が可能か不可能か決まる
出品者は基本的に返品に対応しなければいけません。しかし、商品に不備があるケース以外では返品を拒否することもできます。
返品申請が届いた際は返品理由をきちんと確認して、返品拒否ができるか確認しましょう。