ダイソンは4月7日、コードレスクリーナー「Dyson Omni-glide(ダイソン オムニグライド)」(以下、Omni-glide)を発売しました。ヘッドに2本の回転ブラシを内蔵した、全方向駆動タイプの新しいモデルです。

価格はオープンで、ダイソン公式サイトの直販価格は、標準的な構成の「Dyson Omni-glide Complete」が64,900円、LED隙間ノズルが付属する直販限定モデル「Dyson Omni-glide Complete+」は69,300円。メディア向け発表会で実際にOmni-glideを体験してきたので、特徴や使用感をレポートします。

  • Dyson Omni-glideを手に製品説明する、ダイソンのジェームス・シェール氏

    Dyson Omni-glideを手に製品説明する、ダイソンのジェームス・シェール氏

2本のブラシでヘッドが前後左右の好きな方向に動く

一般的な掃除機のヘッドは、基本的には前後にしか動きません。対してOmni-glideは「全方向駆動コードレスクリーナー」とあるように、前後左右に斜め、全方向に動くのが最大の特徴です。この全方向移動には、ダイソンが新たに開発した「Omnidirectional Fluffy(オムニディレクショナル フラフィ)クリーナーヘッド」が関係します。

  • Omni-glideを試用するマイナビニュース・デジタルの林編集長。スティック時の本体サイズは幅208×奥行1077×高さ132mm、重さは1.9kg

【動画】発表会では、工業用ロボットを使って「ヘッドが全方向に自由に動く」様子をデモ

Omnidirectional Fluffyクリーナーヘッドは、一般的な掃除機ならヘッド内に1本だけ内蔵する回転ブラシを2本搭載していること。さらに、360°回転する4つのキャスターホイールを配置することで、床面との抵抗を最小限に抑えています。これにより、全方向にヘッドを滑らせることが可能に。

実際に使ってみると、まるで氷の上でヘッドを滑らせているような感覚。ヘッドが床を移動するときの抵抗が、一般的な掃除機よりもかなり少ないことを実感しました。

また、2本ブラシ構造のヘッドはフローリングやタイルの上では軽い操作感でも、カーペットだと一般的な掃除機より重く感じることがあります。Omnidirectional Fluffy クリーナーヘッドはキャスターを搭載しているためか、カーペット掃除時はフローリングより抵抗はあるものの、そこまでの重さを感じることはありませんでした。

  • Omni-glideのヘッド裏面。2本の回転ブラシと、360°回転する4つのキャスターを搭載しています

  • Omnidirectional Fluffy クリーナーヘッドのために作られた試作機の数々。左から右へと進化していき、最終的にはヘッド幅がかなり狭くなっているのがわかります

【動画】前後はもちろん、軽い力で左右にもヘッドが動きます。回転ブラシ内蔵の一般的な掃除機は、「引く」動作でより多くのゴミを吸引しますが、Omni-glideはブラシを2本にすることで「押す」「引く」どちらの動作でもしっかりゴミを吸引

ヘッドが全方向に移動するだけでなく、軽い力でハンドルをひねってヘッドの向きをコントロールでき、さらに本体は180度フラットに倒せます。本体がスリムなストレートデザインなので、ソファ下といった狭い隙間の掃除も簡単になりました。

  • 手首をひねるだけでヘッドの角度を簡単に調整。ヘッドを縦にして、壁際などの隙間を掃除するのもラクになりました

  • 180°フラットに本体を倒せるため、家具下の掃除にも向いています。ただし、ヘッドの向きが違うと180°は倒れません

ブラシが2本に増えると、気になるのがブラシのメンテナンス。Omni-glideでは回転ブラシに髪の毛などが絡まった場合、簡単に2本のブラシを取り外してケアできます。とはいえ、そもそもダイソンの柔らかなFluffyブラシは髪の毛といった細長い糸ゴミが絡まりにくい構造。会場で糸ゴミを吸引したところ、ブラシには1本もゴミが巻き付いてはいませんでした。このあたりの使いやすさはさすがダイソンです。

  • スライドロックを外すだけで、工具なしで簡単にブラシが取り外せます

【動画】30cmほどの髪の毛を模した糸ゴミを吸ってみて、ブラシへの巻き付きをチェック。糸を吸引したあと、ブラシには1本も糸が巻き付いていません

Omni-glideのために本体デザインを一から設計

ダイソンのコードレスクリーナーといえば、本体から突き出た銃のようなハンドルが特徴的。Omni-glideではこのハンドルを廃止し、完全なストレートデザインとなりました。

本体形状はすべてOmni-glide用に設計されています。ただし、モーターにはDyson Micro 1.5kgと同じDyson Hyperdymiumモーターを採用。コンパクトながら毎分最大105,000回転するパワフルなモーターです。

  • 左から右へと新しくなっていく本体デザインの試作機。最初の段階ではガムテープや段ボールを使って造形しています

  • Omni-glide用に開発されたサイクロンパーツ(写真右側)。「コンパクト」といわれたDyson Digtal Slimのサイクロン(写真左側)と比較しても、かなり小さくなっています。新サイクロンは小型ながら、8個のサイクロンが98,000Gもの遠心力を生み出す優れもの

  • 従来のトリガーハンドル形状をやめたため、操作はDyson Micro 1.5kgと同じボタン式スイッチに。ボタンは2個あり、上が電源ボタン、下がMAX(強)ボタン。手元に操作部が集中しているので、操作性はそこまで悪くありません

バッテリーの充電時間は約3.5時間で、満充電時はエコモードで約18分、強モードで約5分の連続駆動。バッテリーはハンドル部分から簡単に取り外せるため、別売りの予備バッテリーを購入しておけば、掃除時間を延ばせます。Omni-glide専用の着脱式バッテリー&充電器は5月発売予定で、ダイソン公式直販価格は13,200円です。

  • ハンドル上部から簡単に取り外せる着脱式バッテリー。じっくり掃除する派のために、予備バッテリーのセットも販売予定とのこと

ゴミ捨て方法は従来と同じ、パイプを外してレバーを引く「Point & Shoot」方式。ダストビンにはスクレーパーが内蔵されており、金属メッシュフィルターのゴミをこそげ取りながら溜まったゴミを捨てられます。

【動画】レバーを引くとゴミを捨てるとともに、メッシュフィルターのゴミもこそげ落とします

標準モデルとなる「Dyson Omni-glide Complete」は、付属品として収納用ブラケットのほか、専用充電ドック、布団掃除にも使えるミニモーターヘッド、隙間ノズルにもブラシノズルにもなるコンビネーション隙間ノズル、卓上ツールを付属します。

  • 壁にネジで取り付ける収納用ブラケットのほか、床置きできる白い専用充電ドックを付属。専用充電ドックにはすべての付属ツール(3種類)を収納可能

  • 回転ブラシを内蔵したミニモーターヘッド。ベッドや車内清掃に力を発揮します

  • 隙間ノズルにもブラシノズルにもなるコンビネーション隙間ノズル。長いのでカーテンレールやエアコンをはじめとした高い場所の掃除にも向いています

  • 短く取り扱いやすい卓上ツール。棚の上などの狭い場所の掃除にぴったり

さて、Omni-glideの発売によって、ダイソンのコードレス掃除機のラインナップは大きく4種類になりました。強力な掃除パワーにスタミナバッテリーのフラッグシップ「Dyson V11」、機能とパワーをキープしつつ小型軽量化した「Dyson Digital Slim」、とにかく軽さを追求した「Dyson Micro 1.5kg」。そして今回の新モデル、ダイソン史上もっとも操作性が良とする「Dyson Omni-glide」です。

  • 左から「Dyson V11」「Dyson Digital Slim」「Dyson Micro 1.5kg」「Dyson Omni-glide」

ところで、2つの回転ローラーで全方向にヘッドが移動し、浮遊感のある掃除が楽しめるといえば……、思い浮かぶのが2020年11月発売のバルミューダ「BULMUDA The Cleaner」。これについてダイソンは、Omni-glideは韓国では2020年7月からすでに販売していたとのことでした。今後は日本でも全方向移動可能な2本回転ブラシ式のクリーナーが、どんどん増えるのかもしれません。