「有言実行」という言葉は社会人がよく耳にする言葉ですが、経営者や管理職でない方の中には、正しい意味を知らずなんとなく使っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、「有言実行」の意味や使い方のコツ、対義語である「不言実行」との違いについて解説します。日常生活やビジネスシーンで効果的に活用し、洗練されたビジネスパーソンを目指しましょう。

  • ビジネス誌を読む人

    有言実行の意味や使い方を理解しましょう

「有言実行」の意味とは

有言実行(ゆうげんじっこう)は、「口にしたことは何が何でも成し遂げる」ということを意味する言葉です。

何か成し遂げたい目標がある場合に、それを口に出して周りに宣言することでモチベーションを上げます。すると、実現しなければ恰好がつかないという良い意味でのプレッシャーを感じて実現への強い意志を持てるでしょう。

「有言実行」の由来

有言実行葉は、「不言実行」(ふげんじっこう)という四字熟語から派生したものです。不言実行とは、「わざわざ口に出して言うことはせず、黙々とやるべきことを行う」ことを意味します。

昔の日本では、控えめな姿勢が美徳とされていたため不言実行は立派なことだとされていました。しかし、グローバル化に伴う自己啓発や成功哲学が普及し、目標を公言することで結果に繋がるという考えが広まったことで、不言実行を捩る形で有言実行という言葉が生まれました。

有言実行と不言実行の違い

有言実行と不言実行の主な違いは、目標や成し遂げたいことを口に出すか出さないかという、「発言の有無」にあります。有言実行は、公言してから物事に取り組むことです。反対に不言実行は、公言せずに物事に取り組むことを言います。

  • パソコンと資料を使って話し合いをしている様子

    有言実行の意味と不言実行との違いを理解しましょう

ビジネスシーンにおける「有言実行」の使い方

ビジネスシーンにおいて有言実行は、口に出したことを責任を持って成し遂げる姿勢を評価するときなど、ポジティブな意味の言葉として使われることが多いです。

そのため、あらかじめ自身が有言実行する性格であることを伝えると、周囲からの信頼度が上がるでしょう。上司や同僚はもちろん、取引先などの信頼を得たい相手に自らの誠実さを長所として伝えるときにも効果的です。

<使用例>

  • 彼は必ず有言実行するため、上司から期待されている。
  • 同僚の前で目標を宣言したため、何が何でも有言実行して結果を出そうと思う。
  • 取引先の信頼を得るため、私の座右の銘は有言実行であるとアピールした。

「有言実行」の類語・言い換え表現

有言実行という言葉だけではなく、類語や言い換え表現の意味を覚えて使い分け、一段上のビジネスパーソンを目指しましょう。

言行一致

言行一致(げんこういっち)とは、「言葉に出した事と行動が一致し、矛盾がないこと」を意味する言葉です。ほとんど有言実行と同じ意味であるため、使い方や場面にも大きな違いはありません。

しかし、口に出したことは何が何でも成し遂げるという意味が強く、「結果を出すまでの過程」に重きを置いている有言実行とは少々受ける印象が異なります。

そのため、同じ結果になるとしても、そこに辿り着くまでの努力に焦点を当てて伝えたい場合には、言行一致ではなく有言実行を使いましょう。

知行合一

知行合一(ちこうごういつ)とは、「知識と行為は一体であり、本当の知識は実践によって裏付けられていなければならない」という意味の言葉です。陽明学の学説のひとつで、「知識は持っているだけでは意味がなく、それを行動に移すことで初めて真の知識となる」ことを表しています。

知行合一は、有言実行とは少々意味が異なりますが、行動に移すことを大切にしている点が共通していることから、類語として使われることが多いです。

不退転

不退転(ふたいてん)は、「信念を持って何事にも屈しないこと」を意味します。たとえ困難にあっても、決めたことは必ず成し遂げるという心持ちを表す言葉であるため、有言実行の姿勢に近いと言われています。

信義を重んじる

信義を重んじる(しんぎをおもんじる)は、「真心を持って約束を守り、相手に対して誠実に接することに重きを置くさま」を表しています。

「言ったことは必ず実行する」ことを意味する有言実行と、「責任感を持って約束を守ること」を表す信義を重んじるという言葉は、どちらも「社会人のお手本となるような姿」を表現しているところが共通しています。

  • パソコンと資料を使って話し合いをしている様子

    有言実行の類語・言い換え表現を使い分けましょう

「有言実行」の対義語

有言実行には、ビジネスシーンで使用されてる対義語がいくつかあります。有言実行の対義語の意味や使い方についても理解しておきましょう。

有口無行

有口無行(ゆうこうむこう)とは、「口先ばかりで行動が伴っていないこと」を意味する言葉です。誠実に物事を成し遂げようとする有言実行とは正反対の意味となるため、ビジネスの場では好ましくない行動例として使われることが多いでしょう。

前言撤回

前言撤回(ぜんげんてっかい)は、「以前した発言を取り消すこと」という意味です。有言実行で「1度口にしたことを何が何でも成し遂げようとした」時に、万が一不都合が発生した場合、その発言や意見を打ち消す逃げ道を作り無かったことにすることを表します。

前言撤回は、頻繁に使用してしまうと、他人からの信頼性を損なってしまいます。一度発言したことは、有言実行して貫くか、実行する自信がない場合は、はじめから公言しないほうがよいでしょう。

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    有言実行の対義語を確認しましょう

「有言実行」の英語表現

有言実行は、英語では「walk the talk」と表現します。それぞれの単語はとても馴染みのあるものばかりですが、この英熟語をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

口先だけという意味の「talk the talk」と、実行するという意味の「walk the walk」を組み合わせた造語が「walk the talk」となり、有言実行を意味するようになりました。

海外の取引先や就活生で企業の英語面接などを受ける際には、自身のモットーとして「walk the walk」を伝えると、スマートでかっこいい印象を与えられるでしょう。

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    有言実行の英語表現を学びましょう

「有言実行」を正しく理解しよう

有言実行の意味や使い方、類語や対義語について解説してきました。有言実行は、ビジネスの場においては周りから評価される行動のひとつです。有言実行は、必要な場面で正しく使うことによって、信頼度やビジネスの成功に繋がる可能性があります。

有言実行の意味や使い方をしっかりと理解し、ビジネスシーンで効果的に使用できるようにしておきましょう。