品行方正という言葉を聞くと、模範的な優等生を思い描く方も多いでしょう。品行方正とは、正しい心を持ち道義的にふさわしい言動をすることを表し、人を評価するときなどに用いる表現です。ビジネスにおいて、品行方正と評される人物は高い信頼を得ます。

本記事では品行方正の意味や言葉の由来、ビジネスシーンにおける例文などをご紹介します。

  • 振り向く女性

    品行方正の意味は「行いがきちんとして心が正しいこと」です

品行方正の意味とは

品行方正の意味は、行いがきちんとして正しいこと、またその様子のことです。品行が普段の行い、方正は行いや心持ちの正しさを表します。

品行方正な人と表現した場合、「礼儀正しい人」「言葉遣いが丁寧な人」「TPOをわきまえ場の空気を読むことに長けた人」といった性質が当てはまります。これらはビジネスでも相手の信頼を得るために必要な性質でしょう。

また、理想の人物像として掲げられる場合もあります。教育標語として品行方正を掲げる学校もあります。

品行方正の由来

明確な由来は判明していません。一説によると中国春秋時代に斉の政治家・管仲が書いた「管子」の中の「人主身行方正使人有禮、遇人有信」という一文が由来だとされています。

ビジネスシーンにおける品行方正の使い方

ビジネスシーンでは、マナーに則った丁寧で礼儀正しい行動や、折目正しい言動の人を品行方正と評価します。自分自身の評価に用いる言葉ではなく、目指すべき人物像としての「目標」や、他者に対しての評価などに用います。

ただ、品行方正は褒め言葉だけではありません。「品行方正=堅物・つまらない」など負のニュアンスもあります。そのため、他者に対して使う場合には注意が必要です。

<使用例>

  • 彼は品行方正で信用に足る人物だ
  • 品行方正だけではつまらない

品行方正に似た四字熟語

他にも品行方正と同じような意味を持つ四文字熟語があります。どれも、道徳的観点からみた正しい行いや、心が正しい様を表す熟語です。

人となりを表す場合にも用いられる、似たような意味の四文字熟語をご紹介します。

■清廉潔白

「清廉潔白 」は心が清く私欲がなく、後ろ暗いことがないことを表します。「清廉」と「潔白」という2つの「心が清く正しい」という言葉を組み合わせて作られた言葉です。不正をせず、私利私欲に走らないという人物を評するときに使われます。

■規行矩歩

「規行矩歩」は心や行動がきちんとしていて正しいという意味の言葉です。古いしきたりや決まりにとらわれ融通がきかないという意味もあり、品行方正に比べて頭が固いといった印象を受けます。

規行の規はコンパスのこと、矩歩の矩はさしがねと呼ばれる定規のことを指します。「歩き方がきちんとした法則にかなっている」という由来を持つ言葉ですが、コンパスやさしがねのように正しい基準を曲げられないことで「融通がきかない」という意味も加えられます。

■方正謹厳

非常に真面目で慎み深いこと、行いが正しいことを表します。方正は行いが正しいこと、謹厳は真面目でいかめしいという意味です。 品行方正よりも硬派は印象を受ける四文字熟語です。

品行方正の類語・言い換え表現

行いがきちんとしている、行動や心が正しく立派なことという意味を持つ品行方正には同じような意味を持つ類語や言い換えの表現があります。

品行方正には「かたい」「つまらない」などという負のニュアンスもあり、褒め言葉として使った場合に誤解を招く可能性があります。そのようなことのないよう、言い換えの表現を増やしておきましょう。

  • 手紙を書く子ども

    語彙を増やすことにもつながります

礼儀正しい

礼儀正しいは、礼儀をわきまえている様子や、作法や態度がきちんとしている様子を表します。 礼儀とは人間関係や社会の秩序を維持するために守るべき行動様式のことであり、挨拶やマナーなどがそれにあたります。礼儀正しい人物は、高い評価を受けることが多いです。

折り目正しい

きちんとした態度や、行儀作法がしっかりとしている様子を表現します。礼儀正しいと同じ意味で使われる言葉です。着物など布の折り目がきちんと整っていることが転じて、態度や作法が正しい様子を表す言葉となりました。

誠実

真心を持って人や物事に対することやその様子を意味します。「私利私欲で物事を考えず、相手を思いやり、責任感を持って物事にあたる」……。こんな人が誠実な人と呼ばれます。

品行方正の対義語

一方で、品行方正の対義語にはどのような言葉があるのでしょうか。当てはまるのは「礼儀がなっていない」「眉をしかめるような行動をすることやその様子」を表す言葉です。

品行方正の対義語をいくつかご紹介しましょう。

品性下劣

人格や人柄が卑しく、行動や立ち振る舞いが下品なこと、品性に欠けることを意味します。品性とは、道徳的基準から見たその人の性質や人格のことです。下劣とは下品で卑しいこと、同義的に下等であることを表しています。

悪逆無道

人の道に外れた悪事のことです。悪逆とは道理に外れた甚だしく悪い行いのこと、無道とは道理に外れていることです。「悪逆」の意味を「無道」がさらに強めています。

品行方正の英語表現

英語で品行方正を表す表現はいくつかあります。ここでご紹介する言葉の他にも文脈のニュアンスによってさまざまな表現があります。

ここで紹介するのは「good conduct」と「high morals」です。例文を用いて紹介しましょう。

  • 山頂から雲海を眺める男性

    適切な表現を使いましょう

good conduct

良い行いのこと、善行を意味します。conduct はふるまいや行為という意味です。「品行方正な人」というような表現であれば of をつけて、「of good conduct」という表現に置き換えましょう。

<例文>

  • His conduct is good (彼は品行が良い)
  • She is a person good conduct (彼女は品行のよい人です)

high morals

直訳すると、高い道徳観念という意味です。morals は moral の複数形で道徳、品行という意味を持ち、道徳的な振る舞いを表すときに使われる単語です。

<例文>

  • He is a person of high morals (彼は品行方正な人です)

品行方正の意味や使い方をマスターしよう

品行方正は、人に対する評価や行いを褒める際に使われます。その一方で、「つまらない」などのようなニュアンスもあります。これは、品行方正な人物が絵に描いたような優等生をイメージされるからにほかなりません。

今回ご紹介したことを参考に、ビジネスシーンで間違った使い方をしないようにしましょう。