モトローラ・モビリティの主力スマホ「moto g」シリーズの最新機種となる「moto g10」と「moto g30」が、2021年3月26日にSIMフリーモデルとして発売されました。いずれも2万円台と低価格ながら、大画面ディスプレイと4眼カメラを搭載するなど高いコストパフォーマンスを誇ります。両モデルの特徴と違いについて、実機に触れて確認してみました。
サイズはほぼ同じだが大きく異なるデザイン
まずは外観を確認してみましょう。サイズと重さは、moto g10が幅75.73×高さ165.22×厚さ9.19mm・約180g、moto g30が幅75.73×高さ165.22×厚さ9.14mm・約200gです。moto g30のほうがやや重いとはいえ、サイズ感に大きな違いはないといえるでしょう。
それゆえディスプレイサイズも6.5インチと共通しており、フロントカメラ部分もしずく型ノッチを採用し小型化を図っているなど、正面からの見た目にはほぼ違いがありません。ではどこに大きな違いがあるのかという、背面です。
moto g10とmoto g30の背面を並べてみると、moto g10はウェーブがかかったような凹凸のある手触りのデザインであるのに対し、moto g30は一般的なスマートフォンと同様、フラットなデザインとなっています。またカラーも、moto g10が「オーロラグレイ」と「サクラピンク」、moto g30が「ダークパール」と「パステルスカイ」と違いがあることから、背面のデザインやカラーが両機種の差異化要素の1つといえるでしょう。
ちなみに背面には両機種とも、カメラのほか指紋センサーを配置しています。フロントカメラによる簡易的な顔認証にも対応してはいますが、マスクをすることが多くなった現在現在では、やはり指紋センサーの存在がありがたいところです。
本体周囲を見ると、上面には3.5mmのイヤホン端子、下面にはUSB Type-C端子が備わっているほか、右側面には電源キーとボリュームキー、そしてGoogleアシスタントキーがあります。Googleアシスタントキーは2020年10月発売の「moto g9 play」から搭載されており、ここ最近は採用するメーカーが急増しているのですが、Googleアシスタントキーは声で呼び出せるのにキーが必要なのか? と感じてしまうのが正直なところです。
ただmoto g10・moto g30は、電源キーとGoogleアシスタントキーの区別がしやすいよう、電源キーには手触りのある加工を施しています。ポケットの中など、目が届かない場所で操作を誤らない工夫がなされているのはポジティブな要素といえるでしょう。
画素数が異なるカメラ、大きな違いは実感しにくい
続いてカメラを確認してみましょう。moto g10・moto g30のメインカメラはいずれも4眼構成なのですが、最大の違いはメインで使用する広角カメラ。moto g10が4,800万画素・F1.7、moto g30が6,400万画素・F1.7となっています。いずれも最近のミドルクラス新機種としては標準的な画素数といえますが、上位モデルとなるmoto g30のほうが高い画素数のカメラを採用し、差を付けているようです。
ただ実際に撮影してみると、劇的な差が出るほどではないという印象です。確かに逆光時などのHDR撮影や、暗所での撮影は、よく見るとややmoto g30が有利と思えなくもないですが、日常使いで差が気になるほどではありません。
メインの広角カメラ以外は、機能・性能は共通。超広角カメラが800万画素・F2.2、マクロカメラが200万画素・F2.4、深度測位用カメラが200万画素・F2.4となります。
広角・超広角カメラ・マクロカメラの切り替えは、写真撮影時に画面の下部に出てくるアイコンを押すだけと手軽。切り替えスピードも瞬時とはいきませんが、ストレスにはならない程度です。
ただ、深度測位カメラを活用したポートレート撮影や、夜景をキレイに撮る「ナイトビジョン」などは、画面最下部「動画」「写真」の隣にあるメニューから呼び出す必要があります。この辺りのインタフェースは好みが分かれる部分ですが、ナイトモードやポートレートモードは写真・動画と同列で選べる機種が多いだけに、やや手間がかかるという印象も受けました。
フロントカメラも両機種で違いがあり、moto g10は800万画素・F2.2であるのに対し、moto g30は1,300万画素・F2.2と、moto g30が画素数が高いものを採用。もちろん両機種ともに、肌をキレイにする「フェイスビューティー」機能はしっかり搭載されています。
性能も大きな違い、お得感はmoto g30が高い
moto g10・moto g30の違いが際立っているのは基本性能。チップセットを比べてみると、moto g10は「Snapdragon 460」、moto g30はそれより1クラス上の「Snapdragon 662」を搭載しています。メモリは両機種ともに4GBですが、ストレージはmoto g10が64GB、moto g30が128GBと、こちらも違いがあります。
チップセットの性能で見ると、moto g30はミドルクラスの中間、moto g10はそれよりやや下といったところ。実際に使ってみると大きな差は感じず、両機種とも操作時のエフェクトが省略されたり、スクロールに引っ掛かりを感じたりすることがままありました。とはいえ、日常使用でそれほど大きな支障が出ることはなく、3Dゲームも画質やフレームレートにこだわらなければそれなりにプレイは可能です。
もう1つ、大きな違いとなるのがディスプレイのリフレッシュレートです。低価格化のためか、両機種ともにディスプレイ素材には液晶を採用しているのですが、moto g10は通常の60Hz駆動であるのに対し、moto g30は90Hz駆動もサポート。90Hz駆動だとバッテリーを多く消費する一方、スクロール操作やゲームなど動きのあるアプリの表示が滑らかになったりします。ゲームプレイにはmoto g30のほうが満足度は高いといえるでしょう。
両機種で共通しているのはバッテリーで、いずれも5,000mAhというハイエンドスマホ並みの大容量。安心感は高いといえます。ただし急速充電に対応しているのはmoto g30のみ。付属のTurboPowerチャージャーで充電することによって、急速充電が可能になります。
通信に関しては、5Gには対応せず4Gまで。デュアルSIM対応(うち1つはmicroSDと排他利用)なので、2枚のSIMを上手に活用した料金の節約などには役立てられるでしょう。
最後に価格ですが、moto g10が21,800円、moto g30が25,800円。いずれも2万円台でリーズナブルさが光る一方、価格差が4,000円と小さいのが難しいところです。ベースの性能はmoto g30が高いだけに、これだけの性能差があるならばmoto g30を選ぶメリットが大きいといえそうですが、いずれも低価格モデルとしてはバランスが取れているだけに、デザインや価格を重視するならmoto g10を選ぶのも悪くないのではないでしょうか。