順位戦ではA級昇級、棋聖戦ではベスト4に進出している山崎八段。竜王戦では果たして!?

第34期竜王戦ランキング戦1組(主催:読売新聞社)の準決勝、▲久保利明九段-△山崎隆之八段戦が4月6日に関西将棋会館で行われています。勝者は1組2位以上となり、決勝トーナメント進出が確定する大一番。A級入りを決めるなど、現在波に乗っている山崎八段に注目です。


第34期竜王戦ランキング戦1組トーナメント表

第79期順位戦B級1組で9勝3敗の成績を残し、初のA級入りを決めた山崎八段。4月2日に行われた第92期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント2回戦では、豊島将之竜王と対戦しました。

この将棋は山崎ワールド全開の一局でした。序盤に雁木に組んで玉を左辺に囲ったかと思いきや、右玉へとシフトチェンジ。さらに相手の攻めを玉自らで受け止め、金銀をはがされるうちに、玉の守り駒は自陣の飛車と遠くの角だけになってしまいました。

しかし不思議な生命力があるのが山崎玉。駒がほとんどなく、スカスカの自陣内で玉の大移動が始まります。4七にいた玉が、最終的には8八にまで移動。相手の攻めをかわし切ってしまいました。

そして豊島竜王の攻めが息切れしたタイミングで鋭く反撃。持ち駒が歩しかなくなってしまった豊島竜王には受ける術がなく、受けなしに追い込まれた局面で投了を告げたのでした。この勝利で山崎八段はベスト4に進出。挑戦権獲得まであと2つに迫っています。

竜王戦でも活躍中の山崎八段は、ここまで斎藤慎太郎八段、阿部健治郎七段を破って準決勝に駒を進めました。もし本局も勝利すれば、第26期以来の決勝トーナメント進出となります。対戦相手は久保九段です。

山崎八段と久保九段の過去の対戦成績は、山崎八段の9勝8敗とほぼ互角。直近の対局は2月4日の順位戦B級1組。この将棋で山崎八段は敗れたものの、競争相手の郷田真隆九段も敗れたため、A級昇級が決まりました。

本局は振り駒で久保九段が先手になり、三間飛車に構えました。そして21手目、▲3六歩と突いて急戦をにおわせます。

かつては振り飛車側の囲いの選択肢はほぼ美濃か穴熊しかありませんでした。ところが近年では金無双やミレニアムなど、様々なバリエーションが出てきています。4月1日に発表された第48回将棋大賞で升田幸三賞に選出された、大橋貴洸六段の「耀龍四間飛車」もその一つです。

久保九段もそのような最新の指し回しを得意にしており、昨年は最新振り飛車を武器に王座戦五番勝負を戦いました。

本局も久保九段が単純に美濃囲いに組む可能性は低いでしょう。最先端を行く対抗形の将棋の中で、久保九段がどのような工夫を見せるのか。また、山崎八段は本局でも独創的な指し回しを見せてくれるのか。楽しみです。

年度初めから大勝負が続く山崎八段
年度初めから大勝負が続く山崎八段