緊急事態宣言が再び解除され、テレワークからオフィス勤務に変わった企業も多い中、密を避けられる自転車通勤が増えつつある。
中でも、30〜40kmの長距離を軽々走れる「e-BIKE」が注目されている。ちなみに、e-BIKEとはスポーツサイクルに電動アシストユニットを搭載した電動自転車のこと。
最新のe-BIKEを知るために、先日、サスティナブルな「e-BIKE」として恵比寿にオープンしたデンマーク発祥の「MATE.BIKE」の日本での代表を務める福井雄大さんにお話をお聞きした。
4時間充電すると最長80kmは走行できる
白を基調とした外壁に、エントランスから見えるシックな内装のコントラストが目をひく世界初の直営店。内装には、リサイクル素材や植物性の塗料を使い、店全体もサスティナブルな作りになっている。
店舗の前には、今日取材する、ブラックカラーのe-BIKE「MATE X」(33万円)が置かれていた。全長1m80cm、バッテリーを含む重量が28.5kgあり、スクーター並みの大きさだ。思った以上に存在感がある。
それもそのはず。「長持ちできるバッテリーとパワーのある電動モーターが付いていて、『MATE X』の特徴の1つだ」と言う福井さん。
「バッテリーは、4時間充電すれば最長80kmは走れます。例えば、恵比寿から横浜までが25kmほどなので、往復しても充分余裕があります。それにUSBでスマートフォンを充電できるので、ナビに使いながらチャージも可能。震災などで電気が使えない時も便利です」。 バッテリーの充電は、駐輪場にコンセントがあれば、そのまま本体に差し込んで行うこともできるし、バッテリーを抜き出して自宅内でも可能だという。
電動アシスト(モーター)についてはどうだろうか。
「電動アシストモードは4段階になっており、最大時速は24kmなので、徐行なら車の流れに合わせて走ることも可能です」。
本製品には8段変速のギアも付いていて、電動アシストの力を生かして、さらに加速させたり、アシストをオフにしてトレーニングに使ったりしている人もいるようだ。
「それにタイヤも太く安定性があるので、倒れたりして、大事故に巻き込まれる心配もありません」。
これなら遠距離の都心通勤も汗をかかずに、楽々使えそうだ。
アウトドアやオフロードも楽しめる
もう1つの特長が、タイヤの前輪・後輪にサスペンションが装備されており、シティ乗りだけでなく、オフロードにも対応できること。
「折りたたみ式になっているので、車のトランクに積んで持ち運ぶことができます。オフロード仕様のタイヤにも交換できるので、キャンプ先で山道や林道を走ったりして楽しめます。さらにオプションでキャリアを付けられるので、後ろにテントを乗せて、ソロキャンプに行く人も。コンパクトなソーラーパネルを付けて、晴れていたら充電も楽勝です」。
サスペンションはオンオフ調節できるので、街中のような舗装された道路はオフにして、安定性を高めることができそうだ。
想像以上の疾走感と快適性がある
いよいよ車道で試乗体験。当日は、少し肌寒かったが、桜がほぼ満開で、試乗するには最高のシチュエーション。
女性スタッフにレクチャーしてもらった操作方法はいたって簡単。スイッチを入れ、目の前についているディスプレイに大きく、電動アシストモードが数字で表示されるので、漕ぎながら横にある「+」と「—」で段階を調節するだけ。
あと、右ハンドルのギアチェンジで、漕ぎながら調整できるとのこと。
その中で、1つ気になったのが「M」の文字。長押しすると横断歩道などで人が歩いているスピード(時速6km)になるなど、ユニークな機能も付いている。
颯爽と飛び出したが、内心は初めての体験で、恐る恐るスイッチを入れた。電動アシスト「1」にして漕ぎだしてみると、スッーと走り出した。このあたりは、子どもの保育園の送り迎えにいつも乗っている電動付き自転車と同じ感覚。
徐々にアシストとギアを上げていくと、漕いでいるのも忘れるくらい、ずんずん加速していく。さらにアシストとギアをトップに入れると、ひと漕ぎで、これまでの2倍はあろうかという体感スピードに。気持ちい~い。
流れている車とほぼ同じスピードで走ることもできるので、車に追い抜かれるなどの怖さや心配もない。実際試乗体験中、ほぼ同じスピードで、楽々漕いでいる私の姿を見て、タクシーの運転手さんが非常に驚いていたのが印象的だった。
また、信号待ちの際には、スタッフさんに教えてもらったMの長押しも試してみた。本当に歩行者とほぼ同じスピードで走り出し、歩行者の邪魔にならず、ペダルによる速度の微調整が必要ないのも嬉しい。それにタイヤが太いので、段差の多い街中でも転倒する心配もなく、使いやすそう。
パンクなどの修理は近くの自転車ショップで可能
乗り心地や快適性は申し分ないが、タイヤのパンク、チェーンの故障の修理はどこでやってもらえるのだろうか。
「よく聞かれる質問ですが、基本的には電気系統の故障以外は通常の自転車と同じなので、自宅近くの自転車店で対応してもらえます。なお電気系統の故障に関しても、2年間の保証があるので、その間は何度でも無料で修理を行ってもらえます」と、先程の女性スタッフが分かりやすく説明してくれた。
これだけ太いタイヤだと簡単にはパンクしないだろうから、維持費もさほどかからないだろう。
キャリアの他にライトと泥よけが標準装備され、カラーはSubdued Black、Dusty Army、Jet Grey、Ice White、Desert Storm、Sterling Moss、と2021年限定色のInterstelle、Caribbean Coral、Copper Cobberの全9色が用意されている。
通勤による普段使いから、オフロードとしてプライベートまで楽しめるこのe-BIKEなら、そう高くない買い物ではないだろうか。