平均寿命が伸び、いまや「人生100年」といわれる時代。老後資金として必要な金額は2,000万円とされたり、「老後破産」などのやや不穏な言葉を耳にする機会も多いかもしれない。特に昨今は折りからのコロナ禍もあって、今後の収入や雇用の確保に不安を覚える人もいることだろう。
そんな中、注目されているのが2018年1月に開始された「つみたてNISA」。少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、先行するNISAでは毎年120万円の非課税投資枠が設定されているのと比べ、「つみたてNISA」では毎年40万円を上限として、投資で得た利益が非課税となる。
今回はそんな「つみたてNISA」にスポットを当て、マイナビニュース男女会員801人を対象にアンケート調査を行った。さっそく結果を見てみよう。
Q.あなたは「つみたてNISA」をやっていますか?
「はい」(36.5%)
「いいえ」(63.5%)
Q.あなたが選んだつみたてNISAの商品の運用会社はどこですか?
1位「SBI」(23.3%)
2位「三菱UFJ国際投信(eMAXIS Slimなど)」(13.4%)
3位「楽天投信投資顧問」(12.7%)
4位「野村アセットマネジメント」(4.8%)
5位「auアセットマネジメント(auスマート・ベーシック)」(4.5%)
6位「三井住友DSアセットマネジメント(三井住友・DC)」(3.8%)
6位「りそなアセットマネジメント(Smart-iなど)」(3.8%)
8位「レオス・キャピタルワークス(ひふみ)」(3.4%)
9位「JP投信」(2.7%)
9位「ニッセイアセットマネジメント」(2.7%)
9位「三井住友トラスト・アセットマネジメント(i-SMT、SMTなど)」(2.7%)
9位「セゾン投信」(2.7%)
13位「SOMPOアセットマネジメント」(2.4%)
Q.なぜその商品を選びましたか?(自由回答)
■「SBI」
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:リターンとリスクのバランスが、最も自分に合っていると思ったから」(30歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:長期での資産形成に、最も適していると判断したから」(40歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/販売・サービス関連)
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:世界のほうがバランスが取れて、リスクが少ないと思ったので」(44歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:全世界に投資することで、リターンが期待できると思ったから。一国集中よりはリスクが低いかな、と」(32歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:低成長でもかまわないから、持続性のある商品で確実に利益を得たかった」(49歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「SBI・先進国株式インデックス・ファンド:先進国の景気がこれから少しずつ良くなってくると考え、インデックスでリスク分散しつつ選んだ」(49歳男性/流通・チェーンストア/IT関連技術職)
・「SBI・先進国株式インデックス・ファンド:比較的低リスクで資産運用を期待できそうだったから」(46歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「SBI・先進国株式インデックス・ファンド:ネットの評判を見て、一番堅実で安定感があり、リターンも期待できるインデックスの世界ファンドにしました」(35歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド:歴史的に観ると、10年単位で観ればSP500は常に上昇していくから」(42歳男性/不動産/事務・企画・経営関連)
■「三菱UFJ国際投信(eMAXIS Slimなど)」
・「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):日本を含む全世界に、低い信託報酬で投資をしたかったから。運用会社である三菱UFJ国際投信も信頼でき、運用上での問題も生じにくそうと感じた。このオールカントリーのファンドのために、指数として、わざわざMSCI Japanのマザーファンドを新たに設定し、一から育てることを決意してきたことも評価が高い理由。これをTOPIXで代用しなかったところに、運用会社の真剣度がうかがえる」(34歳男性/教育/専門サービス関連)
・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):長期的に見て、安全に資産運用ができると感じたため」(39歳男性/放送・新聞/営業関連)
・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):運用コストが安く長期保有に向いている。また先進国と悩んだが、米国に集中投資でも問題ないと考え選択した」(46歳男性/精密機器/その他技術職)
・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):アメリカは今後も人口増加が見込まれ成長を続けていけそうで、5%は見込めそうだから」(49歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/販売・サービス関連)
・「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):世界のマーケットは結局、アメリカの株式市場に集約されるから」(47歳男性/その他/メカトロ関連技術職)
・「つみたて8資産均等バランス:種別も分散投資をしたいという発想から、これが最もあてはまった気がするためです」(41歳男性/通信関連/営業関連)
・「つみたて日本株式(TOPIX):勧めてくれた銀行の窓口担当の商品説明を聞いて、リスクが少なそうな商品を選びました、あまり詳しくはないのですが、海外株は抵抗感があります」(48歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「つみたて日本株式(日経平均):知人に勧められて試した結果、自分にぴったり合っていた」(37歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
■「楽天投信投資顧問」
・「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型): 比較的安い株価の時だった時に商品を見つけたから」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「楽天・全世界株式インデックス・ファンド: 知人に勧められて、自分で精査した結果、実績が良かったから」(46歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「楽天・全世界株式インデックス・ファンド: ハイリスク・ハイリターンの要素がやや出るものの中で、あまり損しなそうなものを選んだ」(33歳女性/金融総合グループ/事務・企画・経営関連)
・「楽天・全米株式インデックス・ファンド: 積み立てNISAの中では比較的リスクがあり、その分上昇する期待も持てる」(48歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「楽天・全米株式インデックス・ファンド: 信託報酬が安かったのと、アメリカ市場の成長力を信頼して選択しました」(49歳男性/官公庁/公共サービス関連)
■「野村アセットマネジメント」
・「野村インデックスファンド・海外5資産バランス:友人が利用していて、安心感がありそうだと思った」(34歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「野村インデックスファンド・日経225:自分なりに調べて、リスクとリターンのバランスが一番よさそうに感じたから」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「野村つみたて外国株投信:リスクが大きいことはわかっていたが、利益を上げたかった」(44歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「野村資産設計ファンド(DC・つみたてNISA)2040:リスクを低く、ほぼ積み立ての目的。老後資金にするために」(46歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
■「auアセットマネジメント(auスマート・ベーシック)」
・「auスマート・ベーシック(安定):携帯会社が同じだから」(45歳男性/サービス/専門サービス関連)
・「auスマート・ベーシック(安定):最初なので、安定しているものが良いと思って」(36歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「スマホで気軽さあり。興味深いので始めてみました」(48歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「auスマート・ベーシック(安定成長):リターンとリスクのバランスが、最も自分に合っていると思ったから」(30歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)
■「三井住友DSアセットマネジメント(三井住友・DC)」
・「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド:口コミサイトでの評価などが高く、良い意見をたくさん聞いたので」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「三井住友・DC年金バランス70(株式重点型):知り合いに勧められたから」(43歳男性/専門商社/営業関連)
・「大和住銀DC国内株式ファンド:父親に勧められたから」(46歳男性/物流・倉庫/販売・サービス関連)
■「りそなアセットマネジメント(Smart-iなど)」
・「Smart-i 8資産バランス 安定型:リスクを少なくしたかった。できる限り損をしたくない」(48歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「Smart-i 8資産バランス 安定成長型:りそなと取引があるから」(36歳女性/不動産/事務・企画・経営関連)
・「つみたてバランスファンド:いちばん易しそうだなと思った」(25歳男性/コンビニエンスストア/販売・サービス関連)
Q.あなたはその商品を選んで良かったと思いますか?
「はい」(93.8%)
「いいえ」(6.2%)
Q.その理由を教えてください(自由回答)
■「選んで良かった」
・「SBI・全世界株式インデックス・ファンド:利益が出たから。でも、いつ損失に変わるか怖いので、今のところは結果オーライ」(43歳男性/教育/専門サービス関連)
・「SBI・先進国株式インデックス・ファンド:利益が上がっているかは放置しているので知らないが、悪くない選択だったと思う」(33歳女性/精密機器/その他・専業主婦等)
・「SBI・先進国株式インデックス・ファンド:現段階の世界的な株高もあり、予想よりも大きなリターンがあった。これから下がってくる期間があると思うが、十年以上先を見据えて気の長い投資をしていきたい」(35歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「三菱UFJ国際投信(eMAXIS Slimなど) - つみたて日本株式(日経平均):利益率もさることながら、知識の浅い自分でもお手頃に始められたところ」(37歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型):コロナバブルで、思わぬ値上がりに乗れた」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「野村つみたて外国株投信:損失が出た等、何か問題が起こった時にはすぐ連絡をもらうことになっているが、まだ連絡がないので」(43歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「auスマート・ベーシック(安定成長):ゲーム感覚で、楽しみながら運用できるからです」(48歳男性/総合商社/事務・企画・経営関連)
・「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド:たくさんとまでは利益は出ていないが、不安なく安心して利用できている」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「りそなアセットマネジメント(Smart-iなど) - Smart-i 8資産バランス 安定型:多少得。税金控除されれば良い」(48歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「レオス・キャピタルワークス(ひふみ) - ひふみプラス:パフォーマンスが好調だから」(45歳男性/証券・投資銀行/事務・企画・経営関連)
・「JP投信:若干ではありますが利益は出ているので。自分でもきちんと勉強して、もう少し利益を出したいです」(45歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「DCニッセイワールドセレクトファンド(安定型):損してないから」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「三井住友トラスト・アセットマネジメント(i-SMT、SMTなど) - i-SMT 日経225インデックス(ノーロード):少しの金額ですが、楽しめたので」(46歳男性/教育/公共サービス関連)
・「セゾン資産形成の達人ファンド:利益を出せたし、損はしていないので」(28歳女性/インターネット関連/IT関連技術職)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員の中で「つみたてNISA」をやっている人は全体の3分の1以上の、36.5%となった。
選んだ「つみたてNISA」商品の運用会社を聞いたところ、1位「SBI」(23.3%)、2位「三菱UFJ国際投信(eMAXIS Slimなど)」(13.4%)、3位「楽天投信投資顧問」(12.7%)、4位「野村アセットマネジメント」(4.8%)、5位「auアセットマネジメント(auスマート・ベーシック)」(4.5%)がトップ5となった。
次に、なぜその運用会社・商品を選んだのか、理由を訊ねた。全体を通して多かったのが、「安全性・安定感」「リスクとリターンのバランス」「長期の運用」「実績」などのワード。やはり商品の選択に際しては、少しでもリスクを抑えて高いリターンが欲しい、あるいは長期的に安定して運用していきたい、というのが大きなポイントとなっている。
商品のタイプとしては、先進国を中心とした各国、特にアメリカ株のインデックスを基本としたものの人気が高い。運用会社として一番人気の「SBI」をはじめとする上位の各社とも、この種の商品を支持する声が多かった。
また大きなリターンを狙わず、あくまでも安定的に資産を運用したいという人は、日経平均やTOPIXなど日本株を中心とした商品を選ぶ傾向も見られる。自分がよく知らない海外株よりも自国のマーケットの方が信頼でき、先々の予測を立てやすい、という心理の反映かもしれない。
また、友人や運用会社の担当者から勧められた、あるいはスマートフォンで気軽に始められることなどを動機としている人も見られた。
現在運用している、その商品を選んで良かったと思うかを聞いたところ、「はい」との回答が93.8%に達し、大多数の人が商品に満足していることがわかった。
その商品を選んで良かった理由としては、何と言っても「利益が出た」という回答が圧倒的だ。特に現時点ではコロナバブルで世界的に株高になっており、その恩恵で大多数の商品の損益がプラスになっていると思われることから、この結果は当然かもしれない。ただ、一部のコメントでは、この状況がいつまでも続くとは限らないなど、冷静な判断をしている人も見受けられる。
以上のように、「つみたてNISA」の利用者は現在のところ、大多数がその選択に満足しているという結果となった。冒頭にも触れたとおり、「つみたてNISA」は毎年40万円を上限として、投資で得た利益が非課税となる。それに加え、現状では株価も上昇しており、リターンも期待通りになっているということだろう。
ただ、「つみたてNISA」の利益は、各年に購入した投資信託を保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)から成り立っているため、投資信託の売却時に購入価格を下回るというリスクも伴う。購入に際しては、それらのリスクも十分検討した上で慎重に判断することが必要となるだろう。今回のアンケートに興味を持った方は、一度じっくり研究してみてはいかがだろうか。
※「つみたてNISA」の説明に関しては、金融庁のサイトを参考にしています
調査時期: 2021年3月15日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 801人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません