ビジネスシーンやビジネス書の中で、「臨機応変」という言葉を見聞きしても、詳しい意味までわからないという方も多いのではないでしょうか。また、上司や取引先の方から「臨機応変にお願いします」などとリクエストされて、どうしたらいいか迷うこともあります。

臨機応変という言葉は、さまざまな意味合いが込められている言葉です。意味や使い方をマスターし、ビジネスシーンで活用していきましょう。

  • パソコンをみながら会話をしている人たち

    「臨機応変」の使い方を学びましょう

臨機応変の意味

臨機応変とは、その場の状況や出来事の変化に対応して適切な手段や方法を取ることです。また、読み方は「リンキオウヘン」と読みます。

臨機応変は、「臨機」と「応変」の2つの言葉に分けて考えることができます。

臨機の意味

「臨機」には、「そのときその場に応じて」という意味があります。

応変の意味

「応変」は、文字通り「変化に応じる」ことです。

この2つの組み合わせということで、予期せぬ状況や出来事が起こった場合に「適切な手段を取り対応する」という意味合いがあります。ビジネスシーンでは、すべてが計画通りには進まないことも多いため、臨機応変に対応するスキルがとても大切にされています。

臨機応変の由来

臨機応変の由来は、中国の歴史書である「南史」に登場する、梁の総司令官である蕭明の言葉です。

梁の王家の一員であった蕭明は、「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」と将軍たちに言ったとされており、その言葉が臨機応変の由来になっています。

「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ」とは、「私は状況に応じて自分自身でうまくおさえられるのだから、余計なことは言わないでくれ」という意味です。このことから臨機応変という四字熟語が派生しました。

ビジネスシーンにおける臨機応変の例文

臨機応変という言葉は「相手の対応を褒める」「自身の長所をアピールする」「相手に対応スキルを求める」といったケースなどによく用いられます。また、さまざまなビジネスシーンでも使われています。ビジネスパーソンとして、正しい使い方を心がけましょう。

ここからは、ビジネスシーンで使われる臨機応変の例文を紹介していきます。例文を参考に臨機応変が使われる場面を把握し、シーンに合わせて正しく使いましょう。

臨機応変に

「臨機応変に」の後には、動詞が続きます。特に相手を褒めるときや要求するときに使用されることの多い表現で、「臨機応変に動ける」や「臨機応変に対応する」などと使うことが多いです。

<使用例>

  • いつも臨機応変に動けてすごいよね
  • この仕事は君に任せるから臨機応変に対応してくれ

臨機応変な

「臨機応変な」は、後に名詞が続きます。例えば「臨機応変な処置」や「臨機応変な対応力」といった使い方が挙げられます。これらも使用頻度が多い表現なので、間違った使い方をしないように注意しましょう。

<使用例>

  • あの人はいつも臨機応変な行動ができるよね
  • このポジションは臨機応変な判断が求められる
  • 資料とパソコンを使って話し合いをしている様子

    シーンに合わせて正しく臨機応変を使おう

臨機応変の類語・言い換え表現

臨機応変の類語や言い換え表現の正しい使い方を知り、ビジネスシーンでの会話や言葉に深みを出しましょう。

なお、類語や言い換え表現の場合、似ている意味合いを持っていても同じ使い方ではないため、注意が必要です。

■柔軟

「柔軟」とは、その場や状況に合わせてうまく順応することです。「変化に対応できる」という臨機応変に対し、「どんな場や環境にも順応できる」という意味を持つのが「柔軟」です。

臨機応変と柔軟を文章の中で入れ替えても大きく意味が変わることはありませんが、わずかなニュアンスの違いがあることを把握しておきましょう。

■即応

「即応」とはその場や状況に対して迅速に対応するという意味です。ビジネスシーンでは、何か不具合や問題などが起きたときに直ちに対応するというニュアンスで使われます。

臨機応変よりも、スピード重視で素早く対応するイメージが強いのが即応という言葉です。

■時と場合に応じて

「時と場合に応じて」とは臨機応変を噛み砕いた表現で、その時々とその場の状況に合わせて対応するという意味です。そのため、この2つの言葉を置き換えても、問題なく使用できます。

ビジネスの場面で耳にすることの多い「ケースバイケース」と同等の意味合いを持っています。

  • 机の上にパソコンと手帳

    臨機応変の類語や言い換え表現を知りボキャブラリーの幅を広げよう

臨機応変の類語・言い換え表現となる四字熟語

臨機応変の類語や言い換え表現となる四字熟語の意味とニュアンスを知り、正しく使えるようにしましょう。

ビジネスシーンでは、自分が発する言葉によって相手に与える印象も大きく変わるため、言葉の選び方や使い方がとても重要になります。

言葉の正しい使い方や意味のニュアンスを知り、正しく活用していきましょう。

当意即妙

「当意即妙」には「すばやく機転をきかせること」「気をきかせること」という意味があります。

臨機応変との違いは、「すばやさ」という時間の感覚と「気をきかせる」という心情があるという点です。

<使用例>

  • とても当意即妙な返答ができる方だ

変幻自在

「変幻自在」とは、思いのままに変化し、現れたり消えたりすることです。

<使用例>

  • あの営業担当の方は変幻自在に手を打ってくる

良い意味でも悪い意味でも捉えられる言葉ですので、使用する際は注意しましょう。

融通無碍

「融通無碍」とは、考え方や行動が何ものにもとらわれることなく、自由に対応できることを意味します。

<使用例>

  • あの人は、どんなトラブルにも融通無碍に対処する
  • 紙に何かを書いている様子

    臨機応変の類語や言い換え表現となる四字熟語をマスターしよう

臨機応変の対義語となる四字熟語

臨機応変の対義語となる四字熟語のニュアンスや正しい使い方の知識をつけ、ビジネスシーンで活用しましょう。対義語を知ることで、より言葉を応用して使いこなせるようになります。

杓子定規

「杓子定規」とは、すべての物事に対して一つの基準だけを当てはめて対応したり処理したりすることです。融通や応用が利かず、頭の固い考え方や方法のことを意味します。

「杓子」とは、昔のおたまのようなご飯をよそう道具のことで、定規は直線を引いたり測ったりする道具です。その杓子を定規の代わりに使用するという例えからこの四字熟語が生まれました。

<使用例>

  • 彼はいつも杓子定規な考え方だ

四角四面

「四角四面」とは、考え方や態度のすべてが堅苦しく至極真面目なことです。四角四面はネガティブな文章にもポジティブな文章にもどちらにも使用可能ですので、ニュアンスが相手に伝わるように使いましょう。

<使用例>

  • 四角四面な性格は、この仕事をする際にはとても役立つ

用意周到

「用意周到」は「ヨウイシュウトウ」と読み、抜かりなく準備が行き届いていることを言います。周到の「到」を「倒」と書き間違えないように注意しましょう。

<使用例>

  • このプロジェクトを用意周到に進めて成果を上げよう

臨機応変の英語表現

近年のビジネスシーンでは、英語を活用する機会も増えてきています。ビジネスパーソンとして伝えたいことを、しっかり英語でも伝えられるように勉強しておくことが大切です。

臨機応変の英語表現についても、ニュアンスまでしっかり理解してビジネスシーンで活用しましょう。

flexible

「flexible」には、「状況に対して簡単に変更できる」という意味があります。そのため、臨機応変と同じような意味で使用可能です。

日本でよく使われている「フレックスタイム制」も、このflexibleが由来の言葉になっています。

<使用例>

  • My schedule is flexible.(私のスケジュールは臨機応変に対応できます)
  • They need to be flexible for this job.(この仕事には臨機応変さが必要だ)

Play it by ear

「play it by ear」を日本語でそのまま訳すと「耳で聴いて演奏する」という意味になります。これは本来、「楽譜を見ないで即興で演奏する(その場で耳で聴いて演奏する)」という意味を持っていたそうで、転じて臨機応変と同様にその場その場で対応する、という意味を持ったとされています。

<使用例>

  • Let’s just play it by ear.(臨機応変にやっていこう)

臨機応変の意味やビジネスシーンにおける使い方を理解しよう

本記事では、臨機応変という言葉をさまざまな角度から紹介してきました。臨機応変とは、柔軟性がありその場の状況や変化に対応できることを表す言葉です。臨機応変という言葉の意味やニュアンスを熟知し、正しい使い方でビジネスに活用しましょう。