舞台『モダンボーイズ』の公開ゲネプロが3日に東京・新国立劇場 中劇場で行われ、加藤シゲアキ、山崎樹範、武田玲奈、横内謙介(作)、一色隆司(演出)が登場した。
同作は1994年に木村拓哉主演で都政施行50周年記念公演として上演された、幻の名作ともいわれる青春群像劇。日中戦争直前、浅草のレビュー小屋を舞台に、プロレタリア革命を志す学生でひょんなことから浅草エフリィという芸名でレビューの人気者となった矢萩奏(加藤)が、小屋の座付き作家であった菊谷栄(山崎)と出会ったことにより、生きる居場所を見つけ、自分にしかできない革命を見出していく。
最初の挨拶では、山崎が「菊谷栄役の山崎樹範です。まずは個人的なことですが、吉川英治文学賞受賞、ありがとうございます」と、著書『オルタネート』(新潮社)で「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞した加藤の功績を自分のことのように紹介。「そこには産みの苦しみが……」とスピーチを始める山崎に、加藤は「産みの苦しみじゃない! あなた稽古場でふざけてるだけだから」とつっこみ、山崎が「私、カタカナでシゲノリじゃない?」と尋ねると、加藤は「シゲ違いです」と切り返した。
そんなやりとりができるくらいの仲の良さを見せるキャスト陣だが、加藤は「距離を取らないといけなくて、飲みに行ったりもできないので、山崎さんも最初の頃は人見知りで、皆全然仲良くならなくて」と苦笑する。「僕のせいもあると思うんですけど、僕も武田さんも人見知りだから、皆人見知りで大丈夫かなと思って」と苦労を振り返ると、山崎は「それは俺も思ってました」と同意する。
山崎が率先してムードメーカーになっていたというが、演出の一色は「みんなでもじもじしてました。山崎さんから『どうしよう』と相談が来ました」と暴露。しかし、稽古中である3月2日に加藤が吉川英治文学新人賞を受賞したことから、空気が変わったという。加藤は「翌日に少し遅れて入った時に、一色さんがよそよそしく『今日はひな祭りだね』とか言い出して。そしたら音楽の方もピアノで弾いてくださって、『おめでとうございます』というかけ声のもと、クラッカーと、武田さんがちっちゃいくす玉を。全然割れないくす玉をいただきました。これでちょっとほどけたりも」と、一体感が増した様子だった。
武田は「私も人見知りで、本当に最初の頃はどうしようかなと思ってたんですけど、じょじょにお話もさせていただけるようになって、今はとても心地いいです」と稽古場の空気を表す。また、本番中の4月14日には本屋大賞が発表されるが、こちらについては加藤が「結果を待つのみですから、もう粛々と。舞台期間中は舞台のことだけに集中したい」と語った。
フォトセッションでは、「何かポーズを」というリクエストに、加藤が率先して手を広げるポーズで対応。登壇者陣がそろえると好評で、手が疲れてもポーズを取り続けていた。東京公演は4月3日~16日に新国立劇場 中劇場、大阪公演は4月28日~30日にCOOL JAPAN OSAKA WWホール。