ホテルやレストランで人気のビュッフェとバイキングですが、両者には明確な違いがあることをご存じでしょうか。ビュッフェもバイキングも海外から取り入れられ、日本で定着した食事スタイルですが、ルーツをたどるとその違いがよくわかります。
両者のルーツや違いを理解しマナーを身につけ、スマートな食事ができるようになりましょう。
ビュッフェとバイキングの違い
まずはビュッフェとバイキングの言葉の意味をきちんと理解しておきましょう。
【バイキング】
バイキングは一定の料金で食べ放題になる食事形式を指します。定額を払ったうえでの「焼き肉食べ放題」や「ケーキ食べ放題」はバイキングに該当します。
【ビュッフェ】
ビュッフェは基本的には「立食スタイル」「セルフ形式」の食事を意味します。好きなものを取り、取った分だけの支払いをする仕組みであり、必ずしも食べ放題ではありません。
発祥地による違い
ビュッフェはフランス語で「飾り棚」という意味を持ちます。フランスの簡易食堂などで、横長の飾り棚に並んだ料理から好きなものを自由に選ぶ食事スタイルがあったことから名づけられたとされています。
一方のバイキングは、デンマークの食事形式にヒントを得た、日本発祥の言葉です。帝国ホテル社長(当時)の犬丸徹三氏がデンマークで「スモーガスボード」という食べ放題の食事スタイルを見て、日本に持ち込んだとされています。 当時の北欧に対するイメージなどから「インペリアルバイキング」というサービス名がつけられ、「日本では食べ放題=バイキング」という呼び名が一般的に使われるようになりました。
形式による違い
ビュッフェは、セルフサービス形式の食事スタイルですので、学食・社食・駅などの立ち食いそば店など、小鉢や一品料理などを自分で選んでトレーに載せ、レジでまとめて会計するものもビュッフェに含まれます。一般的には、料理の載っているビュッフェテーブに前菜やスープ、メイン、デザートが個別に並べられており、ビュッフェ利用者が食べたいものを取っていくスタイルとなります。
一方、食べ放題サービスのバイキングは料理の提供形式が定められていません。テーブルの上にある料理やお皿が空になったら、追加料理やメニューを店員さんにオーダーして配膳してもらうパターンもありますし、セルフサービス形式になっていて自分で好きなだけ食事を選んで食べられる場合もあります。そのため、食べ放題サービスであってもビュッフェというサービス名で提供されているものもあります。
ビュッフェとバイキングの語源
ビュッフェの語源はフランス語の「buffet」です。「buffet」は、もともとフランス語で戸棚・キャビネット・クローゼットなどの意味で使われていましたが、現在では英語で「buffet」といっても、ビュッフェの意味で使われています。
一方で、食べ放題を意味するバイキングは、和製英語と言ってよいでしょう。このバイキングサービスはデンマークの「スモーガスボード」に着想を得ていることから、北欧のイメージである「Viking」という言葉を採用した経緯があります。そのため、海外で食べ放題のサービスを「バイキング」を表現しても「?」という顔をされてしまうため注意しましょう。
ビュッフェとバイキングにおけるマナー
ビュッフェやバイキングは自由に気軽に食事を楽しめますが、この食事形式にはマナーもあります。同僚・友人・家族などと一緒に食事を楽しむときには、最低限のマナーは押さえておき、恥をかかないようにしましょう。
盛り付けはきれいにする
食べ放題のバイキング形式のお店では、前菜・メイン・デザートをお皿いっぱいに盛り付けている方を見かけます。お皿に盛り付ける際は料理が混ざらないようにお皿を分けるなどし、それぞれの料理が味わえるように取り分けましょう。
また、おかわりをする場合は、使用済みのお皿はテーブルの端に寄せて置き、新しいお皿を使うのがマナーです。
残さない
食べ放題のバイキングでは、支払った分のお金以上に食べようとたくさんの料理を取ってしまい、食べきれずに残してしまう方も少なくありません。
料理を残すことはもったいないのはもちろん、料理を作ってくれた方やスタッフの方に対しても失礼です。食べきれる量だけをお皿に盛るようにしましょう。
料理をとるときは時計回りに取る
ビュッフェやバイキングでは、左から順番にサラダ・前菜・メイン・ごはん・スープ・デザート・ドリンクと並んでいるケースが多いです。これはフルコースの料理が出される順番を再現していますので、料理をとるときも左から時計回りで回っていくのがマナーとなります。
特に列ができているときに、自分が食べたい料理をとるために割り込むのはマナー違反ですので、順番を守るようにしましょう。
コース料理に沿った食べ方を心がける
ビュッフェやバイキングは、自分が食べたいものを選べるため、「好きなものだけを食べたい」という気持ちになる方が多いですが、サラダや前菜から手を付けるなど、コース料理に沿った食べ方をするのがマナーです。
コース料理の順番は健康面も配慮したものとなっていますので、できればコース料理の順番で料理を楽しむことをおすすめします。
ビュッフェやバイキングの英語表現
ビュッフェやバイキングを英語で表現する場合、セルフ方式の食事のことは英語でも「Buffet」といい、食べ放題のことは「All-you-can-eat」といいます。
また、料理がテーブルに並べられていて、自分で取りに行くスタイルであれば「Buffet」、料理を店員に注文して持ってきてもらうスタイルであれば「All-you-can-eat」を使います。
ビュッフェとバイキングの違いを理解しよう
ビュッフェとバイキングは同じような使われ方をすることが多いですが、ビュッフェはセルフ形式の食事スタイルのことで、バイキングは食べ放題のことだとわかりました。
ビュッフェというと食べ放題をイメージされる方も多いですが、必ずしも食べ放題とは限りません。また、食べ放題のことをバイキングというのは日本だけですので、海外では通用しないことにも注意が必要です。
ビュッフェとバイキングの言葉のルーツと意味を理解して、スタイルに応じたマナーを守り、食事を楽しんでください。