日本酒の「七賢」で知られる山梨銘醸はこのほど、世界的なフレンチの巨匠 アラン・デュカス氏とスパークリング日本酒「Alain Ducasse Sparkling Sake」(アラン・デュカス スパークリング サケ)を共同開発した。

  • 日本酒の「七賢」とアラン・デュカス氏が共同開発した「Alain Ducasse Sparkling Sake」(アラン・デュカス スパークリング サケ)

「スパークリング日本酒」で世界へ

山梨県北杜市に蔵を構える、1750年創業の山梨銘醸。国内はもちろん、海外でも9の国と地域で七賢ブランドを展開している。

  • 「七賢」ブランドを展開する山梨銘醸

北原対馬代表取締役によると、日本酒の消費は1973年を境に減少傾向。アルコール飲料の日本市場を分析したところ、日本酒の消費割合は5%、95%は他のものだったという。また、アルコール飲料消費全体の60%以上は炭酸ガスを含むもの。そこで2014年に行き着いたのが、シャンパンを代表する「瓶内二次発酵」によるスパークリング日本酒だった。

「そのタイミングでは同業他社の参入はほとんどなかったので、今思えば先行性があった」と北原代表取締役。これまで定番商品4種とスポット・季節商品4種の合計8種のスパークリング日本酒を開発してきた。

北原代表取締役は、「当社には瓶内2次発酵という製法の強みがある。既存の日本酒ユーザー以外95%へのアプローチ、日本食以外の食事にも合う日本酒として海外の市場に目を向けることが生き残る道」と期待を寄せ、「私たちがやっていかなければならないのは、高付加価値・ブランド化と国際的な飲料になること」と語った。

日本の優雅さとフランスの生活芸術の出会い

今回共同開発を行ったアラン・デュカス氏は、本格的なビストロから3ツ星レストランまで、世界11カ国で約30のレストランを統括するフレンチの著名シェフ。

  • フレンチの巨匠 アラン・デュカス氏

Alain Ducasse Sparkling Sakeの開発は、およそ4年前から開始された。日本一おいしい市販酒を決める品評会「SAKE COMPETITION2017」で山梨銘醸がダイナーズクラブ若手奨励賞を受賞した際、主催者の三井住友トラストクラブからデュカス氏の紹介を受けたことがきっかけだった。

「ただコラボ商品を開発したというだけでなく、日仏の文化交流に値するものだと考えている」と北原代表取締役。さまざまな意見交換を重ね、瓶内二次発酵でかつ水の代わりに日本酒を使って贅沢に醸す「貴醸酒(きじょうしゅ)」の製法を採用し、「桜樽」で熟成させた。フレンチにも合うような味わいに独自に仕上げた。

専務取締役 兼 醸造責任者の北原亮庫氏は、「我々は国内で最もバリエーション豊かに瓶内二次発酵スパークリング日本酒をそろえる酒蔵であり、その醸造責任者として今回の商品は今までの集大成となった。"日本らしく、世界の美食家が納得するもの、新しい日本酒の世界観"というデュカス氏側からのリクエストに応えた」と話す。

デュカス氏も、「このスパークリング日本酒は、人と自然そして繊細なデザインとグラフィックが織りなす結晶。おいしさの前に見た目の美しさをも楽しめます。水質の良さとテロワールの風味が融合し、特別な味の発見を約束します。日本の優雅さとフランスの生活芸術の出会いなのです」という出来栄えに。

3月21日に北杜市で行われたメディア発表会で試飲したソムリエの田崎真也氏は、「キンモクセイやキンカンのような香り、そしてわずかに桜樽から来ていると思われる白ゴマのような香りもある。味わいは果実の印象でまろやか、酸味により甘味が上品になる。後味の余韻が長く続くので、もう一杯飲みたいという印象にかられる。従来のスパークリング日本酒に一石を投じるポジションのお酒」と評価した。

「ベージュ アラン・デュカス 東京」(銀座)で4月下旬から提供されるのを皮切りに、世界中のデュカス・パリのレストランで"乾杯酒"として提供される。国内では、「ベージュ アラン・デュカス 東京」(銀座)、「ブノワ」(青山)、「パレスホテル東京」内の「エステール」(丸の内)、「ザ・ホテル青龍 京都清水」内の「ブノワ 京都」(京都)、「ホテル MUNI KYOTO」内の「MUNI ALAIN DUCASSE」(京都)で味わうことができる。

一般向けにも4月29日からオンライン通販サイト「七賢 WEB ショップ」ほか伊勢丹新宿店(東京)などで販売される。価格は、720ml 5,500円。