水垢(みずあか)など、水回りの汚れってなかなか落ちにくくて掃除が大変ですよね。お風呂場やトイレ、キッチンなどのしつこい汚れを落とすには、クエン酸がぴったりです。本記事では、クエン酸を掃除で使うときの正しい方法や注意点、また実際にお風呂掃除をしたときの様子などを紹介します。

  • クエン酸を正しく使って水回りをピカピカにしましょう

    クエン酸を正しく使って水回りをピカピカにしましょう

クエン酸とは

クエン酸とは、レモンなどの柑橘類にも含まれている酸味のもととなる成分です。

市販のクエン酸の多くはサツマイモやトウモロコシなどのデンプンを発酵させて作られたもので、弱酸性の性質を持つ粉末タイプのものです。ドラッグストアやスーパーマーケット、100円ショップなどで簡単に入手できます。食品から作られているので、自然由来で安全性が高いと、近年人気のお掃除グッズです。

クエン酸の効果 ~水垢や石鹼カス、尿石汚れに強く、除菌作用も~

前述のように、クエン酸は弱酸性のためアルカリ性の汚れに強く、水垢や石鹸カス、トイレの尿石などの汚れに効果的です。カルシウムを溶かす効果の他、除菌・消臭作用もあるため、掃除だけでなく衛生面が気になるときにも効果的です。

なお水垢とは、水道水に含まれているカルシウムやマグネシウム、ケイ素などのミネラルで構成されています。このミネラルは蒸発しないので、結晶化するとなかなか取れなくなってしまいます。クエン酸はこの水垢汚れに強いため、特に水回りの掃除に重宝します。

重曹との使い分けは?

重曹とクエン酸は成分が異なり、落とせる汚れも違います。クエン酸は酸性でアルカリ性の汚れに強いですが、重曹はアルカリ性で酸性の汚れである油汚れや皮脂汚れに適しています。落としたい汚れの性質によって使い分けましょう。

クエン酸のお掃除での使い方

ここでは、クエン酸を使ってどうやって掃除すればいいのか、基本的なポイントを紹介します。

クエン酸水(クエン酸スプレー)の作り方

クエン酸を使って掃除をするときには、クエン酸の粉末をそのまま振りかけてもいいのですが、水と混ぜて、クエン酸水を作ると使いやすいでしょう。作り方は、クエン酸を小さじ2分の1杯に水100mlを混ぜれば完成です。スプレーボトルに入れると便利ですよ。

注意点は使い切れる量のクエン酸水を作ることです。クエン酸水は劣化していくので、ストックを作るのはおすすめしません。劣化したものを使い続けると逆に菌が繁殖してしまい、掃除の意味がなくなってしまいます。

  • 使用する分だけのクエン酸水を作るようにしましょう

    使用する分だけのクエン酸水を作るようにしましょう

クエン酸を使った基本の掃除方法

クエン酸を掃除に使う際は、基本的には上記のクエン酸水を汚れに吹きかけ、スポンジなどでこすり、水で洗い流す、または水拭きすればOKです。肌が弱い人は、掃除の際にゴム手袋を着用するといいでしょう。

キッチンペーパーやラップと組み合わせてパックすると効果アップ

しかししつこい汚れを落としたいときには、キッチンペーパーやティッシュ、そしてラップをクエン酸水と一緒に使ってパックするのがおすすめです。

やり方は簡単です。浴槽や浴室の床など、汚れが気になるところにクエン酸水を吹きかけたら、クエン酸が蒸発しないように上からラップをします。また蛇口など、クエン酸水を吹きかけてもすぐに垂れてきてしまう箇所を掃除するときは、キッチンペーパーやティッシュを使いましょう。蛇口にキッチンペーパーやティッシュを巻いて、そこにクエン酸水をたっぷり浸し、その上からラップをすればOKです。

2~3時間放置したら、ラップとキッチンペーパーを剝がして、磨きながら洗い流します。汚れがひどい場合は3時間以上放置してみましょう。

  • アルカリ性の水垢と酸性であるクエン酸の相性は抜群です

    アルカリ性の水垢と酸性であるクエン酸の相性は抜群です

家の中でクエン酸を使って掃除できる場所は?

前述のように、クエン酸は水垢や石鹸カス、尿石などの汚れに強く、家の中でもさまざまな場所の掃除に役立ちます。

浴室・洗面台

お風呂では、浴槽や棚、床、鏡、蛇口の他、椅子や洗面器などにも水垢や石鹸カスが付着しています。洗面台のボウルや蛇口も同様です。

これらにはクエン酸水を吹きかけ、スポンジでこすり、水で洗い流しましょう。実際にクエン酸で浴室掃除をした体験レポートも後述しますので、参考にしてみてください。

  • クエン酸を使って家中をきれいにしましょう

    クエン酸を使って家中をきれいにしましょう

キッチン

キッチンのシンクや蛇口の水垢汚れにもクエン酸が役立ちます。その他、まな板や魚焼きグリル、ゴミ箱などについた匂いも、クエン酸で中和することができます。

トイレ

トイレでは便座の裏側や便器の尿石汚れの他、水が流れるタンクの上の水垢もクエン酸を使って落とすことができます。スプレーしてトイレットペーパーでこすった後に、クエン酸が残らないように水洗いもしくは軽く水拭きしましょう。

なお便座や便器にクエン酸パックをするときは、キッチンペーパーやティッシュでなく、トイレットペーパーを使えばそのまま流すことができるので便利です(クエン酸水を多めにスプレーすれば、ラップは省略することができます)。

また前述のように、クエン酸には除菌効果や消臭効果があるので、壁の掃除にも使用できます。ただし壁紙の素材によっては、水拭きができないものや、色落ちなどをしてしまうものもあるので、事前に確認しましょう。

リビング

リビングなどでペットを飼っている場合は、クエン酸をペットトイレの周辺の拭き掃除に使うと、アンモニア臭を中和させることができます。また、カーテンなどに付いた匂いが気になる場合は、クエン酸水をスプレーすると消臭効果が期待できます。

電気ケトルやポット、電子レンジ、加湿器などの家電にも

家電の汚れ落としにもクエン酸が役立ちます。ただしメーカーや製品によって使えないものもあるので、事前に必ず取扱説明書を確認しましょう。

詳しくは下記を参考にしてみてください。

電気ケトルのクエン酸でのお手入れ方法はこちら
ポットのクエン酸でのお手入れ方法はこちら
電子レンジのクエン酸でのお手入れ方法はこちら
加湿器のクエン酸でのお手入れ方法はこちら

クエン酸で掃除するときの注意点

スプレーして放置するだけで驚くほど水垢を落としてくれるクエン酸ですが、どのような汚れにも効果があるわけではなく、相性によっては掃除したい箇所を傷つけてしまったり汚れの原因となってしまったりすることもあります。

また、使い方を間違えると有毒な物質が発生し、健康に被害を及ぼす可能性もあるのです。クエン酸を使用する際の注意点を知っておきましょう。

塩素系漂白剤を混ぜない

クエン酸自体は安全性の高いものですが、「塩素系漂白剤」と混ぜることは避けましょう。これらを混ぜると、人体に有毒な塩素ガスが発生してしまい、目や皮膚、気道を強く刺激します。最悪の場合は肺水腫などを引き起こし中毒症状が現れることもあるので注意が必要です。

また、混ぜたり同時に使用したりしなくても、連続で使用するのも避けてください。配管の中で混ざり、塩素ガスが発生します。浴室の掃除には塩素系の洗剤が使われることが多いので、お風呂の掃除をする際は十分注意しましょう。

使ってはいけない素材もある

クエン酸はお風呂やトイレに使うと簡単に汚れが取れる優れものですが、鉄やアルミ、セメント、大理石への使用は控えましょう。

素材を傷つけてしまったりサビさせたりする可能性が高いです。掃除に取り掛かる前に、使って問題ない素材なのかを確認しておきましょう。

乾燥した冷暗所に保管しないとカビが発生

クエン酸は湿気に弱く、水を含むとカビが発生しやすくなります。そのため、水気のない乾燥した場所に保管し、直射日光の当たらない冷暗所に保管しましょう。

また、クエン酸水を作るときはそのときに必要な分だけ作成し、ストックを作らないようにしてください。カビや菌が発生したクエン酸水で掃除をすることは、汚れの原因にもなり逆効果になります。

目に入らないように注意

クエン酸は食用のものもあるため、口にしても問題はありません。しかし、目に入ると痛みが生じたり炎症を起こしてしまったりするので、目に入らないように気を付けて使いましょう。

スプレーするときや拭き取るときなど、慎重に扱うことが大事です。目に入ってしまったら早急に洗い流してください。症状が治まらないときや、不安な場合は医師の診察を受けましょう。

  • クエン酸は使い方を間違えると有害な物質を発生させてしまうので注意しましょう

    クエン酸は使い方を間違えると有害な物質を発生させてしまうので注意しましょう

【やってみた】クエン酸を使ったお風呂場の水アカ掃除レポート

クエン酸の効果を試すべく、筆者が実際にお風呂場の掃除に使用してみました。普段は浴槽の中くらいしか掃除しないのでかなり汚れていたのですが、こびりついた水垢をクエン酸で落とすことはできるのでしょうか。

洗面台・棚・お風呂の床編

筆者の自宅には、独立洗面台がないためお風呂の中に洗面台があります。

ここでは手を洗ったり歯磨きをしたりしているので、かなり水垢がたまっています。普段はお風呂用の洗剤でたまにこする程度の掃除しかしていないので、全体的に汚れています。

  • 水垢が溜まりやすい洗面所

    水垢が溜まりやすい洗面所(画像クリックで元画像表示)

こちらは、シャンプーなどを置く棚です。水垢が赤くなっていて、見た目も汚いです。洗剤をつけたスポンジでこすってもすぐに汚れてしまうので、いつのまにか放置してしまい、かなり汚れが蓄積されています。

  • 掃除を怠りやすい浴室の棚

    掃除を怠りやすい浴室の棚(画像クリックで元画像表示)

この2カ所を掃除していきますが、汚れは取れるのでしょうか。

はじめに、洗面台と棚にクエン酸水を吹きかけてラップで保護します。クエン酸が蒸発してしまうと効果が得られないので、ラップで保護することを忘れないようにしましょう。今回は3時間放置していきます。

  • 汚れが気になるところにはたっぷり吹きかけラップでしっかり覆いましょう

    汚れが気になるところにはたっぷり吹きかけラップでしっかり覆いましょう

しっかり保護してから3時間後、汚れを落としていきます。スポンジでこすって汚れを流していくのですが、力を入れなくてもするする落ちていきました。

  • クエン酸水を使えば、楽に掃除ができます

    クエン酸水を使えば、楽に掃除ができます

ただ、ラップをきちんとしていた場所は取れやすく、そうでないところは少し汚れの落ちが悪く感じたので、丁寧にラップをかけるのが重要だと感じました。

そしてなんと、洗面台は新品のような清潔感を取り戻しました。排水溝の周りについていた赤い水垢もスッキリ洗い流すことができ、こするときの力も必要ありませんでした。

  • 洗面台の汚れがきれいさっぱりなくなりました

    洗面台の汚れがきれいさっぱりなくなりました

シャンプーなどを置く棚も赤い水垢や汚れがきれいに落ちました。台の裏側にもクエン酸を吹きかけてラップをしたので、全面的に汚れを落とすことに成功です。

  • 棚や床の水垢が落ちてきれいになりました

    棚や床の水垢が落ちてきれいになりました

吹きかけて放置するだけで、ほとんどこすらなくてもいいくらい汚れが浮きました。赤くなった水垢も、クエン酸をかけて3時間程度放置すると汚れが取れるので、手間をかけたくない人にもおすすめの掃除方法です。

蛇口編

次に蛇口を掃除していきましょう。蛇口は水垢がつきやすいのに、こすっただけではとれない厄介な箇所です。今までは水垢は取れないものだと諦めていましたが、クエン酸があれば取れるのか試していきましょう。

掃除をする前は輝きはなく、汚れが目に見えるくらいの汚れ具合です。洗剤をつけてスポンジでこすってみても、汚れは取れず、水垢は解消されません。

  • 汚れやすい蛇口

    汚れやすい蛇口 (画像クリックで元画像表示)

蛇口はクエン酸をかけても垂れてきてしまうので、ティッシュでくるんでから染みこませました。さらにその上からラップでくるみ、クエン酸の蒸発を防ぎます。蛇口の水垢は頑固なので、3時間以上放置していくことにします。

  • 垂れないようにしっかりティッシュでくるんでからラップで保護しましょう

    垂れないようにしっかりティッシュでくるんでからラップで保護しましょう

3時間以上放置して、スポンジでこすってから洗い流したところ、きれいに汚れが取れ、驚くほどピカピカに! 入居したてよりもきれいなのではと感じるほど水垢が取れました。

  • 蛇口の汚れもクエン酸できれいに落ちました

    蛇口の汚れもクエン酸できれいに落ちました

クエン酸は水回りの掃除にぴったりで、安全性の高い酸性洗剤

水垢などのアルカリ性の汚れが気になる場合には、酸性であるクエン酸を使った掃除方法がぴったりです。酸性の洗剤は意外と少ないので、手軽に手に入れられるクエン酸を使って水回りをきれいにしみてはいかがでしょうか。

クエン酸は食品を原料としており、自然由来で環境にも優しい洗剤です。とはいえ使い方によっては人体や素材自体に悪影響を及ぼすこともあります。注意点を守って掃除を行い、しつこい汚れをきれいに落としましょう。