「一期一会」は、比較的知人との会話の中で聞いたり、普段何気なく使ったりすることが多い四字熟語です。しかし、一期一会を使用する場合は、いくつか注意すべき点があります。
本記事では、一期一会の意味や類語、英語表現などを紹介していきます。正しい意味と使い方を理解し、ビジネスシーンや日常生活で活かせるようにしましょう。
「一期一会」の意味とは
一期一会とは、「一生に一度だけの機会」という意味の言葉です。一期は「生まれてから亡くなるまでの間」を意味し、一会は「一度の出会い」を表しています。
そのため、初めて会った人や何度か会っている人に対して、この出会いは一生に一度きりの大切なものという意味で使われます。日常生活や就職活動、ビジネスの現場などでも使用しやすい言葉です。
「一期一会」の読み方
一期一会の読み方は「いちごいちえ」です。期という言葉は普段「き」と読むことの方が多いので、思わず「いっき」と読みたくなりますが、これは誤り。正しくは、いちごいちえなので、間違えないよう覚えておきましょう。
「一期一会」の由来
一期一会は、茶道家である千利休の言葉で、「一期に一度の会と思って亭主を畏敬すべし」と残したと、弟子の山上宗二の著書「山上宗二記」に記されています。
この言葉には、「茶会へ出向く際は一生に一度の出会いだと心得て、客や亭主に真心を尽くしましょう」という意味が込められています。そこから、茶会以外の場所でも「出会いを大切にする」という意味で使われるようになったようです。
「一期一会」の使い方・例文と注意点
一期一会は、親しい友達との会話だけでなく、ビジネスシーンなどかしこまった場面でも使用できます。ここでは、一期一会の使い方を例文とともにいくつか紹介していきます。
座右の銘で用いられる
一期一会は、ポジティブで温かい言葉の印象があるため、よく座右の銘として用いられています。例えば、就職活動中の面接官とのやりとりや顧客との雑談の中で座右の銘を聞かれた際に「一期一会」と回答する人も多いです。
一期一会を座右の銘にしている人は、「様々な人との出会いを大切にする誠実な人」という印象を与えるでしょう。
<例文>
・私の座右の銘は一期一会です。
・どんな人に対しても一期一会という思いで接しています。
相手との出会い以外にも使える
一期一会というと、「人」との出会いをイメージしますが、物や出来事との出会いにも使うことが可能です。
例えば、たまたま入ったリサイクルショップに欲しかった物があった時や、理想にピッタリの物件に出会えた時などにも使えます。また、思いがけず収穫の多かったセミナーや旅行へ行った時にも一期一会を使用できます。
<例文>
・こんな場所で見つけるなんて、まさに一期一会だ
二重表現に気を付ける
貴重な出会いであることを強調する意味で「一期一会の出会い」という言葉を耳にすることがありますが、こちらは誤った表現です。
なぜなら、一期一会自体に「一生で一度の出会い」という意味があるため、「一期一会の出会い」と言ってしまうと、「出会い」が二重表現となってしまうからです。一期一会の本来の意味を理解して、誤った使い方をしないように気をつけましょう。
「一期一会」の類語・言い換え表現
挨拶「やスピーチなどで使われていることも多い一期一会には、類語や言い換え表現がいくつかあります。ここでは、一期一会の類語や言い換え表現を紹介します。言い換え表現とそれぞれのニュアンスや使い方を理解し、シーンに合わせて正しく使用できるようにしましょう。
千載一遇
千載一遇(せんざいいちぐう)は、「千年に一度しか出会えないようなめったにない恵まれた機会」という意味の四字熟語です。
一生に一度の出会いと書く一期一会と、千年に一度の出会いと書く千載一遇は、意味がとても似ています。しかし、かつてないくらいのビッグチャンスという意味で用いる際には、千載一遇を使用するようにしましょう。
一世一代
一世一代(いっせいちだい)は、「一生に一度しかないような重大なこと」という意味です。一期一会と字面が類似した四字熟語ですが、ニュアンスは異なります。
一世一代は、「一世一代の大仕事」と使われるように、一生の間に二度とないような思い切ったことをしようとする際に用いられる言葉です。
袖振り合うも多生の縁
袖振り合うも多生の縁は、「そでふりあうもたしょうのえん」と読みます。「見知らぬ人とすれ違う際に袖が触れ合う程度のことにも、前世からの深い縁がある」という意味のことわざです。
「ちょっとした出会いにも偶然ではなく深い縁があるものなので、大切にしましょう」という解釈が、一期一会の意味と類似しています。
邂逅
邂逅(かいこう)は、「思いがけない偶然の巡り合い」という意味をもち、文語表現なため、日常的に使われる言葉ではありません。
「疎遠になっていた旧友と邂逅した」のように用いられ、予期していなかった感動的な出会いというニュアンスで使われることが多いです。
「一期一会」の対義語
一生に一度だけの機会という意味を持つ一期一会ですが、対義語にあたる四字熟語などはありません。
対義語ではありませんが、一期一会の逆を「よくあること」や「珍しくないこと」と捉えるならば、「日常茶飯」や「尋常茶飯」などで言い表すことができます。
「一期一会」の英語表現
一期一会は、奥深い意味を持つ言葉であるため、どのようなニュアンスを伝えたいかによって使用する英語の表現が変わります。ここでは一期一会の意味に似ているいくつかの英語表現を、ニュアンスを伝えられる例文を交えて紹介していきます。
once in a lifetime
once in a life timeは、「一生に一度きりの出会い」というニュアンスで伝えたい場合に使用されます。後に続く言葉で様々な表現が可能なため、下記のような表現を用いて使用されることが多いです。
<使用例>
- once in a life time meeting(一生に一度の出会い)
- once in a life time opportunity(一生に一度の機会)
- once in a life time shot(一生に一度しか撮れない写真)
Now or never
「今が絶好のチャンス」というニュアンスで伝えたい場合は、now or neverをお勧めします。
<使用例>
- now or never moment(今しかない瞬間)
- I will succeed now or never(今度こそ成功するぞ)
- It's now or never to tell the truth(正直に話すのは今しかない)
treasure every encounter
「出会いを大切にしよう」というニュアンスを表現する際は、treasure every encounterが適切です。
treasureは名詞で「宝」と表しますが、動詞で「大事にする」という意味もあります。encounterは「出会う」という意味です。よって、treasure every encounterは「どんな出会いも大切にする」という意味になります。
<使用例>
- Treasure every encounter.for it will never recur(繰り返されることはないので、全ての出会いを大切にしなさい)
一期一会の意味や覚えて使ってみよう
一期一会の由来や使い方を改めて知ることで、目上の人との会話やビジネスの場面でも自信を持って使えるようになります。使用する際は、「一期一会の出会い」という二重表現にならないように注意しましょう。