映画『キネマの神様』(8月6日公開)の完成報告会が29日に都内で行われ、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、山田洋次監督が登場した。

  • 前列左から山田洋次監督、宮本信子、菅田将暉、永野芽郁。後列左から寺島しのぶ、小林稔侍、野田洋次郎

    前列左から山田洋次監督、宮本信子、菅田将暉、永野芽郁。後列左から寺島しのぶ、小林稔侍、野田洋次郎

本作は、小説家・原田マハの同名小説を原作に、「松竹映画100周年記念作品」として山田洋次監督がメガホンを握る。ギャンブル漬けで借金まみれのゴウ(沢田研二)は妻の淑子(宮本信子)と娘の歩にも見放されたダメ親父だが、たった一つ「映画」を愛していた。 若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として撮影に明け暮れる傍ら、食堂の娘・淑子(永野芽郁)に恋をし、映写技師・テラシンとともに夢を語らい、青春の日々を駆け抜けていた。しかしゴウは初監督作品『キネマの神様』の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう。半世紀後の2020年、『キネマの神様』の脚本が出てきたことで、沈みかけていたゴウとその家族は再び動き始める。

新型コロナウイルスによる肺炎のため2020年に死去した故・志村けんさんが、菅田とともにW主演を務める予定だった同作は、志村さんの遺志を受け継いだ沢田が同じ役を務めるに至った。山田監督は「本読みをした後に主役(志村けん)がお亡くなりになってしまうという出来事は初めての経験で、その時のことを今でも思い出します。混乱してしまい、どうすればいいか不安にもなってしまいましたが、色々な考え方をして新たな魅力のある作品になったと思います」と振り返る。

新たに主演となった沢田について、山田監督は「志村さんとの友情があったから、快く引き受けて下さいました。表には見せないけど、緊張していたと思います。菅田さんも沢田さんも二枚目だから共通点があって良かったと思いますし、彼(沢田研二)がダメな男・ゴウを鮮やかに演じてくれました」と感謝。同じ役を演じた菅田は「沢田さんのゴウは、僕の演じているゴウよりもたくさん動き回っていて、パワフルで、チャーミングな、ダメ父親だけど色気のある魅力的なゴウだと思いました」と表した。

イベントでは今回初めての山田組に挑戦した永野が「毎日緊張と勉強の連続で、今までになかった経験ができました」と明かすと、山田監督は「本当に緊張していた?(笑)」とツッコミ。野田は「山田監督はアイデアが豊富で、その場でスタッフも瞬発的に演出作業をしていた」と裏の様子を明かし、劇中にあるギターを弾くシーンも「3日前くらいに言われたんです」と、監督による突然のアイデアだった事を暴露。現代の同じ役を演じた小林とは“そっくり”だと試写を観た関係者の中では話題となっているが、小林も「嬉しいですね。野田さん演じるテラシンの演技を見た時に、(演技に対する)気持ちは僕と一緒だと思いました」と野田の演技を絶賛した。

また、寺島が「(山田組への出演は)待ち望んでいた出来事だったので、何が何でも出たいという思いを伝えましたね」という一方、宮本は50年ぶりの山田組に「50年は長いですよね。最初にお会いした当時はすごく怖かったのですが、本作で久しぶりお会いして長い年月が経ったのだと思いました」とそれぞれの思いがある様子。菅田は「まさか山田洋次監督作品の真ん中に立たせていただけるとは思ってもいなく、本来であれば……という出来事がたくさんありましたが、『今、完成しました』ということを一番に伝えたいです。思い出の詰まった作品になりましたし、たくさんのメッセージが込められている映画になっていますので、どうぞよろしくお願いいたします」と心境を吐露した。